今季が就任5年目となる片野坂監督。昨季同様にサプライズを提供してくれるだろうか。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 昨季、開幕戦で鹿島を2−1で破るなど、J1昇格1年目ながら序盤から白星を重ねた大分。最終順位こそ9位だが、昇格1年目にしてはまずまずの結果と言えるだろう。チームを率いていたのが片野坂知宏監督だ。

 片野坂監督が大分の指揮官に就任したのは2016年シーズンで、前年にJ3降格の憂き目に遭ったチームの再建を託された。すると、就任初年度でチームをJ3優勝へ導いてJ2へ復帰させると、就任3年目の18年シーズンにJ2の2位へと押し上げたのだ。そして昨季、J1で大分を躍進させて18年のJ2優秀監督賞に続き、J1でも優秀監督賞を受賞した。

 16年の就任当時は監督経験がなかった片野坂監督。しかし、07年からG大阪のコーチ、10年から広島のヘッドコーチ、14年からG大阪のヘッドコーチを歴任しており、広島で12年からJ1連覇、G大阪では14年の国内3冠に貢献するなどコーチとしての経験は豊富。さらにともに働いていたのはG大阪で西野朗監督(元・日本代表監督)、広島でペトロヴィッチ監督(現・札幌監督)と森保一監督(現・日本代表監督)、2度目のG大阪で長谷川健太監督(現FC東京監督)と、錚々たるメンバーだ。
 
 片野坂監督はそんなコーチ時代の経験に大きく影響され、大分を指揮してきた。

「16年は今の3−4−2−1ではなく4−4−2のシステムでした。14年に長谷川監督がG大阪で3冠を取ったチームのように強ければいいなと(笑)。次の年にJ2に昇格した時は、広島時代のペトロヴィッチさんや森保さんの影響で3−4−2−1を採用しました。当時は5バック気味で少し守備的に。すぐにJ3に落ちる訳にはいかなかったので」

 恩師から影響を受けた戦い方が奏功してわずか3年で大分をJ1の舞台へ引き上げた。とはいえ、片野坂監督独自の考えもチームに浸透しており、その象徴がGKがペナルティエリア外でビルドアップに参加するスタイル。目的は「ボールを保持して攻撃的に試合を運びたい」からで、「当初はヒヤヒヤしたが、もう慣れた」部分が大きいという。

 現在はリーグが中断されているが、再開されれば過密日程の可能性が高く、選手起用や交代策など指揮官の采配が問われるシーズンになるだろう。そういう意味では、西野監督、ペトロヴィッチ監督、森保監督、長谷川監督の下で働いた片野坂監督の豊富な経験は大きな武器となるはずだ。

「それぞれ個性的な監督で、特徴もバラバラで非常に刺激を受けました。4人の監督の良いとこ取りまではいかなくても、学んだことは今に活きていると思います」と謙虚に語る片野坂監督の手腕に注目したい。

文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

『サッカーダイジェスト』2019年6月27日号より加筆・修正して転載。

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