日本マイクロソフトは5月27日、中堅中小企業およびスタートアップ企業の支援・連携に関する記者説明会を開催した。執行役員 コーポレートソリューション事業本部 事業本部長の三上智子氏は、「これまで日本企業はリモートワークに取り組めていなかったが、新型コロナウイルスを機に、中堅中小企業も変わってきた」と語った。

日本マイクロソフト 執行役員 コーポレートソリューション事業本部 事業本部長 三上智子氏

同社の調査(1246社にヒヤリング)によると、リモートワークに取り組んでいる中堅中小企業は50%に上り、さらに26%がリモートワークを検討していると回答したという。

同調査からは、「紙ベースのワークフローへの対応」「ネットワーク」「ツールの整備」「電話対応」などが、リモートワーク実施における課題であることがわかったという。

最近、新型コロナウイルスが終息した後のライフスタイルやワークスタイルが「ニューノーマル(New Normal:新常態)」と呼ばれて注目を集めているが、三上氏は、中堅中小企業のニューノーマルに向けた取り組みは3つのフェーズに分けることができると述べた。

3つのフェーズは、第1のフェーズ「リモートワークへの移行」、第2のフェーズ「事業回復への対応」、第3のフェーズ「ニューノーマルへ」で構成されている。

中堅中小企業のニューノーマルに向けた3つのフェーズ

説明会では、中堅中小企業のニューノーマルに向けた取り組みの事例として、山口フィナンシャルグループ IT統括部の來島友氏が説明を行った。同グループでは、新型コロナウイルス感染症への対応として、Office 365(Microsoft Teams)とSurfaceを活用したテレワーク環境を整備したという。

山口フィナンシャルグループ IT統括部 來島友氏

同グループは3銀行で国内280拠点、海外4拠点を擁し、約5000人の従業員が働いているという。今年2月下旬、新型コロナウイルス感染拡大の防止策として、本部社員などのテレワークが実施可能な人を対象にテレワークへの移行の検討が始まった。そこで、課題として明らかになったのが、テレワーク用PCの不足だった。

当時、同グループでは店舗の営業担当者用にMicrosoft Surfaceを配布する予定だったことから、これらを緊急テ レワークPC(約600台)として準備するとともに、Microsoft Teamsを活用したWeb会議の利用を加速させた。それまでは、リモート会議は、専用テレビ会議を用いて拠点間で行う程度だったという。

山口フィナンシャルグループのテレワーク環境構築の経緯

來島氏は、テレワーク環境構築にあたっての今後の課題として、「ネットワーク負荷増大への対応」と「環境のさらなる整備」を挙げた。

テレワーク勤務者の増加により、テレワーク用のネットワーク回線が徐々に逼迫したきたため、社内ポータルサイトに注意喚起するとともに、通信経路を変更したという。今後は、ネットワーク回線の拡張も計画しているそうだ。

また、今回準備したSurfaceは本来の利用目的である店舗の営業担当へ戻し、今後のBCP対策として、テレワーク環境を整備している。モバイルのWi-Fiルータを用意することで、本部用ノートPCでテレワークができるようにし、Windows Virtual DesktopなどのDaaSを用いたBYOD環境の検討・検証も行っていく。また、來島氏は「新型コロナウイルスが感染拡大する中で、対面での営業や訪問が難しくなった。そのため、非対面での接客や営業の仕組みも検討していく」と語った。

続いて、スタートアップ企業支援の取り組みとして、Telexistenceとの小売業界向けクラウドロボティクスサービスに関する協業が紹介された。説明会には、Telexistence代表取締役 兼 最高経営責任者の富岡仁氏が登壇した。

Telexistence代表取締役 兼 最高経営責任者 富岡仁氏

富岡氏は、同社のコアの技術として、ロボットなどのハードウェア、遠隔操作技術、把持技術(ロボットハンド)、機械学習による汎用行動計画を挙げた。同氏はこれらを活用して、労働力の不足や賃金上昇といった小売業界の課題を解決していきたいと述べた。

具体的に、両社は小売業界の人が1日で行う作業のうち、品出し・陳列の作業を遠隔からのロボット操作で行うことを目指している。富岡氏は「オンラインの仕事はリモートワークで行えるが、オフラインの仕事を遠隔でできるソリューションはない。われわれはそこを解決していきたい」と語った。

オフラインの仕事を遠隔でできるようにすることで、これまでは店舗の近くの人しか採用できなかったところ、場所を問わずに採用することが可能になるほか、賃金が安い地域で採用することでコストを抑えることもできる。7月から、小売店舗内で遠隔操作ロボットが203形状の商品を陳列する実証実験を行うそうだ。

「AWP for RETAIL」の概要

なお、日本マイクロソフトでは、コミュニケーション環境支援、デスクトップ環境支援、社員の意識・組織の風土・制度改革支援、ソリューションを超えたテクノロジー活用支援の側面から、中堅中小企業が働き方によるニューノーマルへの移行を支援しているという。

日本マイクロソフトの中堅中小企業に向けた支援策