羽生氏が選出したベスト11。赤く囲っている「MY BEST PLAYER」にはFC東京時代の同僚ルーカスを選んだ。(C)SOCCER DIGEST

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 「能力的に凄い」と認めざるを得ない11人を選びました。FWのルーカスはなんでもできる。中盤でも器用に振る舞えるし、まさにオールラウンダー。彼の凄いところは順応性です。日本のサッカーをしっかりリスペクトしていて、ここで結果を残すためにはハードワークが欠かせないと、そこをちゃんと理解している。ブラジルではこうだから、ではなく、日本人選手のことを知ったうえで戦う心構えみたいなものができていて、「ルーコン(ルーカスの愛称)、凄いな」と。

 ルーカスは、トレーニングの日も選手一人ひとりと握手して「今日も頑張ろう」みたいなことを言うわけですよ。礼儀正しくて、誰よりもサッカーへの情熱が熱い。印象深いエピソードが、11年シーズンに「元日まで(天皇杯を)戦おう」とチームを鼓舞してくれたことです。「絶対に良い経験になるから優勝しよう」と言って、実際、天皇杯制覇の原動力になっていますからね。本当に凄いです。天皇杯決勝のピッチに立たせてもらった僕のなかで、ルーカスはベストプレーヤーです。

 そのルーカスと2トップを組ませたのが(平山)相太。両足で強いシュートが打てて、ヘディングも得意。胸トラップのクオリティも高くて、文字通り“怪物”でした。練習で対峙しても片手1本でおさえられてしまいますからね。だからこそ、もっと長く現役で頑張ってほしかった。最後に怪我した時(14年8月23日の浦和戦)は自分もつらかった。チーム、ファン・サポーターのみんなから愛されていたし、相太が点を取るところを僕ももっと見たかったです。

 怪我した場面を振り返って、僕が「相手のタックルは予測できたはずだから、無理にシュートに行かなくてもよかったんじゃない?」と言ったら、相太に「でも、点取りたいです。あれは打つでしょ」と返されました。怪我を恐れず、ゴールを目指す。ストライカーとしての生き様を思い知られた気がしました。そのメンタリティも含め、相太は好きな選手のひとりです。

 才能だけなら、(河野)広貴は海外のクラブにも行けました。ちょっとヤンチャな面があって……(笑)。特に輝いていたのが、マッシモ(・フィッカデンティ監督)の下でトップ下を任されていた時です。彼のためのポジションでしたから。サッカー小僧で、練習の時もスイッチが入ったらそれこそ止められなかったです。
 
 ウイングバックの(中村)北斗は「友だち枠」ということで、放っておきましょう(笑)。それくらい雑な扱いで大丈夫です。もう一人のウイングバックは(長友)佑都。東京に加入当初ははっきり言って下手でしたが、なんでも吸収しようというスタンスが大きな武器でしたね。

 例えば誰かに「左足のクロスを練習したほうがいいぞ」と言われた時、当人がどう反応するか。佑都の場合はしっかりと聞き入れて、なぜそう言われたか、なぜ必要なのか、自分なりに噛み砕いて努力する。実際、全体トレーニング後のクロス練習は欠かさなかったと記憶しています。

 僕が誰かと話していても「何を話しているんですか? 僕にも教えてください」って、佑都は良い意味でアグレッシブでしたね。正直、あそこまで世界で活躍するとは考えもしませんでした。自分の限界を勝手に決めず、とことん上を目指す。そうした志があったから、ビッグになれたんだと思います。ネガティブなことが起きても楽しんでしまうところは、単純に変人ですけどね(笑)。
 
 ボランチは、僕がジェフでオシムさんに鍛えてもらった時のふたりです。とにかく心強かった。当時、僕がトップ下なのに、その後ろにいる(佐藤)勇人のほうが点を取っていた。その得点力に加えて、闘争心みたいなものも凄かったです。「仲間がやられたら俺がやり返す」、そんな男気も魅力です(笑)。