春競馬のクライマックス、GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)がいよいよ間近に迫ってきた。

 その大一番の前に行なわれた3歳牡馬クラシック第1弾、GI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)は、GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)を勝った”2歳王者”コントレイル(牡3歳/父ディープインパクト)が、1番人気に応えて鮮やかな勝利を飾った。


皐月賞はサリオス(左)とのマッチレースを制したコントレイル(右)が勝利した

 序盤は後方に待機していたコントレイル。3コーナー過ぎから徐々に進出していって、直線ではGI朝日杯フューチュリティS(12月15日/阪神・芝1600m)の覇者サリオス(牡3歳/父ハーツクライ)と一騎打ちを演じた。熾烈な叩き合いとなったが、最後はコントレイルが半馬身差前に出てフィニッシュ。見事に無敗対決を制して、一冠目を手にした。

 一方、ダービー出走を賭けたステップレースでは、GII青葉賞(5月2日/東京・芝2400m)をオーソリティ(牡3歳/父オルフェーヴル)が、GII京都新聞杯(5月9日/京都・芝2200m)をディープボンド(牡3歳/父キズナ)が、そしてオープン特別のプリンシパルS(5月9日/東京・芝2000m)をビターエンダー(牡3歳/父オルフェーヴル)が勝利。いずれも、コントレイルとは勝負づけが終わっている面々で、これといった新興勢力の登場は見られなかった。

 今回はこれらの結果を受けて、ダービーに向けての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回は日本ダービーに出走予定の3歳牡馬の実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 首位の座は、コントレイルががっちりキープ。25ポイントと満票を獲得し、ダービーに向けても視界は良好だ。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「前回は、2歳時のTF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)だったにもかかわらず、全体の2位。その数値どおり、皐月賞ではモノが違う走りを見せてくれました。

 父は、昨年この世を去ったディープインパクト。同産駒の牝馬には、三冠馬ジェンティルドンナ、二冠馬ミッキークイーンらがいますが、牡馬にはいまだそうした存在はいません。それは、日本競馬界の”七不思議”のひとつでしたが、ついに今年、ディープ産駒初の牡馬クラシック二冠馬誕生となるかもしれません」

木南友輔氏(日刊スポーツ記者)
「皐月賞で『道悪の1枠1番は最悪』。これは『厳しいだろう』と思いましたし、レースが向正面に入った時には『やっぱり厳しかったな』と思って見ていたのですが、4角で白い帽子を確認できた時は本当に驚きました。ダービーでは、2400mが適距離かどうかは関係なく、能力の高さで好勝負を演じてくれるのではないでしょうか」

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「ホープフルSから皐月賞までのおよそ4カ月で気性面が成長。力みがだいぶ取れたことで、体をしっかりと使えるようになって、ストライドを稼げるフォームに変貌しました。心身のバランスが取れ、完成度はだいぶ高まっています。

 皐月賞は、ラチ沿いの馬場が悪かったことを考えれば、距離のロスがあっても、外を追い上げる作戦に出たことが功を奏した印象があります。当面のライバルであったサトノフラッグ(牡3歳/父ディープインパクト)を一瞬の脚でかわし、叩き合いの末にサリオスをねじ伏せた内容は『強い』のひと言。速い脚だけでなく、長くいい脚を使えたことは、高速馬場の東京でも追い風となります。弱点がほぼ見当たらない現状、5連勝への期待は高まるばかりです」

 2位は、皐月賞で僅差の2着だったサリオス。皐月賞前には距離不安が囁かれていたが、3戦無敗で朝日杯FSを制した実力は、伊達ではなかった。

土屋真光氏(フリーライター)
「皐月賞は初距離ということを考慮して、鞍上のダミアン・レーン騎手が緻密な騎乗でロスのない競馬を駆使。4コーナー手前までは完璧でした。しかし、誤算だったのは、直線を向いたところで、外にいるウインカーネリアン(牡3歳/父スクリーンヒーロー)が思った以上に粘っていたこと。

 レーン騎手としては、いち早く馬場のいい外側に出したかったはずですが、ここでわずかに手間取ってしまいました。その分だけ、先に馬場のいいところに勢いよく突っ込んできたコントレイルに及びませんでした。ともあれ、絶対能力ではコントレイルに負けていないことを確信できました。血統面での距離不安も能力でカバーしてくれるでしょうから、ダービーでも楽しみです」

吉田氏
「距離が延びて、緩急がつく流れに対して、一抹の不安がありましたが、中ダルみとなった皐月賞で上手に走れた点は評価できます。しかも、直線はオール右手前のうえ、4角まで踏み込めなかったことで、持ち味となる持続的な脚が繰り出せませんでした。それらを考慮すれば、勝ち馬にねじ伏せられたことも、悲観する必要はありません。手前や脚の使いどころからすれば、左回りで、直線の長い東京コースに変わるのは、間違いなくプラスです」

木南氏
「皐月賞は、同馬の実力の高さを再評価するものとなりました。その皐月賞に向けては、鞍上のレーン騎手と調教でじっくりとコンタクトする時間がありませんでしたが、今回は3週前、2週前の追い切りにも騎乗しています。これが、ダービーでの逆転につながるのか、注目です」

 3位は、前回2位だったサトノフラッグ。皐月賞では、2番人気に推されながら5着に終わった。ダービーでは、レコード勝ちがある東京コースになっての巻き返しが見込まれる。

木南氏
「皐月賞では、マイラプソディ(牡3歳/父ハーツクライ)に早めにプレッシャーをかけられたにしても、直線が案外でした。新馬戦もそうでしたが、外からかぶせられると、脆(もろ)い面がある印象があります。ある馬主関係者が皐月賞を見て、『コントレイルが来た時に、馬がビビッていたように見えた。(ダービーでも)逆転は無理なのでは?』と話していました。

 ただ、ダービーでは武豊騎手とのコンビ復活が発表されました。天才騎手の手綱さばきによって、逆襲を期待したいですね」

 4位は、圏外からガロアクリーク(牡3歳/父キンシャサノキセキ)がランクイン。6番人気で勝ったGIIスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)の結果がフロック視されてか、皐月賞でも8番人気と低評価だったが、3着と善戦して評価を高めた。

吉田氏
「皐月賞は、上位2頭との力差を感じる内容でしたが、スプリングSの末脚がフロックではないことを証明しました。走法からすれば、東京の高速馬場は合いそう。末脚が生きる流れになれば、再度の浮上もあり得ます」

市丸氏
「父はスプリンターとして活躍したキンシャサノキセキ。その分、同産駒も短距離志向の馬が多いです。それは、数字でも明らかです。皐月賞で3着ですから、大きく崩れるとは断言できませんが、ダービーで上位入線は厳しいかと……」

 5位は3頭の馬が並んだ。前回も5位だったワーケア(牡3位/父ハーツクライ)に、皐月賞で4着と奮闘したウインカーネリアン、そして、近走は冴えないものの、GIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)を勝っているブラックホール(牡3歳/父ゴールドシップ)だ。

木南氏
「ワーケアは、皐月賞をパスしてダービー1本勝負。GII弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)は2着に終わったものの、仕掛け遅れに見えましたし、悲観する敗戦ではありませんでした。2週前はオークス組と併せて、そこまで目立った動きは見られませんでしたが、加速の感じがいかにも東京向きという印象。まったく無視することはできません」

吉田氏
「皐月賞では、2勝馬の身で挑戦したウインカーネリアン。それでも、2番手からしぶとさを発揮して、4着と大健闘しました。速い脚のないワンペース型の先行馬。その走りは軽く、1週前の攻め気配も上々でした。上がりのかかるような展開に持ち込めれば、世間の評価以上の走りが見られるかもしれません」

土屋氏
「正直、ブラックホールの皐月賞は、結果(9着)よりも内容に頭を抱えてしまいました。立ち回りが完璧だったガロアクリークと同じ上がりタイムで、同馬との差はコンマ7秒。もう少しやりようがあったのではないか、と思っています。もし馬込みを嫌うのであれば、東京コースに変わるのはプラス。見せ場ぐらいは作ってくれることを期待しています」 ホースマンたちの夢である日本ダービー。競馬界最高峰の舞台において、今年はどんなレースが繰り広げられるのか。歴史に刻まれるような、すばらしい一戦になることを期待したい。