「中目黒に住んでみたい」手取り20万円の会社員…住める?

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どこの街に住むかの選択は、仕事やプライベートに大きな影響を与える。さらに家賃が家計支出の大きなウェイトを占めることを考えると、居住地は資産形成までも左右するといえる。総合的に考えて住みやすい街はどこなのだろうか? 20代後半から30代前半の単身会社員の住み心地を考えていこう。今回取り上げるのは、東急東横線と東京メトロ日比谷線が使える「中目黒」駅。

著名人も集う、都内屈指のハイセンスな街

「中目黒」駅は、東京都目黒区に位置し、東急電鉄東横線と東京メトロ日比谷線の駅です。1日の乗降者数は、東横線19.5万人強、日比谷線23万人ほどです。

中目黒の目黒という地名には、いくつかの諸説があります。まず「め」は駿馬の「め」、「くろ」は畔(あぜ)、すなわち「めぐろ」は馬と畔道(あぜみち)を表す「馬畔(めぐろ)」という音から生まれたという説。周辺には、駒場、駒沢、上馬、下馬など、馬にまつわる地名が残っているように、昔は馬の牧場が見られました。牧場の管理者は畔道のなかを自分の縄張りとしていたことから、『目黒区史』ではこの説が妥当としています。

このほか、12〜15世紀の目黒川流域は目黒氏により統治されていることから「目黒」となったという説もあります。江戸時代には黒村から上目黒、中目黒、下目黒の3つの村に分かれ、「中目黒」という地名が正式に使われるようになりました。「なかめ」という愛称で呼ばれる街は、意外と由緒正しい地名なのです。

もともと、東急東横線と日比谷線は相互運転をしていましたが、2013年3月15日をもって終了。翌日から東急東横線は東京メトロ副都心線と相互運転を開始しました。それでも、日比谷線「中目黒」終点でホーム反対側の東急東横線(「横浜」方面)に、東急東横線(「渋谷」方面)を下りたホーム反対側で日比谷線「中目黒」始発にと、2線の乗換えはスムーズで、利便性は保たれたままです。

2003年、「中目黒」駅から徒歩7分ほどのところに、目黒区役所と目黒区社会保障事務所を含む、目黒区総合庁舎が移転してきたことから、駅周辺は目黒区の中心駅として機能しています。目黒区の中心はJR山手線の「目黒」駅周辺と思われがちですが、「目黒」駅があるのは品川区の北端である、というのはよく言われる話です。

「中目黒」といえば、『住みたい街ランキング』でも上位の常連。「おしゃれ」「セレブ」「芸能人に会える」など、とにかく特別な枕詞がつく街です。駅前にあるのは、再開発によって2002年に誕生した街のランドマーク「中目黒GT」。地上25階の高層ビル「GTタワー」には、オフィスや飲食店、「GTテラス」には中目黒駅前図書館が入っています。

さらに2009年には、山手通りを挟んでに地上45階建ての超高層タワーマンションが完成。2016年には「中目黒」駅〜「祐天寺」駅の全長700メートルの高架下に「中目黒高架下」がオープンしました。カフェやビストロなど、他では見られないこだわりの新業態を含む28店が揃っています。

春は桜、冬はイルミネーションで人気の目黒川沿いには、こだわりのファッションや雑貨、飲食店など、個性的かつ洗練された店が軒を連ねています。「中目黒」のなかでもひと際おしゃれなスポットとして、全国から観光客が訪れるほどの人気です。

一方で地元密着型の「目黒銀座商店街」の存在も見逃せません。全長300mのエリアには、昔ながらの個店のほか、最近は飲み処や隠れ家バーがオープン。若者が集うエリアの喧騒から離れた、大人が遊べる街として人気を集めています。

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目黒川

意外に庶民派の一面も…それでも家賃水準は高水準

「中目黒」駅周辺の家賃水準をみていきましょう。まずは駅周辺の家賃相場です。駅から徒歩10分圏内の1Kの平均家賃は9.37万円、11分を超えると7.12万円(図表1)。同条件の目黒区の家賃水準は、駅10分圏内8.47万円、11分を超えると7.56万円。「中目黒」駅周辺は、駅チカを中心に目黒区の家賃水準を大きく上回っています。

[図表1]「中目黒」駅周辺の平均家賃 出所:公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会調べ(5月25日時点)※単位は万円

厚生労働省が発表している「賃金構造基本統計調査」によると、都内勤務の男性会社員の平均月給は、25〜29歳で27.5万円、30〜34歳で34.1万円です(図表2)。企業規模によって平均給与は異なりますが、そこから住民税や所得税などを差し引いた手取り額の1/3以内を適正家賃と考えると、都内勤務20代後半は6.9万円、都内勤務30代前半は8.5万円です。

[図表2]20代後半、30代前半の平均月給 出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査 」※10名以上の企業対象※数値は所定内給与額※単位は万円

「中目黒」駅周辺は、一般的な会社員ではとても駅チカに住めない家賃水準です。駅から徒歩11分を超えたエリアであれば、30代会社員では居住を考えられるようになります。

では、実際にどのような物件が借りられるのか。大手ポータルサイトで検索してみると、駅20分圏内、築10年以内で適正家賃内で見つかるのは、10〜15屬龍剖絞件。築30年以上の築古物件であれば、20屬曚匹諒件が見つかります。ただし隣駅の「祐天寺」が最寄りなど、「中目黒住み」には疑問符が付く物件であることは覚悟しておかないといけません。

交通面を見ていきましょう。東京メトロ副都心線直通、東急東横線利用で、「渋谷」5分、「新宿三丁目」10分、「池袋」18分。また反対「横浜」には29分。東京メトロ日比谷線利用で「恵比寿」2分、「六本木」9分、「日比谷」17分。都心方面はもちろん、横浜方面にもダイレクトにアクセスすることができます。日比谷線は始発駅になるので、「座って通勤」できるのも魅力。一方、東急東横線の混雑率は170%弱。ただし、実際はデータ上よりも混雑しているように感じ、特に速達列車では相当な圧迫感を覚えます。

生活面はどうでしょうか。駅前には「東急ストア」「プレッセ」「ライフ」、さらに5分ほど歩いた所には「まいばすけっと」と、お手頃価格のスーパーが揃っています。また大手ドラッグストアチェーンも駅前にあるので、日常品の買い物で困ることはありません。昔ながらの個店が残る商店街があったり、「ニトリ 中目黒店」「ドン・キホーテ 中目黒本店」があったりと、街のイメージに反して、普段の買い物はリーズナブルに済ませることができるでしょう。

飲食店は牛丼店やリーズナブルなファミレスと、単身者でも気兼ねなく入れるお馴染みのチェーン店は少なめ。数多くある飲食店は、どこかこだわりを持つところが多いので、お気に入りを開拓する楽しみがあります。

洗練された都会的なイメージが先行する「中目黒」。特に目黒川より先、代官山にも通じるエリアは都内でも有数の高級住宅街に数えられ、落ち着いた住環境が広がっています。一方で昔ながらの個店も混在し、以外にも庶民的な暮らしがかなう街という側面も。しかし家賃は、都内でも有数の高水準。この街に一般の会社員が住むには、駅から徒歩20分以上、最寄り駅はすでに違う駅の物件でも、「中目黒に住んでます」と言い張る方法しかありません。