63年ぶり無敗の牝馬二冠馬誕生!デアリングタクトからウイン2頭へと連なる岡田一族ワン・ツー・スリーの歴史的オークスの巻。

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非社台系・岡田一族の連携の勝利!

「競馬しかやってない」スポーツ界、空白の月曜日。しかし、その空白を埋めるに値する本物はこんな年だからこそ誕生するのかもしれません。5月24日に行なわれた三歳牝馬の女王を決める優駿牝馬、オークスで63年ぶりとなる無敗の二冠馬が誕生しました。デアリングタクト号、アクシデントさえなければ三冠間違いなしの大物。まさにその強さは怪物級でした。

この1頭だけ次元が違い、しかも桜花賞とはまた別の意味での異次元ぶりを見せる走り。リスクを恐れない人たちがデアリングタクトの単勝に100万円単位でお金を突っ込むのも納得できる強さでした。現役最強を懸けてのアーモンドアイとの直接対決や、可能性だけで言えば凱旋門賞制覇まで意識できる怪物と言っていいでしょう。三歳そして牝馬という条件での軽い斤量負担、重馬場も苦にしないナタのような太い切れ味の走り。かつての馬で言うならテイエムオペラオーのような「必ず伸びて絶対届く」という骨太さは、日本馬初の悲願達成すらあるのではないかと予感させるものでした。コロナさえなければ……無念です。

↓届きそうもない場所から、前が壁となったのに突き抜けて届いた!

デアリングタクトをマークして同じ位置から走った馬が軒並み沈む、差しには厳しい前残りの展開!

その不利な展開をチカラでねじ伏せる強い競馬でした!



このレースにはひとつ際立ったところがありました。それは1着から3着を占めた馬がひとつのファミリーであったこと。さらに言えば、逃げてペースを作ったスマイルカナを含めてこのレースはひとつのファミリーが同じレースに居並ぶことで上位独占を生み出した「連携戦」でした。岡田一族、北海道は日高から競走馬を送り出している生産牧場・岡田スタッドに由来する人間と馬たちによるひとつのファミリー。その岡田一族が、日本最大の競馬グループである社台グループを「完封」したという意味で、このオークスはまさにしてやったりのレースだったのです。

勝ったデアリングタクトの馬主はいわゆる一口馬主クラブであるノルマンディーサラブレッドレーシング。こちらは岡田スタッドを継承する一族(岡田スタッド創業者次男の系譜)によるクラブです。そして2着・3着に入ったウインマリリン・ウインマイティーを所有するのは冠号に示される通りの一口馬主クラブ・ウイン。ウインは紆余曲折あって現在は岡田スタッド創業者長男・繁幸氏の系譜にある岡田義広氏が代表となっているクラブ。

岡田繁幸氏は「マイネル」の冠号で知られるラフィアンなどを興した人物で、俗に「マイネル軍団の総帥」などとあだ名される競馬界の大物。こちらの繁幸氏が逃げて潰れたスマイルカナのオーナーということで、まさに岡田一族の連携によって1・2・3着が生まれているというレース展開でした。岡田がレースを作り、岡田がその利を活かし、さらに異次元の岡田が後方からぶち抜いてきた。異次元の岡田を信じることで、社台をまとめて殺した。そんな痛快さがあるレースでした。

レース展開を振り返っていくと、まずハナを切ったのは戦前の予想通りにスマイルカナ(岡田)。そこに外枠からすーっと近づいて先行していったのはウインマリリン(岡田)。さらにウインマイティー(岡田)もつづき、先行集団を形成していきます。このレースの有力馬は差しを狙って後方に位置取り、最後の直線で勝負を懸けるタイプが集っていました。大本命デアリングタクト(岡田)もそのタイプで、中団から後方の位置取り。2番人気のデゼル(社台)、5番人気のサンクティエール(社台系)、6番人気のリリーピュアハート(社台)などは後方でデアリングタクトをマークしています。4番人気のミヤマザクラ(社台友好関係)、8番人気リアアメリア(社台系)といったあたりもデアリングタクト(岡田)の前で壁を作るような格好。まるでデアリングタクト(岡田)包囲網です。

単騎で逃げるスマイルカナ(岡田)に対して、2番手に割って入ったウインマリリン(岡田)は先頭は追わずにゆったりとしたペースで追走します。スタート直後のハイペースの逃げによって馬群は縦長の展開となるも、全体としてはスローになるという流れ。レース中盤の1000メートル通過から2000メートルにかけては超スローと言ってもいいジョギングのような走り。スロー展開のままならば、走りやすくタイムが落ちづらい東京の高速馬場を活かして、単純に前の位置にいる馬がそのままゴールしてしまう流れ。いわゆる「前残り」の展開に持ち込まれました。

もちろんスローだと思えば早めの仕掛けで後方から上がっていけばいいのですが、もっとも警戒すべきデアリングタクト(岡田)は後方待機のまま動かないという状況。先に動けばデアリングタクト(岡田)に後ろにつかれて標的にされ不利になります。動くに動けず、差し・追い込み勢は後方待機のままスロー展開に付き合わされます。

直線に入ってもデアリングタクト(岡田)はまだ後方。外に持ち出そうとしますがほかの馬が壁になって上手く持ち出せません。その間に先頭では、ゆったりペースで2番手追走していたウインマリリン(岡田)が最内から伸びて先頭に上がっています。さらにウインマイティー(岡田)も伸びてきて、岡田・岡田のワンツー態勢に。普通のレースならここで勝負あったとなるところ。前を行く馬がさして失速しない流れなので、差し・追い込み勢がどんなに脚を伸ばしても届かずに終わるレースです。

しかし、デアリングタクト(岡田)だけは異次元でした。前を塞ぐ壁が割れたところで騎手がスッと内へと動かすと、馬もそれに鋭く反応してサイドステップでもするように外⇒内へとコースを変えます。ようやく前が開けて追い始めると、残り200メートルで手前を替えた(どっちの前脚から踏み込むかの順番を替えた)ところからさらにグンと力強く伸び、まだまだ届きそうもない位置から最後の200メートルで一気に先頭まで差し切ります。

この流れは本来ならデアリングタクト(岡田)ごと馬群に沈めてしまうレース運びです。ラスト3ハロンを33秒台で伸ばしてきても、前を行くウインマリリン(岡田)・ウインマイティー(岡田)も34秒台フラットくらいの上がりで走っているので本来なら届かないはずでした。しかし、デアリングタクト(岡田)の異次元の強さを信じればこそ、身内殺しとも言えるレース運びをし、ほかの有力馬が沈むなかで見事にデアリングタクト(岡田)だけがラスト3ハロン33.1秒という出場馬中最速の上がりで差し切った。展開不利でも勝ち切ったこの強さ。同世代牝馬に敵なし、牝馬三冠達成はまず間違いないでしょう!

↓単勝100万円賭けてたら直線半ばで泡吹いて死にそうなヒヤヒヤもののレースでしたが、強かった!

↓少額ですが僕も勝たせていただきました!持続化給付金ゲットです!

「デアリングタクトが強い」以外は何も読めてない感じの買い目ですが、当たればOK!


振り返って前走の桜花賞も1頭だけ別次元の脚で差し切ったレースでしたが、オークスが「前残り」での厳しい展開だとすれば、桜花賞は「道悪」での厳しい展開でした。1600メートルという短い距離のなか、前を行くレシステンシア(社台系)は淡々と早いペースを維持して全部の馬を疲れさせ、自分だけはそのまま止まらずに走りつづけるというしぶといタイプ。当日は雨で芝がぬかるみ、切れ味が出ない馬場だったため、最後の短い直線だけで追いつくのは到底無理と思われました。しかし、それでも1頭だけ大外ぶん回しで伸びてきて、上がり最速で差し切ってしまったデアリングタクト(岡田)。もうホント、怪我くらいしか不安要素はありません。

さぁ、そして来週は日本ダービー。こちらにも非社台系のノースヒルズが送り出すコントレイルが出走します。いまだ無敗の皐月賞馬。無敗での二冠達成が見えています。もちろん社台グループもオークス同様にコントレイル包囲網を敷いてくるでしょうが、皐月賞での「福永騎乗、内枠発走、一旦後方まで下げて、そこから大外ぶん回し、距離のロスをしながらそれでも上がり最速で差し切った」という強さは、ちょっと負ける姿は想像できません。福永騎手が落馬でもしたら記録上は勝ちにはなりませんが、それでも「勝手に馬が自己判断で走って1着で戻ってくる」くらいの信頼をしていいでしょう。牡馬・牝馬とも無敗の二冠馬誕生、さらには無敗の三冠馬誕生という未来へ。持続化給付金支給で気持ちをグッと持ち上げてくれることを祈りつつ、来週も見守りたいと思います!



秋にはこの馬たちが生で見られると信じて「歴史」をテレビで見守ります!