秋葉原ではツクモ2店舗の閉店が決まっているものの、秋葉原地区での同社全体の売場面積は以前よりも大きく広がったことになる。PCパーツは買い回りが基本であり、CPUやメモリ、HDDなどパーツ単位で1からPCを組み上げるのであれば、当然「秋葉原1ヶ所で全て揃う」ほうが都合がいい。
 つまり、今回の大量閉店は単なる「縮小」ではなく「秋葉原エリアでの経営規模拡大に伴う発展的閉店」であるといえよう。

 先述したとおりツクモ秋葉原駅前店は、LABI秋葉原から転換の際には僅か数日休業しただけであり、現在はヤマダ電機時代の売場をそのまま引き継いだ部分も残る。今回閉店するツクモの既存各館も商品構成に一部重複があったため、それらが1ヶ所の大型店に集約されれば「より内容の濃い売場」を実現できることとなる。

 近年は、コストパフォーマンスに乏しい国内メーカー製PCが市場での勢いを落とし、VRやeスポーツ、プログラミングが一般層にも話題を集めつつあるなど、PC専門店にとっては「追い風」ともいえる状況になっている。今後はLABI秋葉原跡の新店舗のさらなる改装や、「DOS/Vパソコン館」の業態転換により、以前よりもさらに内容の濃い「ツクモらしい個性的な品揃え」へと変わっていくことが期待される。
 
◆見え隠れする「インテリア」の影――今回閉店したツクモは果たして…

 さて、今回閉店となるツクモの店舗たちは一体どうなるのであろうか。

 「ツクモ大量閉店」の理由をもう1つ挙げるならば、ヤマダが「インテリア重視路線」へと転換したことも大きいであろう。ヤマダ電機は2011年に住宅メーカー「エス・バイ・エル」を買収して以降、家電販売事業との相乗効果を実現可能な「スマートハウス」の拡販を推し進めており、その一環として2019年12月には高級家具・インテリア専門店「大塚家具」をグループ傘下に収めている。それにより、2020年2月には都市型店舗である「LABI1日本総本店池袋」「LABI品川大井町」「LABI1なんば」「LABILIFE SELECT千里」を大塚家具とのコラボ店舗に刷新したばかりだ。
 ヤマダがこうした「大塚家具とのコラボ店舗」の更なる拡大を目指しているのは当然であり、「ツクモ大量閉店」の影には「大塚家具の存在」も見え隠れする。

 今後、ツクモのインショップが撤退したヤマダ電機LABIの店舗では、PC関連商品に代わって「家具・インテリア雑貨」の売場が現れることになるかも知れない。

<取材・文・撮影/淡川雄太・若杉優貴(都市商業研究所)>

【都市商業研究所】
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