ダンマリのまま(C)日刊ゲンダイ

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 一件落着とはいかない。安倍政権は22日の閣議で、3密賭けマージャンがバレた黒川弘務東京高検検事長の辞職を承認した。検察幹部が賭博に興じていたのだから辞任は当然だが、懲戒処分にあたらない「訓告」という大甘裁定。安倍首相は「責任は私にある」と言うが、口先だけで、法務・検察に黒川問題の責任を押し付けようと躍起だ。そんな汚い“幕引き”は許されない。

黒川氏の麻雀は非違行為に該当 東京高検作成資料で明らか

■賭博、マスコミ、ハイヤー送迎は「非違行為」

 国会公務員法が定める懲戒処分を免れた黒川氏は6700万円超の退職金を満額、手にするとされ、世論も野党も「処分が軽すぎる」と猛反発。追及された森法相は、22日の衆院決算行政監視委員会で「自主都合の退職ということで、退職手当法の規定に基づき支給される」とノラリクラリ。再調査の要求には「処分に必要な調査は終了しており、考えていない」の一点張りだった。

 人事院の「懲戒処分の指針」は、〈賭博をした職員は、減給又は戒告〉〈常習として賭博をした職員は、停職〉と明記している。「品位と誇りを胸に」と題し、東京高検非違行為等防止対策地域委員会が作成した文書には、懲戒処分を受ける信用失墜行為の例として、〈麻雀等の常習賭博〉と記載。〈利害関係者とみなす者〉には〈マスコミ関係者〉が挙げられ、無償で役務の提供を受けてはならない例として〈ハイヤーによる送迎〉がハッキリ書かれている。黒川氏の行動は「非違行為」にバッチリ該当しているのだ。

 公訴権を独占する検察ナンバー2が違法の賭博行為を認めているのになぜこうも大甘なのか。黒川氏といえば、検察の悲願だった司法取引の導入に中心的な役割を担ったともっぱら。3密賭けマージャンをあっさり認めた見返りに軽い処分で済んだのであれば、それこそ身内の“司法取引”だ。

■市民が黒川氏を刑事告発する可能性も

 検察官の罷免の勧告や適格の審査を行う「検察官適格審査会」に黒川氏を諮るべきとの声があちこちから上がっている。検事長の場合は職務不適格と議決され、法相の勧告を受けて罷免されれば、3年間弁護士として活動できない上、退職金は少なくとも減額される。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士がこう言う。

「本来ならば、政府は辞職を承認せず、検事長の職を解いた上で検適に諮るべきでした。訓告よりも厳正な処分が下されていたと考えられます」

 安倍官邸は「黒川氏の定年延長は法務省が持ってきた」「検事総長に監督責任がある」――と触れ回り、法務・検察サイドに責任をなすりつけて幕引きを図っているが、市民が黒川氏を刑事告発する可能性もある。

「そもそも、安倍政権が『退職により公務の運営に著しい支障が生ずる』として黒川氏の定年延長を閣議決定したこと自体、検察庁法を無視した違法行為です。黒川氏だけに世間の批判が集中すれば、それこそ官邸の思うツボではないか。違法な閣議決定をした安倍首相や森法相の責任を徹底して追及するべきでしょう」(元特捜検事で弁護士の郷原信郎氏)

 官邸も黒川氏も逃げ切りなんて問屋が卸さない。