「五月晴れ」は5月の空ではなかった!?

2020/05/24 08:06 ウェザーニュース

「五月晴れ」というと何を思い浮かべますか?新緑にふさわしい青空でしょうか。でも「五月晴れ」という言葉が生まれた時代は旧暦なので5月は梅雨のまっただなか。雨続きの時季に珍しく晴れた1日のことだったのです。

1873年に日本の暦が替わった

日本は7世紀以来「太陰太陽暦」を使っていました、月の満ち欠けにそった日付(1日が新月、15日が満月)と太陽の運行による太陽年を組み合わせた暦法で、うるう月が入る年もありました。それが1873(明治6)年に現在使われている「太陽暦」に替わりました。それまでの「太陰太陽暦」を旧暦、「太陽暦」を新暦と呼ぶようになりました。カレンダーに旧暦の日付を記載しているものもあります。それを見ると、今年(2020年)の旧暦5月は新暦で6月21日〜7月20日の30日間です。6月中旬から7月中旬は多くの地域で梅雨季です。平年の梅雨季(梅雨入り〜梅雨明け)は、近畿で6月7日〜7月21日、関東甲信で6月8日〜7月21日です。

江戸時代の「五月晴れ」

江戸時代の俳句では「五月晴れ」がどのように使われているか見てみましょう。<抱き起こす葵の花や五月晴れ>蝶夢蝶夢(1732〜1796年)は江戸時代の俳人です。蝶夢が詠んだ「葵」はタチアオイのことで、背丈が1〜3mに生長し、細い茎をまっすぐ上に伸ばします。そのタチアオイを抱き起こすのですから、強い雨に打たれて倒れていたのでしょう。ちなみに、タチアオイは梅雨入りの頃に花を咲かせ、梅雨明けの頃に花期を終わらせます。<朝虹は伊吹に凄し五月晴れ>麦水麦水(1718〜1783年)も江戸時代の俳人です。朝の虹を「凄し」と詠むほどですから、たいそうな迫力だったのでしょう。明け方まで降っていた雨があがって久しぶりに晴れたから虹が出たと考えられます。

「五月晴れ」の意味が変わった

『広辞苑』で「五月晴れ」をみると、「1.さみだれの晴れ間。強の晴れ間」と「2.5月の空の晴れわたること」と2つの意味が記載されています。気象庁も「『五月晴れ』は本来、陰暦の五月の梅雨時期の晴れ間の意味でしたが、今では5月のさわやかな晴天にぴったりの言葉として使われています」(「今日は!気象庁です!」平成25年4月号)といっています。旧暦から新暦に替わったため、「五月晴れ」の意味も変化したのです。ただし「五月雨(さみだれ)」は今も梅雨、梅雨の長雨という意味で使われています。

参考資料など

『俳句歳時記』(第五版)、『広辞苑』(第六版)