Kリーグの“ラブドール事件”に潜む韓国サッカー界の本質的な問題とは?

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韓国サッカー界で起きた“ラブドール事件”は、Kリーグのビッグクラブであり、最も多くのマーケティング人材を持つFCソウルで発生した事態であるだけに、責任者および関係者の懲戒や問責で終わらせることではない。

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劣悪な予算とマーケティング人材が足りない他クラブも警戒心を感じて、事態の本質を見極めなければならないだろう。

今回のラブドール事件は、昨年のユベントス対Kリーグ・オールスター戦で浮き彫りになった“クリスティアーノ・ロナウド不出場事件”とともに、韓国プロサッカー連盟とKリーグ・クラブが外部企業への十分な検証を怠ったために起きた代表的な最近の事例だ。

韓国プロサッカー連盟は5月20日、FCソウルのラブドール事件に関する賞罰委員会の懲戒案を発表した後、こうした指摘について「クラブも連盟も人材の限界とさまざまな制限の中で業務を進めている」と釈明した。

ただ、匿名を求めたとあるスポーツマーケティングの専門家とブランドマーケティング専門家は、それぞれ「マーケティング専門人材の不足」とプロスポーツクラブの「オープニングマインドの失踪」だったと指摘している。

人材問題はかなり前から指摘されている問題だ。

リーグを主管する韓国プロサッカー連盟事務局からして、各部署の重要担当者たちがこぞってほかのスポーツ団体へと転職してしまった。その抜けた穴を、クラブの主要スタッフたちよりも業務経歴が少なく、経験のない者たちで埋めたことを指摘されてきた。

またKリーグの主要クラブの中には、そもそもプロクラブとしての役割を果たすほどの人材構造を持っているのかという疑問もある。一部のクラブでは上層部と実務者間の不協和音によって、特定部署の専門人材がまったく関係のない部署に属している場合もある。

地域住民の生活の質に貢献しなければならないというプロスポーツ本来の価値を掲げ、広報・マーケティングの重要性を強調するが、その分野に特化した人材を配置することも少ない。

「マーケティングはサブ的位置づけという認識が強い」理由とは?

スポーツマーケティングの関係者は語る。

「プロサッカーなど主要スポーツクラブを見ると、選手支援チームや強化部署のように、今すぐ競技力や試合結果に影響を与えそうな部署には専門家を採用すべきだと声を出すが、意外にも最近の広報やマーケティング部署は担当者を循環させているだけのようだ」

そして、「マーケティングは(クラブ運営の中で)ややサブ的位置づけという認識が強い。そのためマーケティング専門人材がクラブを離れてしまったり、自分の意志通りに展開できなかったりする状況が多い」と指摘した。

甚だしくは一部のクラブは、広報やマーケティング責任者をその業務に専従させるのではなく、選手運営など他部署の業務と兼任させている。そのため主要事案に対するディテールをしっかり検証もできない。

興行と収益を目的とするマーケティングは、どの産業でも目に見えない部分に対しても徹底した研究と計算が伴わなければならない。

スポーツマーケティング関係者は「大多数のクラブが専門人材を置かず、多くの成果を要求する。そのため働く人たちは目に見えるものから手を出すしかないのではないか。今回のラブドール事件もそうした構造的問題とも無関係ではない」と述べた。

事件直後、「試合中に主要状況を把握できなかったというニュアンスの釈明は、マーケティング業務をする者が言ってはいけないことだ」と付け加えた。

「各クラブのスポーツマーケティングが硬直するのではないかと心配」

ブランドマーケティング専門家は、オープニングマインド失踪について言及する。

「例えばデパートなど流通業界では、開店時間が10時なら最低1時間前からすべての準備を終えて客を迎える。だが、プロスポーツは観衆が会場に入ってきても、何かを補修したり、慌ただしい。マーケティング概念でオープニングマインドと解釈することができるが、こうした部分が欠如すればラブドール事件のように取り返しのつかない状況に追い込まれる」

そう指摘したあとで、ブランドマーケティング専門家は言った。

「残念なことは、今回のことで各クラブのスポーツマーケティングが硬直するのではないかと懸念されることだ。スポーツをテーマにしたマーケティングは、挑戦的かつ多様でなければならない。クラブの上層部からの全幅的な関心と支援があれば、Kリーグの立場から今回の事態は災い転じて福となすはずだ」