コロナ時代には「紙とハンコ」の文化はヒトの命をおびやかす

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日本の業務では、紙とハンコが不可欠だ。とくに、官庁がそうだ。

これが日本の生産性の低さの大きな原因だったが、コロナ時代には、窓口に3密空間を作るなど、命を脅かすものとなっている。

マイナンバーを用いるオンライン申請が10万円給付で導入されたが、実際には、郵送より時間がかかる結果になっている。

役所への申請が命にかかわる恐ろしい作業に

コロナ関連で、公官庁へ申請をしなければならない場合が増えている。

紙にハンコを押し、窓口で並んで受け付けて貰う。混み合っていると、コロナウィルスの感染が怖い。

photo by Gettyimages

政府は感染を防ぐために人と人との接触を8割削減するよう求めているのだが、他方では、わざわざ3密空間を作り出しているわけだ。

郵便で書類を受け付けてくれる場合もある。大変ありがたいのだが、実際には、これも厄介だ。

資料がある場合、メールならPCにある資料を添付するだけで済んでしまうのだが、紙にせよといわれては、資料をプリントしなければならない。

ところが、プリンターなど、20年くらい昔にご用済みにしてしまったので、途方にくれてしまう。

他に方法が思いつかないので、PCのデータを見ながら、紙に筆記することになる。

何たること!

紙の資料がある場合、メールならスマートフォンのカメラで撮影して添付すれば済むのだが、それは駄目だという。

コピー機も、遙か昔にご用済みにしてしまった。そこで、コンビニエンスストアまで出かけていって、コピーしなければならない。

コピー機にもウィルスがついているかもしれないので、ビニールの手袋をし、完全武装体制で操作する。

これまでも、公官庁への申請は面倒なことだと思っていた。しかし、コロナの時代には、ひょっとすると命にかかわる恐ろしい作業になってしまった。

問い合わせには、電気的情報伝達手段も認められている。しかし、メールではなく、電話だ。 いくら掛けても、話し中で繋がらない。

IT革命というのは、20年くらい前のことなのだが、日本では遠い将来の夢だ。

紙の段階で止まってしまった日本

上で述べたシステムの基本は、紙だ。公官庁のみならず、日本のさまざまな業界が、紙の世界から抜け出していない。

送金もそうだ、キャッシュレスは遠い夢だ。僅かな金額を送金するにも、インターネットバンキングやATMでは駄目で、銀行や郵便局の窓口に行かなければならない場合がある。相手が口座振り込みを受付けないからだ。

窓口から送金するとなると、人が密集しているところで待たなければならない。なぜこんな危険なことをしなければならないのか? 日本のキャッシュレス化の遅れが、恐ろしいほどのコストになった。

日本の事務処理のプロセスは、コピー機とFAXという80年代頃の段階で止まっている。不動産業や建設業など、ファックスで受発注を行う業界もある。書類をPDFで送ってほしいと頼んだら、「PDFとは何?」と問い返されたという話がある。

こうした状態こそ、日本の生産性が世界的に見て著しく低い理由だ。インターネットが進歩したにもかかわらず、20年以上もそれに対応してこなかったつけが、ここにきて一気に顕在化しているのだ。

ハンコ文化から脱却できない

紙文化と密接に繋がっているのがハンコ文化だ。これは日本の遅れの象徴だと指摘されるが、そのとおりだ。

テレワークに移行したものの、役所に提出する申請書にハンコを押すためだけに、感染リスクをおかして出勤しなければならない。

社内の改革は、トップが決断すれば進む。しかし、社外については、取引先企業の事情や業界の取引慣行があるので、改革はなかなかできない。

そして、最終的には役所が立ちはだかる。いくら民間が改革をしようとしても、紙とハンコに守られた役所の壁を越えることはできない。

昨年の暮れに、日立キャピタルなど3社が、契約書に押印するロボットを開発した。サービスは月額制で、料金は数十万円程度だという。

「ハンコを押す行為を自動化するのでなく、ハンコを押す行為をなくす」のがイノベーションのはずなのだが、開発側としては、「人間がやらなくてもいい単純作業」をなくすことが目的だという。

本末転倒とは、こういう状態を形容するための言葉だ。

マイナンバーより郵送が速い

マイナンバーが導入された。これこそ、紙とハンコの日本の役所のシステムを大改革してくれるものと思っていた。

そして期待通り、10万円の給付金は、マイナンバーを使えばネットで申請できることになった。ついに、日本でも、公的申請をネットでできる。日本にもやっとIT時代が訪れた!

ところが、自治体の手続きが混雑しているのだという。オンラインで申請する場合、誤って記入しても、申請自体はできてしまう。また、マイナンバを使うと何度でも申請できるなどという奇怪なことが言われる。当該自治体以外の住民が申請するケースもあるという。このため、情報が正しいかどうかを確認しなければならないのだ。

オンライン申請された情報を職員がダウンロードし、住民基本台帳と照合して、申請者の氏名や生年月日などに誤りがないかを目で確認しているという。

二重振り込みを防ぐため、給付を求める世帯員の住民票コードを手で入力し、振込口座情報は添付書類の画像と照合する。銀行名が旧名だったり文字間のスペースがなかったりすることも多く、1つ1つ修正しているという。処理できるのは週1000件程度だという。

こうした作業に忙殺される自治体職員の方が気の毒だ。

さらに、暗証番号やパスワードを忘れてしまったり、住所変更などでカードが失効していたりしている場合があるのだが、その手続きをするため自治体の窓口を訪れる住民が急増している。

杉並区では、給付金以外の目的も含め、マイナンバー関連の窓口に1日あたり約300人が訪れ、一時は4時間待ちとなることもあったという。

墨田区は、窓口を訪れた住民から必要な資料を受け取り、処理してから郵送する「預かり方式」で対応することにした。

「今後申請する場合はオンラインも郵送も給付時期は大きく変わらない」という。むしろ、郵送の方が手続きがスムーズに進むのだそうだ。

マイナンバー とはこういう時にこそ真価を発揮するものと思っていたのだが、実際には郵送より手間がかかる???

日本政府はブロックチェーン技術を知らない?

紙とハンコのシステムから脱却するのに必要なのは、偽造やデータ改竄への対処だ。なぜなら、デジタル情報は簡単に書き換えられるからだ。

では実際に何が行なわれようとしているか? 「はんこ文化の見直しなど日本企業のIT化へ政府が本腰を入れ始めた」と報道された。

総務省は20日の有識者会議で、企業間でやりとりする請求書などの電子書類が本物だと証明する民間の認定制度の運用を2022年度から始める計画を提示した。

安倍晋三首相は4月27日の経済財政諮問会議で、「押印や書面提出の制度、慣行の見直しについて、早急に規制改革推進会議で取りまとめ、着手できるものから順次、実行してほしい」と「脱・ハンコ」を指示したとされる。

2022年までかかるとは! 多分コロナもその頃には終息しているだろう。日本におけるハンコからの脱却は、コロナワクチンの開発より時間がかかるのだ!

しかも、ここで考えられているのは、従来型の電子署名だ。それでもよいのだが、コストがかかる。

ここはブロックチェーン技術が、その真価を発揮できる分野なのだ。その技術はすでに実用化されている。だから、2022年度などということでなく、いますぐ導入出来る。

日本の政府は、なぜ新しい技術に全く無関心なのだろう?