ロシアのチェチェンおよびイングーシ両共和国の国境付近で祈るイスラム教徒ら(2018年10月10日撮影、資料写真)。(c)Vasily MAXIMOV / AFP

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【AFP=時事】ロシアの人権団体が捜査当局に対し、女性器切除(FGM)を受けさせられた9歳の少女の父親らと、施術した診療所の経営陣を告発した。ロシアにはFGMを禁止する特定の法律がなく、本格的な捜査が行われた場合には同国初のケースとなる。

 人権団体は、FGMがイスラム教徒が多数を占める保守的なロシア・北カフカス(Northern Caucasus)地方で横行しており、大勢の少女が毎年、命に関わる処置を受けさせられていると指摘している。

 この少女は北カフカスのチェチェン(Chechen)共和国に住んでおり、父親に会うために隣国のイングーシ(Ingushetia)共和国を訪ねていた2019年6月、首都マガス(Magas)にある診療所で父親が主導してFGMの施術を受けた。

 少女は医療従事者と継母に押さえ付けられ、泣き叫んでいても取り合わなかったと地元メディアは報じている。

 FGMに同意していなかった実母は、施術した診療所の婦人科医を告訴。昨年7月に捜査が開始され、婦人科医は現在、裁判にかけられている。

 だが、この事件に取り組んでいるロシアの人権団体「Stichting Justice Initiative(SJI)」は、重大犯罪の捜査を担当する捜査委員会(Investigative Committee)に、診療所および事件への関与者全員に対して広範な捜査を行うよう求めている。

 SJIの弁護士であるタチアナ・サッビーナ(Tatyana Savvina)氏は同団体が、性的に虐待したり意図的に未成年者に対して重傷を負わせたりしたとして診療所の経営陣を捜査委員会に告発したことを明らかにし、少女の父親と継母を含む「共犯者全員」の処罰を求めると述べた。

 イングーシの捜査委員会の広報担当者は、SJIの告発について検討すると答えるにとどめた。

 SJIによると、北カフカス地方では年間1200人を超える少女がFGMの施術を受けており、同地域の宗教当局はFGMは女性の貞操を促進するとしてこの慣行を支持している。

【翻訳編集】AFPBB News

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