ケーキのもとになったテトちゃんの写真
【○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.13】

「愛猫」というと、現在生きている飼い猫のことを思い浮かべやすいもの。しかし、亡くなった猫も飼い主さんにとっては大切な愛猫に変わりありません。

◆はじめは「警戒心の強い捨て猫」だった

「テトは私にとって相棒であり、彼女であり、奥さんでした。常に人間の側にいたい甘ったれだったので、いつでも一緒にいて、会話もたくさんしました。お互いがお互いを必要としていた。人生イチの絶望を味わったときも、彼女がずっと側に居てくれたお陰で乗り切れたんです。私たちはペットと飼い主という関係を超えた絆で結ばれていました」

 サイガ(@johndog_saiga)さんは今年の2月に亡くなったテトちゃん(推定10歳)との生活をこう振り返ります。

 2人の出会いは、とても運命的。当時、サイガさんは元配偶者と猫を飼うため、ペットショップへ行こうとしましたが、付近に野良猫がいないか気になり、試しに庭先にご飯をセット。すると、骨と皮だけのようなガリガリに痩せた猫が現れました。

 生きるために意を決して出てきたその猫はお外の厳しい世界で生き抜かねばならなかったため、警戒心が強かったそう。サイガさんはその猫に「テト」という名前を贈り、時間をかけながら信頼関係を深めていきました。

 玄関先でご飯をあげるまでに3か月、少し触れるまでに半年、ベッドでリラックスして眠るほど本格的な家猫になるまでに2年の歳月を要したといいます。

◆テトちゃんとの数々の思い出

 自分に向けられる無条件の愛を感じたテトちゃんは、やがてサイガさんを信じ、愛すように。サイガさんにだけは警戒心を緩め、平和主義な一面を見せるようになりました。

「病院で興奮したときを除けば、一緒に暮らした中で引っ掻かれたり噛み付かれたりしたことは一度もありません。おもちゃで遊んだり人間のご飯を盗み食いしたりすることもなく、夜になると寝るという猫らしくない猫。自分の事を人間だと思っていたのかも」

 テトちゃんとの思い出の中には、忘れられないエピソードも。自身の結婚式にテトちゃんをデザインしたケーキを発注したところ、なんともユニークな仕上がりに……。

「このケーキのお陰でいろいろな人たちと仲良くなれました。今でもテトとパティシエの方には感謝しています」

◆亡くなる2日前に“命がけの甘え”

 しかし、穏やかな暮らしはテトちゃんが「扁平上皮癌」と「脳腫瘍」を患ったことで一変。「がんの影響で顎が肥大し、ご飯が食べられなくなったため、最期の2か月ほどは喉にチューブを通して食べさせていましたが、みるみる痩せ細り、出会った頃のようにガリガリに…。

 腫瘍に押し出され片目は視力を失い、脳腫瘍の影響でまともに歩けなくなったテトちゃんを診て、獣医師の口からは安楽死という言葉も。

 しかし、どんなにフラフラになってもテトちゃんはサイガさんを見つけると必死にすりより、撫でると嬉しそうな表情を見せたそう。その姿を見たサイガさんは、テトちゃんが自分のしたいことを全力でしているうちは命を絶対に諦めないと心に誓いました。

 そんなある日、テトちゃんの甘えっぷりが激化。

「普段はベッドの枕元にある猫用のコタツで寝るのですが、その日は僕がベッドに入ると、ほふく前進のように這ってベッドに潜り込んで来た。今から思えば、これは死期を悟ったがゆえの“命がけの甘え”だったのかも知れません」

 それから2日後、テトちゃんは天国へ旅立っていきました。

 その日、サイガさんは夜勤を終え、早朝に帰宅。家のドアを開けて明かりを点けた瞬間、目に飛び込んできたのは玄関で息絶えている愛猫の姿。玄関タイルと同じくらい冷たくなった身体に触れたサイガさんは、その場で泣き崩れました。