(画像:Instagramの動画よりキャプチャ)
 クリスマスの風物詩とも言えるバレエの演目、くるみ割り人形。アメリカのボストン・バレエの舞台では、クリスマス・イブの夜、ドイツのシュタールバウム家の大広間で開かれるクリスマスパーティーに現れる大きなクマちゃんがいます。

 なんとも言えないシュールな可愛さのあるクマちゃんですが、踊りだすとその跳躍力といい、ターンの正確さといい、その身体能力に思わず萌えてしまいます。

 このクマちゃん、ボストンの大人気者で、クマちゃんをかたどったクリスマスツリーのオーナメントはすぐに在庫切れになってしまうのだとか。

 このクマちゃんの踊る様子はツイッターでもしょっちゅうバズっているほど世界中にファンをもつほど。今回、そんなクマちゃんにインタビューを行いました!

◆大げさに見えるジェスチャーを心がけているよ

 まずは名前を教えて下さい。

「僕の名前は、ナットクラッカー・ベアと言います」(ナットクラッカー・ベア、以下同)

 ナットクラッカー・ベアさんの中のダンサーは毎年違うのですか?

「セカンドソリストのローレンス・ラインズがダンサーだよ。彼がボストン・バレエに入団してからすぐに、ベアとして踊ってくれるようになってから10年が経つかなぁ。実は僕の目と鼻の近くには小さなメッシュの覗き穴があって、そこからローレンスは外が見えるんだけど、彼曰く、この穴からはステージの床しか見えないんだって。

 最初のうちは大変だったけど、彼は練習に練習を重ねて、今じゃ目を閉じてもナットクラッカー・ベアのダンスが踊れるって言っているよ! あと、彼がスゴいのはその日の観客の反応に合わせて、ハッピーに踊ったり、悲しげに踊ったりと毎回ダンスのフィーリングを変えているんだ」

https://youtu.be/B62mOfKBFbo

 ナットクラッカー・ベアとしての心得は何かはありますか?

「舞台では、シュタールバウム家のクリスマスパーティーにサプライズゲストとして現れる僕。だから、華やかで豪華な登場の仕方をしなければいけないんだ。

 ほかのお客様を楽しませて、おかしくてコミカルな僕のパーソナリティを表現するために、大げさに見えるようなジェスチャーを心がけているよ。特に、舞台の端から端まで子供たちと駆け回って、大きく跳躍したり、たくさんターン(回転)したりするのが大好き!」

◆お休みの日は何しているの?

 ナットクラッカー・ベアさんのプロフィールを教えて下さい。

「ボストン・バレエで踊り始めたのは1987年。今年で33年目になるけど1回も休んでいないよ! 僕の初めてのコスチュームはエミー賞も受賞したデザイナー、デイヴィッド・ウォーカーが作ってくれたんだけど、今のコスチュームは2012年にロバート ペルジオが作ってくれたもので、デイヴィッドはコスチュームの秘密のレシピをロバートに伝えたんだ。

 そしてロバートはコスチュームをもっと動きやすいようにと、軽く長持ちするように改良してくれたんだ。僕の毛皮はね、146メートルのチュール生地から出来ているんだけど、4キロの重さしかないんだよ!」

 オフシーズン中は何をしているのですか?

「友達とダンスに出かけるのが大好き。あとは色々な人に出会ってハグするのも! クリスマス前の休日にはボストン中を歩き回ってクリスマスの気分を皆と分かち合うのが趣味かな。オフシーズン中は、実はドロッセルマイヤー老人(※)と一緒にバケーションに行くようにしている。そして、この期間には、クリスマスに最高の踊りができるように、たくさんダンスレッスンをしているんだ」

(※)くるみ割り人形に登場する人形師のおじいさん

 日本でもSNSでジワジワ人気が広まっていますが知っていましたか?

「もちろん! こんなに離れているボストンに住む僕を応援してくれるなんて、本当に嬉しいね、っていつも団員達と話しているんだ。今は残念なことに、新型コロナウイルスで劇場もお休みだけど、その分、家で練習に励んでいます。いつか皆さんに舞台で会い、踊りを通じてマジカルな時間を共有できるといいな。日本の皆さんには僕の愛と感謝を捧げます! くれぐれも体に気をつけてね。Stay safe!」

<文/此花わか>

【此花わか】
映画ライター。NYのファッション工科大学(FIT)を卒業後、シャネルや資生堂アメリカのマーケティング部勤務を経てライターに。ジェンダーやファッションから映画を読み解くのが好き。手がけた取材にジャスティン・ビーバー、ライアン・ゴズリング、ヒュー・ジャックマン、デイミアン・チャゼル監督、ギレルモ・デル・トロ監督、ガス・ヴァン・サント監督など多数。Twitter:@sakuya_kono Instagram:@wakakonohana