Jリーグ公式からの質問に回答する形で、鄭が昨季抱えていた想いを明かした。写真:徳原隆元

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 Jリーグ公式ツイッターは、「#教えてほしいJ 選手がプレー時に考えていたことを"勝手に”質問していく企画」と題して、プレー動画とともに選手本人に当時の考えやプレーのイメージを問う投稿を行なっているが、23日には清水エスパルスの鄭大世のプレーを取り上げ、同選手に質問を投げ掛けている。

 今回取り上げられたプレーは、2019シーズンのJ1リーグ4節・ヴィッセル神戸対清水エスパルス戦の鄭のゴールシーン。清水の1点ビハインドで迎えた88分、ワンタッチプレーの連係で鄭にボールが入ると、振り向きざまに右足を一閃。これは相手のブロックに阻まれるが、エウシーニョからのお膳立てのパスを受けて再び左足を振り抜くと、鮮やかな弧を描いたシュートがゴール左隅に収まった。

 Jリーグからの「#鄭大世選手のゴール隅への完璧なシュート どんなこと考えていたのでしょうか?」という質問に対して、鄭は次のような返信を送っている。まずはシュートブロックされたシーンには「決めたくていいターンから打ったら上がった。うわっ、めっちゃエウシーニョフテってる。悪い事したかな」と良いタイミングで鄭のそばを駆け抜けていたエウシーニョの怒った様子の素振りにコメント。その後、リバウンドからゴールへの一連の流れには「でもボールが。。ください チラッと中を確認。いないからどうにかいい角度で打てる所に置こう 来た相手がさわれない所に左足だけど打ったらループ気味にいいコースに飛んでくれた ウヒョーー」と、詳細な説明を加えつつ感情豊かに表現している。

 ところが、このゴールは鄭にとって、その陰にあった忘れがたいストーリーを思い起こさせたようだ。鄭の投稿が続く。
「エースのドグは不整脈のせいでいないのに負けてる状態で3人目の交代で残り7、8分しかくれなくて序列が下がってる状況にどうにか結果出して見返してやりたかった。
この次の週が代表ウィークでこの試合スタメンの滝がアンダー代表で週末の紅白戦でいなくてトップ組でハットトリックした」

 この神戸戦でゴールを決め、さらにその後の紅白戦でも絶好調のパフォーマンスを見せた鄭だったが・・・。ここからさらに鄭が当時を振り返り、思いの丈を連投していく。
「流石にスタメンだなと思いきや試合2日前に帰ってきた滝があっさりスタメン組で練習に入った。
怒りを通り越して笑いが出た。歳もとって、自分が思ってる自分と周りから見えてる自分は違うんだなと冷静に感じた」

「後日談で監督勇退後スタッフに聞いたら監督も、流石にむごいというスタッフの空気を感じたようで前日練習でスタメンで、そこから5試合スタメンで出れた。
相性もあるし、他人のことは変えられない。でも自分のことは変えられる。
経験したことない地獄に落とされるような悔しい思いをたくさんしたけど」

「成長するための思考を学ばせてくれたと今では感謝してる。(もういい歳だったけど)
未熟な自分の人間性を正してくれたし。
増田誓志の言う通り、監督は選手の実力を平等に見る。1年通してやって試合に出れないならそれは自分以外の誰のせいでもない。
矢印は常に自分」

 このように綴った鄭は最後に「という当時の思い出を振り返って懐かしむためにここに残しておこっと。コメントが迷路みたいになったな」との投稿で質問への回答を締めた。

 意外にも選手の知られざる思いや、表立って見えてこないチーム事情まで引き出す格好となったJリーグからの質問。今回の企画は、スーパープレーの陰にはこうした興味深い物語があることも改めて示してくれたと言える。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部