どこにでもいる女性でも気が付くと、その世界の『沼』にはまってしまうケースを紹介する同シリーズ。今回の沼は、お財布の中で小銭がジャラジャラするのが嫌で始めた「キャッシュレス決済」に、はまってしまった女性を紹介します。

合理的な性格にぴったりだったキャッシュレス決済

「最初は、友達と東京ドームにコンサートを見に行ったんです。その時、周りのコンビニはどこも混んでいて、レジもすごく大変な状況。ペットボトル1本買いたかったのですが、そんな中、1万円札しかなくて、おつりがジャラジャラってなるし、崩すのも嫌だったんです。その時、交通系カードでの支払いをしてみたら、スムーズにレジも終わるし便利だなって思ったのがきっかけですね」

そう語るのは、キャッシュレス決済には目がないという桐山あかねさん(仮名・33歳)。現在は、生命保険を扱う企業に契約社員として勤めています。黒髪を後ろに一つに束ね、シフォン素材のワンピースの上からはパーカを羽織ったカジュアルなファッション。サバサバとした話し方で、仕事もてきぱきとこなしそうな雰囲気です。

あかねさんがキャッシュレスにこだわるのには、「面倒なことが嫌い」という性格が関係しているかもといいます。

「まず、レジなどでお釣りを渡されて、確認する手間が面倒って思うんです。特に、最近は人手不足なのか、目の前でお札を数えないで手渡すケースも。お釣り間違いなどは、あまりないと思いますが、レジでいちいち『お釣りの確認をさせてください』と言って、列を止めるわけにはいかないので、キャッシュレス決済って合理的なんですよね。キャッシュレス決済にはクレジットカードを使ったオートチャージと、ATMやレジから現金で入金する方法があるんです。オートチャージのほうが便利なのですが、常に5〜6種類のキャッシュレス決済を利用しているので、残額が少なくなるたびにオートチャージされてしまうと、それだけで現金がなくなってしまってピンチに……。そのため、面倒なのですが入金だけ現金で行なっています」

確かに、コンビニなどの混雑している列では、キャッシュレス決済を利用すると現金で支払うよりもスムーズで、利便性に慣れてしまうと現金より扱いやすいといえます。

「仕事も契約社員のため、給与が上がる見通しが立たないんです。でも、日常生活の中での細かな節約は苦手……。去年から、オリンピックでのインバウンド客を見越して、キャッシュレス決済の導入が進んだんです。そのためキャッシュレス決済は、ポイント還元率が高かったり、キャッシュバッグなどのキャンペーンが盛んでした。だから、どれも試してみましたね」

小銭ジャラジャラは嫌なのに……キャッシュレス決済のカードを複数持ち

いつでもチャージできるようにATMの場所を確認

しかし、キャッシュレス決済ならではの弊害もあるといいます。

「毎日使うコンビニが、家のそばと、会社の近くとで違うチェーン店なんです。例えば、セブンイレブンは、セブンイレブンホールディングスで使えるnanacoがメインのため、イオン系のWAONだけ使えないので、私は、セブンはnanaco、まいばすけっとはWAONと使い分けています。またマツキヨもedyは使えてWAONが使えないので、マツキヨではedy使っています。結局、それぞれで使えるキャッシュレス決済が違うので、それに合わせてカードやアプリも入れている感じですね。また、ドラッグストア、東急ハンズやLOFTというようなメイク用品や文具などを購入する店も、店舗によって利用できるキャッシュレス決済が違うので、事前に買い物に行く前に入金しています。キャッシュレス決済って、利用はできるのに店舗のレジで入金ができないというケースが、凄く多いんです。そのため、入金ができるATMや、チャージできる機械がある場所も、同時に把握しています」

ここまでして、キャッシュレス決済にこだわっているあかねさん。ちなみに、財布の中はどのような状況なのでしょうか。

「店ごとに使える電子決済カードやアプリが違うので、キャッシュレス決済用のカード入れを常に携帯して、複数持ちしています。それぞれが常に使える状態にするために、給与が入金されると、数千円ずつ分散して電子決済のできるカードや、アプリに入金していますね。それぞれの残高がわからないので、カード入れに付箋を付けて『残 1500円』というように、残高がわかるようにしています。デジタルなのか、アナログなのかわからないですよね……」

と苦笑するあかねさん。しかし、新型コロナウイルスの感染予防もあり、キャッシュレス決済ができないと不安になってしまう「キャッシュレス決済」沼に、ますますハマっていくことに……。〜その2〜に続きます。

スマホがあれば、ほぼ手ぶらで買い物も可能な時代に。