数が増えているだけでなく色の深みを出すために進化している

 最近は塗装の色数が増えているだけでなく、深みを出したりと大きな進化を遂げているのはご存じのとおり。その代表格がマツダのソウルレッドで、実際に目にすると確かになんとも言えない深みと、ツルリとした濡れたようなツヤにほれぼれするほどだ。同様の塗装は、三菱のエクリプスクロスのレッドダイヤモンドなど、他社でも増えているし、赤に限らずさまざまな色で採用されるようになった。

 これら、じつは塗装屋さん泣かせなのだ。見る側からすると、きれいな色の新型塗料を使っているのだろうという程度なのだが、今までの塗装と塗り方が違う。塗料自体も進化しているが、ポイントは塗装の仕方にあって、これが補修時の塗装を難しくしている。

 そもそもソウルレッドなどはなにが違うのかというと、簡単に言ってしまうとクリアに色が付いているという点が大きく異なる。クリアに色が付いているのはキャンディ塗装と呼ばれ、アメ車のカスタムペイントやヘルメットなど、アフターでは昔からある手法。これを純正塗装に採用したということが画期的なのだ。

 塗装断面を超簡単にいうと、今までは下地/色/クリアだったのが、下地/色/色付きクリアとなる。もちろん1回で一気に色を付けるのではなく、それぞれの段階で何回かにわけて塗り重ねていく。この塗り重ねが問題で、クリアにも色が付いているのが泣き所。重ねる回数や塗料の量で色がどんどんと変わってしまうというのは一般的な塗料にはない点で、わかりやすくいえば、透明の赤いセロファンを重ねていくとどんどんと濃くなっていくが、これと同じ。

 補修の際、色付きのクリアをどれだけ吹いて重ねるかの見極めが非常に難しく、塗りすぎてしまうと他との境が出てしまって、元に戻せない。そうなると、側面全部を塗るほうが早かったりするが、そうなると費用も時間もかかる。保険修理にしても査定でもめることも多いという。

 そもそも新車でも、ロットや工場によって色味が微妙に違うというだけに、とにかくぶつけたりしないように注意を払うのが大切になってくるのだけは確かだ。