新型コロナウイルスの感染縮小に伴い、熊本県の休業要請が全面解除された21日の夜、熊本市の繁華街にはまだ自粛ムードが漂っていた。店は顧客離れや感染「第2波」への懸念を抱えながら、新たな難題にも直面していた。「カラオケで大声禁止?」「キャバクラで会話だめ?」−。県が示す“新ルール”に、夜の街は困惑している。

 街の人出はやや増えたが、大多数はマスク姿。焼き肉店のスタッフは「きょうのお客は1組。みんな帰宅が早いですよ」。2次会、3次会と飲み歩く客は少なく、スポーツバーの男性店長も「再開した日は常連が20人以上来たが、その後は開店休業」と嘆く。

 悩みの種は客足だけではない。密閉、密集、密接の「3密」回避など「新しい生活様式」に沿って県がまとめたチェックリストが、客商売を難しくしている。

 リストでは、キャバレーやクラブなど接客を伴う飲食店に対して「従業者と入場者のマスク着用の徹底」や「会話を控える」よう求める。カラオケ店やスナックでも「大声」は避けるべきだとする。あるキャバクラ店関係者は「守れるはずない。ボーイはともかく、ホステスにマスク着用で接客させるのは非現実的」と明かす。

 リストの浸透も課題だ。下通1丁目で30年近く続くスナック「ビクトリー」のマスター牛島信広さん(73)は「県のチェックリスト? 知りませんね」。県はホームページで公開しているが、パソコンもスマートフォンも持たない牛島さんには見ることができないという。

 「まあ『密』にはなりませんよ。来るのは常連が1人、2人ですから」。それよりも困るのは、支援制度の手続きの煩雑さ。「問い合わせ窓口の電話もつながらず、まだ現金が入らない。ビルオーナーが賃料を下げてくれたから助かっているが、このまま第2波が来たら耐えられるかどうか…」

 チェックリストを厳守しているのか、換気のために扉を開け放ったスナックもあった。言葉も音楽も聞き取れないが、大音量のカラオケが午前0時の街に響いていた。 (古川努、綾部庸介)