ひっそりと再開した吉原

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 緊急事態宣言延長の折、パチンコ店のように騒がれてはいないが、東京都内一の色街もひっそりと営業を再開している。そのなかに一風変わった店がある。応援団よろしく、安倍総理の支持を掲げ続けているのだ。

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 およそ150軒のソープランドがひしめく吉原では、その半数ほどがGW明けの5月7日から再始動した。

 従業員や利用客から感染者は出ていないながらも、時節ゆえに各店舗とも電飾やHPなどでの宣伝も控え目。お目当ての泡姫が予約できた“姫予約”の客が来店するときだけシャッターを開ける営業形態もある。

 かような吉原にあって異彩を放つのが、「カモミール」という老舗。入浴料2万7千円でサービス料が4万円、しめて6万7千円の高級店だ。店の公式ツイッターを覗くと、

〈例のマスク来たら文句垂れるよりこうやってアピールした方が絶対プラスになると思います/皆さん!ウチのキャストはみんな似合いますよw〉(5月9日付)

“小顔アピール”で指名を増やす作戦かもしれない。しかしなにより、マスク配布で国民の不興を買っている安倍総理が喜ぶこと請け合いだ。

ひっそりと再開した吉原

 究極の濃厚接触が繰り広げられるエリアから総理への援護射撃とは、一体どんな店なのか。

「カモミールの“安倍信者ぶり”は知る人ぞ知る事実です」と、吉原の事情通。

「待合室に、ゴルフ雑誌や実話誌、スポーツ紙に加えて産経新聞が置かれているんです。一般紙ですら珍しいソープランドで産経だけとはね。今年3月、朝日新聞の編集委員が“新コロナウイルスは痛快な存在かもしれない”とツイッターに不適切投稿したときなんか、“これは我慢できません”と痛烈に批判していましたよ」

政府を信じて

 風俗ライターの伊藤裕作氏が後を受けて解説する。

「もともとこの街で働いていた女性が店の経営者兼店長です。20年ほど前、高級店の『グランドキャニオン』を買い取ったんですよ。周辺店舗から“男社会に女が入ってきやがって”と苛(いじ)められる雰囲気が残る時代から渡り合ってきただけに、とても芯の強い方です」

 そんな女性の店は、ほかにもあらゆる機会でメッセージを発している。たとえば昨年10月の消費増税時。

〈そもそも政府は10%に上がる予定を2度も延期してくれましたし、当店自体は値上げは致しません〉

 そして先月、初の緊急事態宣言が出される際にも、

〈感染拡大防止に全面的に協力し一定期間営業自粛させて頂きます〉

〈日本の医療を政府の判断を信じております〉

 こんな具合にいち早く反応して休業入り。なぜそこまで熱烈に支持するのか。カモミールに訊ねると、

「そのあたりについてお話しするのは難しいですね」

 と言うのみ。安倍総理を後押しする一方で、総理の自粛継続の求めに背いて営業再開。応援団として悩ましいところかもしれないが、背に腹はかえられなかったのだろう。

「週刊新潮」2020年5月21日号 掲載