●「Messenger Rooms」の特徴とは?

○大手ベンダーからWeb会議サービスが続々登場

新型コロナウイルスの影響から、テレワークやリモート授業に取り組む企業や教育機関が急速に増えた。これまでも働き方改革の一環としてテレワークの採用は推奨されていたが、期待されていたほどは普及していなかった。

しかし、今回の新型コロナウイルスインシデントをきっかけにテレワークが一気に普及した。ロックダウンや外出自粛要請などを受け、テレワークの実施を余儀なくなされたことが発端となっているが、この取り組みで「テレワークは利用できる」と認識する企業が増加しているのは間違いのないところだ。

今後、テレワークの利用がどのように進むかはわからないが、少なくとも当面はテレワークの活用は加速すると見られる。賃料を削減する目的で、新型コロナウイルス収束した後も、テレワークの採用をさらに進める企業も出てくる可能性もある。本店をより賃貸料の安い物件へ移し、支店も廃止や縮小、それに替わってテレワークを活用するスタイルだ。大きな固定費である賃料を削減できれば、事業継続にとって有効だ。

こうした状況で、最初に脚光を浴びたWeb会議は「Zoom」だった。100人規模のビデオ会議を40分間までなら無料で開催できるというのが人気を得た大きな理由だったように思う。他のサービスが提供している上限人数では、会議が開催できないケースが多い。しかし、Zoomであれば無償で試すことができる。使ってみると簡単だし、アプリもサービスもよくできている。通信時間上限を撤廃する有償版の月額料金も廉価だ。一気にユーザーが増えるのも納得だ。

こうした状況を受け、Web会議サービスを提供してきたベンダーが大きく動き出した。Zoomと類似したサービスを類似した価格帯で提供するようになってきたのだ。先日、Googleが「Google Meet」の無償化を発表したが、Zoomのサービスを強く意識したものになっている。そしてFacebookも「Messenger Rooms」と呼ばれる同様のサービスを発表した。

○FacebookのWeb会議サービス「Messenger Rooms」が開始

Facebookは2020年4月24日(米国時間)、「Introducing Messenger Rooms and More Ways to Connect When You’re Apart - About Facebook」において、同社のメッセージングサービスである「Messenger」にチームビデオ会議機能を導入すると発表した。この機能は「Messenger Rooms」と呼ばれている。それまれは一部ユーザー限定で公開していたが5月14日に正式公開された。

Messenger Roomsの主なサービス内容は次のとおり。

実のところ、Messenger Roomsは「Web会議サービス」としての機能はそれほど高くない。最大参加人数50名で会議時間上限なし、会議のロックや特定ユーザーの参加だけ許可するといったように最低限必要になる機能は用意されているが、他のサービスと比較すると「会議性」は弱い。

Messenger Roomsは、メッセージングサービス「Messenger」を強化するという位置付けの意味合いが大きいい。現在、これまでMessengerでコミュニケーションを取ってきたユーザーがZoomに流れている。FacebookはMessenger Roomsを投入することで、こうしたユーザーを取り戻すことを狙っているようだ。

メッセージングサービスとして、FacebookのMessengerは大きな成功を収めた。Messenger Roomsはこのサービスをさらに強化するためのものであり、「Web会議サービス」として利用できるものの、その方向性は弱い印象だ。

●「Messenger Rooms」を実際に使ってみる

○Webブラウザとモバイルアプリに対応

Messenger RoomsはMessengerにWeb会議機能を追加した形であり、基本的にMessengerだ。これまでのように、PCならWebブラウザから利用できるし、モバイルならMessengerアプリから利用できる(モバイルからWebブラウザも使用できる)。導入はWeb会議サービスの中で最も簡単だ。

○Messenger Rooms使用例(Webブラウザ)

PCでFacebookを使っているなら、Messenger Roomsの利用は簡単だ。Messengerのアイコンをクリックすると下にカメラのアイコンが追加されている。これがMessenger Roomsを開始するボタンになっている。

Messenger Roomsを開始するボタン

このボタンをクリックすると新しくダイアログが起動してくる。カメラとマイクを利用する必要があるので、途中で次のように許可を与える必要がある。場合によっては、このタイミングで一旦Webブラウザを再起動する必要がある。

Webブラウザにカメラとマイクへのアクセス許可が必要

Webブラウザにマイクへのアクセスを許可

Webブラウザにカメラへのアクセスを許可

カメラとマイクへのアクセスを許可すると、次のようにルームへの参加が可能になる。

ルームへ参加する

この手順でルームを作成した場合はルームに誰もいないので、URLをコピーして参加してほしい他のユーザーへ伝える。会議に招待する相手はFacebookのアカウントを持っている必要はなく、Webブラウザが使用できればよい。

会議室のURLをコピーして参加してほしい人に伝える

会議の様子

提供されている機能はシンプルなものだ。Webブラウザの機能を使ってシンプルに構築されたチームビデオ会議サービスといった印象だ。

○Messenger Rooms使用例(モバイルアプリ)

モバイルアプリからの操作も大して変わらない。Messengerアプリで連絡先を表示すると上部に次のように「ルームを作成」という項目が追加されている。

ルームを作成

「試す」を押して機能を開始する

ルームを作成すると次のように自分だけがログインしたルームが表示される。PCと同様に、URLを参加してほしいユーザーに伝えて参加してもらうという仕組みだ。

URLをコピーして参加してもらいたいユーザーに伝える

そうすると、次のような感じで会議が可能になる。

会議の様子

MessengerアプリのRooms機能もシンプルだ。既にMessengerを使って他のユーザーとコミュニケーションを取っているなら、操作に戸惑うことはないと思う。

○ZoomとGoogle Meetとの違いは?

導入の障壁という点で、Zoom、Google Meet、Messenger Roomsを比べると、Messenger Roomsが最も低いと言えるだろう。

Zoomは、アカウントは簡単に作れるが、PCもモバイルもアプリが必要、Google MeetはWebブラウザから利用できるが、Googleアカウントが必須だった。Messenger Roomsは両者のよいところ(というか簡単な方向)を取ったような仕組みになっており、アカウントが緩くてWebブラウザも使える。

Messenger Roomsにおいて、ホストはFacebookアカウントでログインしている必要があるが、ゲストはFacebookアカウントがいらない。ここまではZoomと同じだが、会議を行うにあたってアプリケーションも不要だ。Webブラウザがあれば利用できる。この点はGoogle Meetと同じだ。アカウントが不要で、Webブラウザのみでよい。Web会議に誘うにあたり、ZoomとGoogle Meetよりも障壁が低いと言える。

こうした点を加味しつつ、Zoom、Google Meet、Messenger Roomsを比較すると、最初の取り掛かりとして次のような切り分けができるのではないかと思う。

高度な使い方をしようとしない限り、Zoom、Google Meet、Messenger Roomsにはそれほど大きな違いは感じず、慣れたらそれほど問題にならないと思う。どのサービスも簡単に使い出すことができるので、実際に使ってみてから、どのサービスを本格的に利用するかを判断するのがよいだろう。

PCから使うことをメインに考えるなら、Webブラウザで動作するGoogle MeetとMessenger Roomsよりも、Zoomアプリケーションのほうが便利な面はある。長期的に使用するのであれば、そうした扱いやすさに加え、会議中の負荷やバッテリー消費についても検討したほうがよいと思う。バッテリーをかなり消費するので、場合によってはWeb会議のあとはノートPCのバッテリーが空になることもある。実際に利用する環境で試してみていただきたい。

○Webブラウザへのカメラアクセス許可には注意

Messenger Roomsでは、Webブラウザにカメラやマイクへのアクセスを許可することになる。これはGoogle Meetも同じ仕組みだ。Webブラウザは頻用するアプリケーションであり、Webブラウザにカメラやマイクへのアクセスを許可することは、それなりに危険も伴う。Webブラウザにカメラやマイクへのアクセスを許可したことは覚えておこう。