牝馬クラシック第1弾のGI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)は、重馬場というタフなコンディションで行なわれた。その悪条件をモノともせず、豪快な末脚を繰り出して快勝したのは、2番人気のデアリングタクト(牝3歳/父エピファネイア)。3戦無敗で戴冠を遂げた。


桜花賞は2番人気のデアリングタクトが快勝した

 1番人気のレシステンシア(牝3歳/父ダイワメジャー)も、完璧な競馬で対抗していた。だが、勝ち馬の決め手が一枚上だった。その後、レシステンシアはクラシック路線には進まず、GI NHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)に出走。強豪牡馬相手にも2着と奮闘し、世代トップレベルの力があることを改めて示した。

 一方、牝馬クラシック第2弾となるGIオークス(5月24日/東京・芝2400m)に向けては、その前哨戦やトライアル戦で新興勢力が台頭。既成勢力を脅かしそうな存在が次々に登場している。

 桜花賞と同日に行なわれたオープン特別の忘れな草賞(阪神・芝2000m)では、ウインマイティー(牝3歳/父ゴールドシップ)が勝利。父譲りのスタミナと重馬場適性をいかんなく発揮した。

 過去、本番での好走馬を多く出しているGIIフローラS(4月26日/東京・芝2000m)は、ウインマリリン(牝3歳/父スクリーンヒーロー)が制覇。直線で最内をスルスルと抜け出して、1分58秒7という好タイムを記録した。

 そして、その翌週に行なわれたリステッド競走のオープン特別・スイートピーS(5月3日/東京・芝1800m)では、1戦1勝のデゼル(牝3歳/父ディープインパクト)が大外から強襲して完勝。母はフランスの二冠牝馬アヴニールセルタンという良血が、大物感たっぷりのレースぶりを披露して、オークスへの最終切符を手にした。

 今回をこれらの結果を踏まえて、オークスに向けての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回はオークスに出走予定の3歳牝馬の実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。


 1位は、桜花賞で一冠目を獲得したデアリングタクト。今回はオークス出走予定馬だけが評価対象となっているが、仮にレシステンシアが評価対象だったとしても、同馬のトップは変わらなかったであろう。果たして、オークスで二冠達成なるか。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「桜花賞前の前回ランキングで、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)が2位だったように、エルフィンS(1着。2月8日/京都・芝1600m)の内容はケタ違いでした。桜花賞では、そのことをきっちり証明。他馬とは次元が違うレースを見せて、圧勝しました。

 レシステンシアが完璧な競馬をして、しかも道悪。さらに、3着に逃げたスマイルカナ(牝3歳/父ディープインパクト)が粘ったように、切れ味が発揮できない流れだったにもかかわらず、差し切り勝ち。その点は、高く評価すべきでしょう。

 今回のTF指数は、抜けた1位。他馬が伸び悩んでいる現状を考えると、オークスでの頭は”鉄板”でしょう。どのくらい強い競馬を見せてくれるのか、期待しています」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「桜花賞は、天気と馬場が読みどおり。◎スマイルカナと、○レシステンシアで決まった、と思ったんですが……。まさか、あそこからデアリングタクトが差し切るとは……。後続馬には厳しい展開となって、内に入れていく騎手がいるなか、迷わずに大外へ出したのが、鞍上の自信の表れだったと思います。

 オークスに向けて、血統やこれまでのパフォーマンスから、距離への心配はありません。また、今年は無観客。初めての東京で、大観衆にさらされないという点は、落ち着いてレースに臨める可能性が高く、そこは好材料かな、と。

 ただ、キャリアがわずか3戦というのは、不安材料。一本かぶりの人気となって、揉(も)まれる競馬になると、簡単な競馬にはならない、と見ています」

 2位は、圏外から急浮上したデゼル。スイートピーSでは、大外から突き抜けて快勝。その末脚は、多くの関係者やファンに強烈なインパクトを与えた。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「470堊宛紊離妊ープインパクト産駒で、胴長+脚長。それでも、つなぎは通常ぐらいの長さ。その体形から、ストライドが伸びない印象を受けますが、(脚の)回転が速いため、軽さと切れ味を秘めています。まだ多少頭が高いのは、前が強いバランスで、トモ腰に甘さが残っているからですが、一気にギアが上がる末脚の破壊力は魅力です。

 オークスでは、中2週で再度関東への長距離輸送となりますが、キャリアが浅く、馬格がある分、そうしたローテもこなせると踏んでいます。走法や持ち味から、上がりが強調される舞台が合うタイプ。ポジショニングなどの課題は残るものの、オークスの舞台でありがちな4角団子状態によって、直線での瞬発力勝負となれば、まとめて面倒を見るぐらいの能力は秘めています」

土屋真光氏(フリーライター)
「スイートピーSは、決してレベルの低いメンバー構成ではありませんでした。それを、直線で仕掛けて、軽く一蹴してしまうのですから、その能力は認めざるを得ません。とくに、エンジンがかかってから、グッと沈み込むフォームはすばらしく、距離が延びてもよさそうな感じがします。

 少し遅めのペースだったとはいえ、上がり32秒5をマークした末脚は、簡単に出せるものではありません。18頭の競馬を経験し、エリンコート(母エリンバード)、ミッキークイーン(母ミュージカルウェイ)、ソウルスターリング(母スタセリタ)など、フランス産やフランスで実績を残した母を持つ馬はオークスとの相性がいい、というのもプラス材料となります」

 3位は、クラヴァシュドール(牝3歳/父ハーツクライ)。前回、一度はランク外に落ちるも、桜花賞で4着に食い込んで再浮上を果たした。

木南氏
「桜花賞では不利があって、そこから立て直しを図って、内に進路を選んでの4着。底力は見せることができたと思います。

 昨秋のGIIIサウジアラビアロイヤルC(2着。10月5日/東京・芝1600m)で、東京競馬場を経験しているのは大きいですし、そこで敗れた相手がGI朝日杯フューチュリティSの勝ち馬で、GI皐月賞2着のサリオスというのは、誇れるポイント。ハーツクライ産駒で、距離延長も苦にしません」

本誌競馬班
「桜花賞では、デアリングタクトに次ぐ追い上げを見せました。ハーツクライ産駒ゆえ、そもそもオークス向き、という印象があります」

 4位は、前回5位のミヤマザクラ(牝3歳/父ディープインパクト)。同馬も、桜花賞で5着と善戦したことが評価されたようだ。

吉田氏
「母系の血から、桜花賞での渋化馬場は合うと思っていましたが、レース後の鞍上・福永祐一騎手のコメントでは『ノメった』とのこと。それでも、直線はジリジリと盛り返して、5着入線を果たしたことは評価していいでしょう。

 早くから『オークス向き』と言われていた逸材。ゆったりとしたローテーションには好感が持て、桜花賞組の中では余力があるほうだと思います」

市丸氏
「GIIIクイーンC(2月15日/東京・芝1600m)の快勝を見ても、明らかに府中はいいタイプ。兄に、菊花賞3着のポポカテペトルや、芝2400m以上の条件戦で3連勝を飾ったボスジラがいて、距離延長も望むところ。オークスでは、かなり有望だと思います」

 5位は、フローラSを勝ったウインマリリン。2位のデゼル同様、トライアル戦を制して、初のランクインを果たした。

土屋氏
「時計が速い開催1週目だったとはいえ、フローラSでマークした1分58秒7という勝ち時計は立派。そもそも時計勝負には不安があって、馬力タイプと見られていただけに、同馬の総合力の高さをあらためて認識させられた感があります。

 そして侮れないのは、父スクリーンヒーロー譲りの成長力。オークスでは、一気に戴冠まで期待できると思っています。不安があるとすれば、10垳困撚走した前走の反動。しかし、この中間で(調教を)手控えている様子はなく、それで体をしっかりと増やしてくれば、期待はさらに膨らみます」 いよいよ間近に迫ってきたオークス。勝つのは、実績ある桜花賞組か、それとも勢いある新興勢力か。白熱の戦いから目が離せない。