古馬牝馬の「春の女王決定戦」GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)が5月17日に行なわれる。

 今年は、GI6勝を挙げて「現役最強馬」と言われるアーモンドアイ(牝5歳)が参戦。他にも、現在重賞3連勝中のサウンドキアラ(牝5歳)や、昨年のGIオークス(東京・芝2400m)を制したラヴズオンリーユー(牝4歳)など、ハイレベルなメンバーがそろった。

 そうなると、穴馬の出番はなさそうに思えるが、ヴィクトリアマイルの過去のレースを振り返ってみると、決してそうとは言い切れない。過去10年の結果を見てみても、5番人気以上が6度も勝っているのだ。

 3連単の配当に目を向ければ、5万円以上が8回もあって、そのうち5回は10万円超えとなっている。なかでも2015年は、5番人気のストレイトガールが勝利し、12番人気のケイアイエレガントが2着、18番人気のミナレットが3着に入って、配当額はなんと2070万5810円。GI史上最高の超高額配当が飛び出している。

 となれば、狙うは穴馬券。そこで、過去10年の結果を参考にして、人気馬たちの間に割って入ってきそうな、伏兵馬を探し出してみたい。

 まず注目したいのは、前年の勝ち馬。それも、人気薄になりそうな場合である。

 というのも、そうした例か過去に何度もあるからだ。

 たとえば、2012年の覇者ホエールキャプチャ(4番人気)は、翌2013年には12番人気まで評価を落とすも、2着に突っ込んできた。そして、同年のレースを制したヴィルシーナ(1番人気)も、翌2014年には11番人気という無印に近い存在でありながら、連覇を成し遂げた。

 さらに、2015年に勝利を飾ったストレイトガール(5番人気)も同様だ。同馬は、翌2016年も7番人気と伏兵の域を出なかったが、強豪馬を退けて連覇を果たしてみせた。


昨年の覇者ノームコア。連覇なるか。

 そうなると、昨年の優勝馬ノームコア(牝5歳)には、自然と目がいく。しかも、前走のGI高松宮記念(3月29日/中京・芝1200m)で15着と惨敗し、ここでは上位人気が見込めないとなれば、なおさらだ。

 ホエールキャプチャ、ヴィルシーナ、ストレイトガールの3頭も、直近のレースで振るわず、伏兵扱いに甘んじていたが、相性の良い舞台で復活。波乱を演出してきた。今年はノームコアが、その役割を担ってもおかしくない。

 続いて、注視したいのは「上がり馬」だ。ただし、下級クラスを勝ち上がって、今回が昇級初戦という馬ではない。今回で言えば、セラピア(牝4歳)、トーセンブレス(牝5歳)は対象外となる。

 着目すべきは、オープンクラスに昇格後、前哨戦となるGII阪神牝馬S(阪神・芝1600m)に出走。そこで奮闘し、ヴィクトリアマイルに挑んできた馬たちだ。

 実は、こうした馬たちがしばしば好走している。2017年に6番人気で勝利したアドマイヤリード、同年に7番人気で3着となったジュールポレール、そして2018年に7番人気で3着に入ったレッドアヴァンセらがそうだ。

 いずれも、条件戦を勝ち上がって、その直後に阪神牝馬Sに出走。アドマイヤリードは2着、ジュールポレールは3着、レッドアヴァンセも2着と善戦した。だが、勝利するまでに至らなかったことで、一線級相手には通用しないと見られてか、それぞれ大一番では低評価にとどまっていた。

 今回、この臨戦過程に近い馬は3頭いる。シャドウディーヴァ(牝4歳)、トロワゼトワレ(牝5歳)、メジェールスー(牝5歳)だが、前述の3頭と同じく、2走前に条件戦を勝ち上がって、前走で阪神牝馬S(4月11日)に臨んだ馬は、メジェールスーのみ。ここでは、同馬を推奨したい。

 ただ、メジェールスーは阪神牝馬Sで11着と大敗。過去の3頭と違って、馬券圏内(3着以内)に入るような好走は見せていない。その分、厳しい戦いになることは予想されるが、重賞初挑戦でコンマ8秒差なら、及第点と言えるのではないか。過去の激走馬と同様の臨戦過程を踏んできた同馬の一発を期待したい。

 最後にピックアップしたいのは、重賞戦線で長く活躍していながら、人気薄に甘んじていた馬である。2017年に11番人気で2着に入ったデンコウアンジュや、2019年に11番人気で3着に入線したクロコスミアなどがこのパターン。

 デンコウアンジュは、2歳時にGIIIアルテミスS(東京・芝1600m)を勝利。以降も、重賞で掲示板(5着以内)に載ることは何度もあったが、GIでは馬群に沈み、勝ち負けに加わることがなく、ここでも上位人気を得るまでには至らなかった。

 クロコスミアも、4歳時にGII府中牝馬S(東京・芝1800m)を制覇。その後も、エリザベス女王杯で2度も2着になる実績がありながら、直近の重賞で敗戦を繰り返して、人気が急落していた。

 しかしながら、こうした重賞勝ちがあって、重賞戦線で奮闘してきた馬たちは要注意。自らの状態を含めて、舞台や展開などがかみ合えば、前評判を覆して台頭することがあるからだ。

 この2頭に似たタイプは、今年もたくさんいる。そこで、2頭に共通する部分がもうひとつあることがわかった。それは、東京の重賞を勝っている点だ。

 今回、これに合致する馬は2頭いた。スカーレットカラー(牝5歳)とプリモシーン(牝5歳)である。

 スカーレットカラーは、昨春にオープン入りして重賞戦線で健闘。昨秋の府中牝馬Sで初の重賞制覇を遂げた。さらに、前走の阪神牝馬Sでも2着と好走している。

 プリモシーンは、すでに重賞3勝。2走前にも、牡馬混合のGIII東京新聞杯(2月9日/東京・芝1600m)を快勝している。

 それぞれ、この実績からして、通常ならば人気上位になるところだが、今回は冒頭で挙げた強力な3頭が出走。人気の盲点といった存在になりそう。過去の例からして、そんな2頭の激走があっても不思議ではない。 天皇賞・春、NHKマイルCと、波乱が続く春のGIシリーズ。いずれも、過去の激走馬に似たタイプが好配当を演出している。今回も、ここに挙げた4頭を軽視するのは禁物だ。