●少なくない通信量を消費するWeb会議

○便利なWeb会議、でも自宅にWi-Fiがないと厳しいかも

新型コロナウイルスの影響で、日本でもテレワークやリモート授業が一気に広がった。テレワークに関しては、これまで総務省や厚生労働省が推進の旗振りを行ってきたが、想定されていたほど活用が進まなかった。

そうした中、新型コロナウイルスの感染拡大は良くも悪くもテレワークやリモート授業を広げるきっかけとなり、多くの企業や教育機関がこうした技術の活用を経験することになった。

光回線や4G(第4世代移動通信システム)の整備に、スマートフォンやPCの高い普及率など、日本はテレワークやリモート授業を実現するためのインフラやデバイスが比較的整った状態にあった。最近はWeb会議のアプリもサービスも簡単に使えるようになっている。アプリやサービスは無償のままでもかなりのことができるし、有償の料金もそれほど高くない。技術的にも状況的にも、Web会議を使ったテレワークやリモート授業を実現する障壁は低かったといえる。

こうした技術を実際に利用できることがわかったことで、多くの組織がWeb会議の活用を初めている。しかし、検討しなければいけない事情が存在していることも事実だ。特に、モバイルデータ通信しかデータ通信手段を持っていない学生や個人、家族がこうした問題に直面している。

○モバイルデータ通信には上限がある

スマートフォンで動画を見過ぎたり、スマートフォンでテザリングを行っている間に誤ってPCソフトウェアのアップデートを行ったりして、スマートフォンのモバイルデータ通信の上限を超えてしまったことがある人もいるだろう。

モバイルデータ通信の上限を超えるとどうなるかというと、通信速度が著しく遅くなる。4Gの通信速度に慣れていると、この遅さは耐え難いものがある。通信速度制限の解除はタイミングはキャリアごとに異なっており、注意が必要だ。

Web会議では少なくない量の通信データが使われる。しかも、時間も長い。1時間や2時間といった単位で利用されることが多い。毎日Web会議をするとなると、それなりの通信が消費されることになる。

以下のスクリーンショットは、筆者が実際にWeb会議アプリ「Zoom」で1時間のWeb会議を行った後の通信量を示したものだ。このケースでは、1時間で680MBほどの通信量が消費されたことになる。通信速度制限の上限にひっかかる条件はキャリアとプランに依存しているので、なんとも言えないのだが、以下のスクリーンショットのケースだと、この日にあと何回か同じような会議をすると、上限に到達する可能性もある。

1時間のZoomビデオ会議で消費された通信量

通信速度制限の対象となると生活が不便になるので、Web会議を行う場合はWi-Fiに接続するなどして、モバイルデータ通信を使わないようにすることが推奨されることが多い。しかし、自宅からの作業を求められる現在、そもそもWi-Fiがないという環境があることに留意する必要がある。

●スマホでWeb会議を快適に行うための打開策は?

○Wi-Fi環境を持っていない人も多い

光回線およびプロバイダーとの契約を行い、自宅にWi-Fiルータを設置してあるような環境では、Wi-Fiに接続してZoomなどのビデオ会議アプリを使用すればよい。そうしたケースでは、スマートフォンではなくPCが使われることも多い。通信量は定額であることが多く、いくらWeb会議を行っても通信速度制限が発生するといったようなことは起こらない。

しかし、これが親元を離れて暮らしている学生であったり、単身で生活を行っている社会人、家族持ちでも単身赴任中など単身で生活しているといったケースでは、そもそも光回線およびプロバイダとの契約を行わず、スマートフォンだけで生活していることもある。

また、その住居で数年間しか生活しないことがわかっているなら、光回線やプロバイダー契約の手間や費用を考えて契約しないこともある。それに、4Gが普及した現在では、光回線ではなく4Gですべて済ませるというのは悪くない選択肢だ。そうなると、スマートフォンのモバイルデータ通信機能を使ってインターネットを利用することになる。

これまではそれで問題なかったわけだが、テレワークやリモート授業などが日常化して、日々Web会議を行うようになると、「通信速度制限」が大きな問題になる。

通信速度制限がかかってしまうと、Web会議どころではない。4Gのみでビデオ会議を行う場合、条件がよくても時折タイムラグが発生することがある。通信速度が制限されている環境では、動画はまともに使えないと思っておいたほうがよい。

○ビデオ会議用のSIMカードを買うという策もあり

時間的にも予算的にも許されるのであれば、光回線とプロバイダーの契約を行い、Wi-Fiルータを設置するのが無難だろう。通信速度制限を気にする必要がないし、場合によってはこれまでよりも安定したインターネットの利用が実現する可能性がある(もちろん、集合住宅地では光回線を導入してもあまり期待できないケースもある。ケースバイケースなので、契約と導入は状況をよく調べてから行ったほうがよい)。しかし、契約含めて導入はそれなりに面倒である。

手軽な選択肢の1つはWeb会議用のSIMカードを用意することだ。一番簡単なのはプリペイドのSIMカードを買うことだろう。オンラインショップで注文できるし、対応するキャリアのものを選べばスマートフォンがSIMフリーである必要もない。もちろんSIMカード購入という費用は発生するが、これからどれだけWeb会議が行われるかわからないのであれば、とりあえずWeb会議用のSIMカードを買って使ってみるというのは悪くない選択肢ではないかと思う。費用を最小限に抑えつつ、当面の要求に対応できるのではないかと思う。

ある程度今後の見通しが立ったら、現在契約しているプランを変更して通信上限を引き上げるといった方法も取れるようになるだろう。どの程度の通信量が必要になるかがわかれば、プランを変更したほうがお得か、都度SIMカードを買ったほうがお得か、光回線を導入したほうがお得か、その辺りの計算ができるようになる。

○おまけ - 自由度は上がるけれども明るさに気をつけて

モバイルデータ通信でWeb会議をする場合、Wi-Fiや有線が必要となるPCと違って、いろいろな場所からWeb会議ができる。以前、必要があって移動中に公園からWeb会議に参加したことがあった。

移動中に会議に参加できるし、便利だなと思っていたのだが、時間帯が夕方だったこともあって会議中に周囲がどんどん暗くなっていった。30分も経つとすっかり暗くなってしまって、自分の顔が認識できないほどになっていた。ある程度明るい場所でないとこちらの表情を相手に伝えるのは難しい。一定の照度が確保できない場所からWeb会議するなら明るさの確保は考えておこう。