賀来満夫教授(左上)、三鴨廣繁教授(右上)、舘田一博教授(左下)、村井満チェアマン(写真はいずれもオンライン会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット )

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 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と日本野球機構(NPB)がつくる『新型コロナウイルス対策会議』は11日、第7回会議を開催した。全国に緊急事態宣言が発出されている中、再開日程の議論は今後に持ち越し。それでも新規感染者の減少傾向が着実に続いていることで、シーズン再開に向けて具体的な内容が話し合われたようだ。

 政府は今月14日に専門家会議を開催する予定。各種報道によると、特定警戒都道府県を除く34県の緊急事態宣言解除を視野に入れた議論がなされるという。その場合、JリーグやNPBでもようやくシーズン再開に向けた「第一関門」がクリアされる形となる。

 この日、対策会議に出席した東北医科薬科⼤の賀来満夫教授は、会議終了後の報道陣向けオンライン説明会で「新規感染者の減少傾向が認められているのは事実」と指摘。政府専門家会議にも出席している日本感染症学会理事長の舘田一博教授(東邦大)も「確実に出口に向けた議論が進行しているという状況になってきた」と現状を評価した。

 もっとも、かといって安心できるわけではない。ドイツの例などでも表れているように自粛要請により減少した感染者は、自粛が解除されれば再び増加に転じる可能性があるからだ。賀来教授は「韓国では再びクラスターが起きているし、欧州でも自粛を緩和したところで再び感染が起きている」とし、「再流行のリスクはある」と警戒を呼びかけた。

 とはいえ、再開に向けた機運が着実に高まっているのも事実。この会議に出席している3人の専門家と全国各地でリーグ・クラブのアドバイスを行っている5人の地域アドバイザーは今後、再流行のリスクを踏まえたガイドライン資料を作成。これは3月12日に公表していた『提言』の改訂版にあたる。「ゼロリスクにはならない中で、緊急事態宣言が解除された後にどうリスク管理をするのか」(賀来教授)を明確にしていく構えだ。

 その中では全体トレーニング、練習試合、公式戦を再開していくための基準となる「出口戦略」も盛り込まれるようだ。賀来教授は「独自に基準を出すことではない」とし、あくまでも国や地方自治体が出した基準が大前提となることを強調しつつも、折に触れて判断材料となるような「ガイダンス、ガイドラインを作り上げていきたい」と述べた。

 また段階的な再開を進めている最中に感染が起きた場合には、ある種の「撤退戦略」も必要になる。愛知医科大の三鴨廣繁教授は「地域全体の数、チーム内の数、リーグ内の数も決めておいたほうがことがスムーズに進む可能性がある」とし、一定以上に感染が広がった場合の対応基準を定めるように勧めた。

 こうした壁を乗り越えて無事に試合が始まっても、ホームとアウェーを移動するリスクも生じうる。三鴨教授は「飛行機にしろ、新幹線にしろ、健康管理をされた選手が移動する分には大きなリスクにならないだろうと判断している」としつつも、市中感染の第二波や第三波に警戒。その上で「大きな障壁は各地方自治体、首長の同意。ここがないと世論が許さないだろう」と先を見据えた。

 この点について賀来教授は「自治体の首長との話し合い、関係構築をしていって、相互的に議論していくことが求められる」と説明。「現時点のことではあるが、これからプロ野球、Jリーグがそういった方々との議論を始めていくことが必要。自治体との関係性をしっかりつくっていただきたい」と述べていた。

 さらにJリーグの村井満チェアマンは選手や関係者の感染拡大リスクを減らすため、民間検査キットを活用した検査体制の確保も示唆。「世界各国で再開するところもあるが、再開したところで再流行が報じられているところもある。再開についてだけでなく、具体的にどうやったら安定的に運営できるのかと、長期の視点で準備していかないといけない」と覚悟を語った。

(取材・文 竹内達也)