「今思えば、ただのクソガキが文句を垂れているだけだよ(笑)。その場にいたチームメイトは驚いていたね。大人しいタイプだと思っていた自分がそんなことを言うなんてって感じで。すごく腹が立って、冷静さを欠いていたのは事実だよ。興奮状態にあったし、発言したあとのことはほとんど何も覚えていない」

 もう、これで代表には選ばれないと思った。チームのボスに面と向かってたてついたのだから、当然の思考である。しかし、7月のオランダ遠征に臨むメンバーの中には「福田」の名前があった。そして、このオランダ遠征が福田にとって”良い流れ“を作るきっかけになる。

「いきなり初戦(デンヘルダー・アマ代表/結果は1−0)で起用されたんだよ、スタメンで。それも(本職の)フォワードではなく、トップ下で。なぜ使われたかと言えば、(代表チームの中心だった)ヴェルディ勢が遅れて合流することになっていて、その初戦で“たまたま”俺に出番が回ってきた」

 そのチャンスを福田はモノにする。

「試合後のミーティングで、俺はオフトに評価された。『良かった』と。そうしたら2戦目(AZ戦/結果は2−0)と3戦目(トゥベンテ/結果は0−0)でも使われて。慣れないトップ下で試行錯誤しながらも、一生懸命やった。それがオフトに認められたかは分からないけど、『やれる』という自信は芽生えた。と同時に、このあたりからオフトとのわだかまりが解けていった、少なくとも俺の中ではね」

 自信と指揮官への信頼。そのふたつが膨らんだことで、福田に良い風が吹き始めた。<エピソード2に続く/文中敬称略>

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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