外出自粛で運動不足を心配する人も増えているのでは? 家の中でも簡単にできる「コロナ太り」解消法を紹介(写真:USSIE/PIXTA)

外出自粛や在宅勤務によって、今「コロナ太り」に悩む人は少なくない。スポーツジムも臨時休業が続く中、自宅で簡単にできる「痩せる方法」はないだろうか。

内科、循環器科の専門医として、数多くの患者と日々接している医学博士の池谷敏郎氏。血管、心臓などの循環器系のエキスパートとして『モーニングショー』(テレビ朝日)、『深層NEWS』(BS日テレ)などテレビにも多数出演しているが、過去15キロ以上の減量に成功し、57歳でも体脂肪率10.6%を誇ることはあまり知られていない。

その減量メソッドを全公開した著書『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』が13万部のベストセラーになっており、日テレ系列『世界一受けたい授業』にも出演した池谷氏に、「『自粛のコロナ太り』を解消できる生活習慣3秘訣」について解説してもらう。

今、多くの人が悩んでいる「コロナ太り」

今、世界中の人々が闘っている新型コロナウイルス。緊急事態宣言が発出され、全国で不要不急の外出を控える「外出自粛」の日々が続いています。


今は、外に出て他者と接しないことがいちばん大切なことですが、ずっと家にいるとどうしても運動不足になってしまいますよね。いわゆる「コロナ太り」を心配する人も少なくないでしょう。

運動不足は肩こりや腰痛、抑うつ気分などの不快な症状のほか、「内臓脂肪」の蓄積の原因となります。運動することは、体調管理や「内臓脂肪」の蓄積防止に役立つとわかっていても、なかなか実践できないのが現状ではないでしょうか?

そこで、フィットネスジムなどの環境や時間をわざわざつくらなくても、家にいてできる簡単な方法をご紹介します

それは、「生活習慣」をちょっとだけ変えるだけのとても簡単なことなのです。毎日の「生活習慣」を、ちょっとだけ工夫するだけで、体調不良のみならず、「内臓脂肪」がたまったぽっこりお腹の解消に役立ちます。

では、そんな「コロナ太り」を解消する生活習慣をご紹介しましょう!

まず、1つ目は「いすに座るときは背もたれを使わない」ことです。

「かかとの上げ下げ運動」は血液循環の滞りを解消

【1】いすに座るときは「背もたれ」を使わない

オフィスワークなどで、日中は長時間座りっぱなしという人は多いと思います。しかし、長時間の座りっぱなしは血行を悪くして、肩こりや腰痛の原因となるばかりでなく、肥満や生活習慣病にもつながってしまいます。

オーストラリアの研究機関の調査では「座っている時間が、1日4時間未満の人たちと比べて、11時間以上の人たちは、死亡するリスクが40%も高まっていた」という報告があります。

長時間座っていると、背もたれをつい使ってしまいがちですが、人間の頭の重さは成人で約5キロ。ボウリングの球と同じくらいの重さになるので、姿勢の違いで体にかかる負担も大きく違います。

まっすぐに頭を支える姿勢なら、肩や背中全体で頭の重みを支えることができるので無理がありません。しかし、背もたれにもたれかかると頭が前方に出て、首と肩に大きな負担がかかってしまいます。少しでも「座りっぱなしの弊害」を減らすために、いすの背もたれには、なるべく寄りかからないようにして、「背筋をまっすぐに保つ」ことを心がけましょう。

このいすの座り方を利用して、猫背の解消の体操を紹介しましょう。ビルの5階を見上げるようにして上方を見上げ、両腕を斜め上に突き出します。次に、ボートを漕ぐように両肘を曲げながら握りこぶしを胸に引き寄せましょう。このとき、左右の肩甲骨を寄せ合うようにして「背中の谷間」ができるようにします。この運動を3回繰り返すと、猫背が解消されて姿勢がよくなります!

【2】「かかと上げ下げ」のながら運動

2つ目は職場や日常の中でできる「最も簡単な運動」です。それは「かかとの上げ下げ運動」です。台やテーブル、あるいは壁につかまって「ギュッとかかとを上げて、止めて、下ろす」だけの簡単な運動です。

ふくらはぎの血管は、重力に逆らって血液を心臓に送り返すために、ポンプのような働きをしています。この運動をすると、ふくらはぎの血管は圧迫と弛緩を繰り返すことになり、ポンプ機能が促進されます。


かかとの上げ下げ運動のイメージ(出典:『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』)

「かかとの上げ下げ運動」で下肢の筋肉を動かすことは、血液循環の滞りを解消するとともに、脂肪燃焼を促す効果も期待できます。

料理をしながら、テレビを見ながら、人を待ちながら、いつでもどこでもできます。

仕事中でも、立っているとき、コピーをとるときなどにやってみましょう。電車の中でも、吊り革につかまりながら行えばいいのです。

この運動は1日1〜5分、3セットほど行うのが理想的です。ちょっとの隙間時間でできるので、気がついたときに少しずつやってみましょう。

3つ目は、お腹と背中がくっつくようなイメージで、下腹を凹ませる「ドローイン」です。

【3】いつでもどこでも「ドローイン」

お腹を引っ込めたままで、呼吸は普段と変わりなく行います。お腹が気になって呼吸が止まったり、浅くなったりしがちですが、普段と変わりない呼吸になるように気をつけましょう。また、そのときは背筋を伸ばした「いい姿勢」をキープしてください。


出典:『50歳を過ぎても体脂肪率10%の名医が教える内臓脂肪を落とす最強メソッド』

たったこれだけのことですが、「体幹(インナーマッスル)」を鍛え、お腹ぽっこりを解消してくれる強力なエクササイズです。立っていても座っていても、いつでもどこでもできるのが「ドローイン」のいいところです。

私は、「いつも周囲の人に、自分のお腹を見られている!」という緊張感をもって、普段から意識して行っています。歩きながら行ってもOKなので、ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください。

「小さな積み重ね」で「コロナ太り」に勝つ!

内臓脂肪の蓄積を防ぐには、食べすぎないことが最も重要ではありますが、運動習慣も欠かすことはできません。毎日の生活習慣、一つひとつはとてもシンプルなことですが、やるとやらないでは大違い。「小さなことの積み重ね」が、後々の結果にとても重要な意味を持つのです。

今までの生活習慣を「変える」わけですから、少々の節制は必要になります。誰でも自分が慣れ親しんだ習慣を変えるのはつらいものです。でもそのままでは一生「お腹太り」から逃れることはできません

だから、最初は「ちょっとだけ」ガマンしてください。でも、これも続けるうちにガマンがガマンでなくなり、「習慣」になってきます。そうなったら、しめたものです。

「ステイホーム」を呼びかけている今、「運動ができない状態」でもダイエットを諦めることはありません。今こそダイエットのチャンスと考えて、「コロナ太り」を解消しましょう!

「見た目」も若返れば、気持ちも前向きになるものです。ぜひ内臓脂肪を落とし、筋力を強化して「コロナ太り」にもコロナウイルスにも勝って「健康な体と心」を一気に手に入れてください。