「“ぽっかりと空いた時間”に、いま考えられること:WIRED DEPOT #15 真鍋大度」の写真・リンク付きの記事はこちら

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、フィジカルな空間でのイヴェントや展示の自粛が余儀なくされている。緊急事態宣言の延長により自粛要請期間はさらに長引き、今回のパンデミックが収束したとしても実空間での“体験”のあり方は大きく変化することになるだろう。

そんな変化の最中、4月3日にライゾマティクスがスタートさせた実験的なオンラインイヴェント「Staying TOKYO」。齋藤精一とともにこのイヴェントを仕掛けるアーティストの真鍋大度が、外出制限が続くこの時間に手に取った“ヒント”と“刺激”を受けるための書籍とサーヴィスとは──。

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『生きている前衛―山口勝弘評論集』
山口勝弘:著、井口壽乃:編〈水声社〉

いつかゆっくり読もうと思って眠らせていた本。1952年から2001年まで半世紀に渡る山口勝弘の思考の軌跡。答えは載っていないかもしれないが、環境、芸術、人間の関係を改めて考える上でメディアアートの先駆者である山口勝弘が残した言葉に触れてみたいと考えた。

芸術の社会における役割の変化とインターネットや様々な映像装置の誕生など、大きなテクノロジーの進化のなかで行われる思考実験には何かヒントがあるかもしれないと期待もしつつ、普段読むことが出来ないボリュームなので、ぽっかりと空いた時間を使って読んでみたい。

Bandcamp

ぼくは普段、昔聴いた曲をじっくり聴き返すより新しい曲を聴くことが好きなのですが、こんなときだからこそ刺激が欲しいし新しい音楽を発掘していきたい。そしてミュージシャンを応援したいので、Bandcampを堀りまくる。

カルチャーの役割・テクノロジーにできること

日々変わる状況のなかで言葉を残すことは難しいことだなと感じておりますが、まずは最前線で働いている医療従事者のみなさまに敬意を表し、感謝いたします。人の命に関わる活動に比べたら文化活動が担うものというのは非常に限られたものだと感じていますが、この状況が改善した際にはまたわたしたちの活動の場所が戻って来ると願っています。

とはいえ、人が集まること、近づくことが難しくなる状況が続き、ヴァーチャルスペースではなく、リアルスペースで身体の全感覚を使って作品を体験するということがこれまでよりも特別なものとなっていくのは間違いないと思います。

また、離れた場所にいる人とどういったコラボレーション、コミュニケーションが出来るかを改めて考える必要があると感じています。現在のインフラ、サーヴィスを使って今までのチームを壊さず、経験、感覚の延長線上で出来ることが徐々に見つかっていくと思いますが、当分のあいだは不完全で未熟なツールを扱い作品を体験していくことになることを覚悟して知恵を絞っていきたいです。

また、公衆の安全と衛生のために収集された情報が感染経路を特定するという本来の目的以外のために二次利用されないよう、細心の注意を払っていただきたいと思います。

真鍋大度|DAITO MANABE
アーティスト、DJ、プログラマー。2006年、Rhizomatiks(ライゾマティクス)設立。15年よりライゾマティクスのなかでもR&D的要素の強いプロジェクトを行うRhizomatiks Research(ライゾマティクスリサーチ)を石橋素と共同主宰する。特集「WIRED DEPOT」失ってはならない「越境への意思」:WIRED DEPOT #1 松島倫明怒ることの練習:WIRED DEPOT #2 樋口恭介どこかでゆるくつながる場所を。生存戦略としてカルチャーを:WIRED DEPOT #3 但木一真ソーシャル・ディスタンシングによる「過度さのリバランス」:WIRED DEPOT #4 佐宗邦威「寛容な世界」のために、自分には何ができるだろうか:WIRED DEPOT #5 北村みなみ変わりゆく生活のなかで、変わらないルールと戯れる:WIRED DEPOT #6 ミヤザキユウ短利至上主義を超えるための「斥力」の価値:WIRED DEPOT #7 豊田啓介創作活動としての「自炊」を楽しもう:WIRED DEPOT #8 山口祐加窮屈な社会。何を残して何を削るか、その“センス”を養うカルチャー:WIRED DEPOT #9 なみちえ「いまここ」を生きた先に:WIRED DEPOT #10 青江覚峰“おいしい生活”のトリップから醒めなければならない:WIRED DEPOT #11 篠田ミル ヒト型に対応した空間に個別隔離された〈わたしたち〉:WIRED DEPOT #12 長見佳祐「忖度で固められたモノ」が文化であってはいけない:WIRED DEPOT #13 Licaxxx「家にいる動物」が植物から学ぶこと:WIRED DEPOT #14 伊藤直樹“ぽっかりと空いた時間”に、いま考えられること:WIRED DEPOT #15 真鍋大度