1963年11月22日、ダラスで暗殺された第35代アメリカ大統領、ジョン・F・ケネディ事件の再現ドラマとドキュメンタリー。CIAの元調査員や米軍関係者、映画監督のオリバー・ストーンら66人と共に、膨大な資料を駆使して真実に迫ろうとした渾身作。単独犯とされたリー・H・オズワルドが「自分は嵌められた」と言い残した謎の言葉。当作は背後に国家の部下であるCIAの存在を匂わす。

貧乏と孤独の中で育ったオズワルドは海兵隊員で、厚木でソ連KGBの息がかかったMIDORIという日本人ダンサーに誘われる。ソ連に亡命したが、彼の地に絶望して米国に戻り、右翼のエドウィン・ウォーカー将軍の暗殺未遂をしてCIAの駒になり暴発する。ソ連から連れて戻った妻・マリーナの証言で背後が明かされて行く。

金をかけた再現ドラマに大いに期待したが、結局、結論は「匂わせる」だけだった。何故ならば、2017年に公開された膨大な資料の残りを、公開すると言っていたトランプ大統領が、公開拒否してしまったので、肝心のキモの部分はわからずじまいなのだ。忖度するに、まだ恐ろしい黒幕関係者が生存していて、トランプを脅した?

従って、当作は『大山鳴動して鼠一匹出ず』だ。所々、印象的な場面があった。オズワルドが教科書倉庫で狙撃した後、逃げるために脇の道路に走ってゆくと、そこに待っている筈の車は影も形もなかった。嵌められた彼は捨て駒として文字通り捨てられたのである。(放送2020年4月29日19時30分〜、5月2日21時〜)

(黄蘭)