左から稲本、小野、本山。数多のワールドクラスと対峙した彼らが口を揃えて激賞したのは?(写真はインタビュー当時)(C)SOCCER DIGEST

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 当サイトで好評を博した連載『黄金は色褪せない』。1999年のナイジェリア・ワールドユースで銀メダルに輝いた“黄金世代”のなかから、小野伸二、遠藤保仁、小笠原満男、稲本潤一、本山雅志の5人に登場してもらい、そのフットボール哲学の全容に迫ったインタビューシリーズだ。

 そこで紹介した興味深いエピソードから、厳選した秘話を再度お届けする当企画。今回は3人の選手にぶつけた、「対戦して一番スゴかった選手は誰?」という質問への回答を抜粋して紹介しよう。

 小野、稲本、本山の3人が迷いなく挙げた人物は──。時代を駆け抜けた若き寵児たちに、“ジズー”が与えたインパクトは特大だったようだ。

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 日本サッカー史上、間違いなく「テクニカル部門」で首位の座を争うだろう小野伸二が、これまでに対戦したなかで「コイツにだけは敵わない」と衝撃を受けた選手はいるのか。

 国内外でさまざまなワールドクラスと対戦してきただけに、さぞや悩み抜くかと思いきや──。いやはや、即答だった。
 
「ジズーです」
 
 フランス代表の英雄、ジネディーヌ・ジダンの愛称だ。2002年の夏、UEFAスーパーカップで対戦した。レアル・マドリーとフェイエノールトの顔合わせだ。
 
「まさに銀河系のレアルとやったんですよ。ロベカルがいてラウールがいて、1−3で負けたんですけど、内容はもうぜんぜんです。それはもうすごい面子で。そのなかでもジズーはさらに別格。なんかね、もう入れないんですよ、その領域に。入ったとしても絶対にボールなんて獲れない。マジで衝撃でしたよ」
 
 そう言って、サッカー少年のような笑みをこぼした。

 
 では、稲本潤一は誰を推すのか。1999年のワールドユース決勝で対峙したシャビだろうか。本人は「まあたしかに。自分のタイミングで行ってボールを獲れなかったことはほとんどなかったけど、シャビには歯が立たなかった。くるくると回られたんでね」と説明した。
 
 だが、「一番スゴイ」となると違うらしい。彼もまた、将軍ジダンを選ぶのだ。

「もうね、忘れもしませんよ。2001年(3月)のサンドニ。そう、0−5のね。あん時のジダンだけはホンマに強烈やった。ピッチは雨でびちゃびちゃなんやけど、フランス人にはまるで関係なかったみたい。なにをやっても軽くあしらわれて、間合いにさえ飛び込ませてもらえんかった。好き放題やられて、チームはずるずる失点を重ねて。ちょうど僕は海外のチームを探してるときでね。欧州の代理人がプレーを観に来てくれてたんですけど、あの内容やったから……。総スカンでした」
 
 レ・ブルー(フランス代表の愛称)にこてんぱんに叩きのめされ、トルシエジャパンもファンも、日本サッカー界の誰もが衝撃を受けた「サンドニ・ショック」である。
 このフランス代表戦、本山雅志はベンチで戦況を見守った。直接戦ってはいないが、やはり現マドリー監督のプレーにシビれたという。

「だってあのぐちゃぐちゃのピッチで、ピタッとボールを止めて、やることなすことすべてが優雅。難しいことをさらっとやるから、あのクラスはスゴいんですよね。試合観てないもん。ずっとジダン観てた(笑)。いい時間もらったな、これって。ビックリしたのは、あの試合で(エマニュエル)プチが取り換え(スパイク)じゃなくて固定を履いてたんですよ。ベンチでも『え? 取り換え履いてないよね? なんで滑んないんだよ』って。もう驚きの連続でしたね」

 そのほかにも本山は、世界に名だたるビッグネームたちと対峙している。
 
「(クリスチアーノ)ロナウドはむちゃくちゃ速かったし、(ライアン)ギグスは渋くて巧かった。あと、僕のお気に入りは(フランチェスコ)トッティ! プレマッチでローマと試合をしたんですけど、あんなにテクニックがあるのに強さがあって、カッコイイしで好きになっちゃって。ミツオ(小笠原満男)がいる時に、メッシーナまで行きましたからね。ちょうどローマ戦の時に(笑)」

 3人とも衝撃の邂逅から、20年近くプロキャリアを続けているが、いまだ“スーパーレジェンド”ジズーを超える名手には遭遇していないようだ。

文●川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

※2017年4〜11月掲載分より抜粋、再編集。