亡き志村けんが登場した日、画面に「志村けんさんは3月にお亡くなりになりました。謹んで哀悼の意を表します」とテロップが出た朝ドラ。歴史に残る大作曲家の山田耕筰、劇中では小山田耕三を演じて、大スターのコメディアンが、クラシック音楽界の超大物を陰影深く体現した。本物の山田耕筰の雰囲気とそっくりで驚いた。頭の禿げ具合も似ていて、笑わないところもよく似ている。

近頃、特にTBSのドラマで顕著であるが、落語家などのお笑い系がドラマの重要な役で登場する。『下町ロケット』における立川談春や、春風亭昇太はテレビ東京のスペシャルドラマ、浅田次郎原作の『琥珀』にも新聞社の上役で出ていた。毎度毎度、同じ顔の中堅俳優が、こっちでは捜査一課長、こっちでは所轄の刑事、などと節操もなく出まくるのはいい加減うんざりだから、お笑い界の大物は新鮮である。顔芸が上手い落語家はどんどん役者として出るべし。

志村けんの若すぎる死は、5月1日の朝ドラ1回分を見ただけでも収穫と思え、まことに残念である。まだ登場するらしいので楽しみに待つ。昔々のドリフターズ・メンバーとして、一世を風靡した彼は、最後にシリアスな芝居をしてこの世に別れを告げた。よく見ると整った顔立ちの志村は、芸人としてではなく、俳優としても名を遺したわけである。作曲家・古山裕一のことを「本物かまがい物か、楽しみだね」と辛口のセリフ。風貌にぴったりだった。(放送2020年5月1日8時〜)

(黄蘭)