2020年クラシック候補たち
第14回:アドマイヤビルゴ

 3歳牡馬クラシックは第1弾のGI皐月賞(4月19日/中山・芝2000m)が終了。次なる戦いは、競馬界最高峰の舞台となるGI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)だ。

 同舞台に向けて、出走各馬が調整を重ねるなか、これから前哨戦やトライアルに臨む馬もいる。その中で、とりわけ注目を集めているのが、栗東トレセンの友道康夫厩舎に所属するアドマイヤビルゴ(牡3歳/父ディープインパクト)である。


次戦は京都新聞杯に挑むアドマイヤビルゴ

 そもそも同馬は、デビュー前から脚光を浴びていた。2017年、競走馬のセリ市「セレクトセール」において、5億8000万円(税別)という高額で落札されたからだ。同セールの当歳馬部門では、史上2番目の高値だった。

 それほどの高値がついたのは、母がフランスのGI1000ギニー(フランス・芝1600m)を制したイルーシヴウェーヴで、父が偉大なる種牡馬ディープインパクトであるからだろう。

 そんなアドマイヤビルゴは、ここまで評判馬にふさわしい走りをターフで見せている。

 デビュー戦は、年明けの3歳新馬(1月19日/京都・芝1800m)だった。スタート後、そつなく2番手をキープ。うまく折り合って直線を迎えると、外目に出して一気に仕掛けた。そのまま先頭に立ち、後続の追撃も難なく振り切って初陣を飾った。

 続いて挑んだのは、リステッド競走のオープン特別・若葉S(3月21日/阪神・芝2000m)。皐月賞トライアルとなる同レースでも、絶好のスタートから好位3番手につけて、リズムよくレースを運んだ。

 直線、逃げるキメラヴェリテが粘りを見せるも、鞍上の武豊騎手がゴーサインを出すと、アドマイヤビルゴはすばらしい末脚を披露。残り100mを切ったあたりでキメラヴェリテをあっさりとかわすと、その差を広げてゴール板を駆け抜けた。メンバー最速の上がり33秒6をマークし、後続に2馬身差をつける完勝。今後が楽しみになる勝ち方だった。

 アドマイヤビルゴはその後、皐月賞をパス。GII京都新聞杯(5月9日/京都・芝2200m)から、ダービーを目指す予定だ。

 こうして、俄然注目度が増しているアドマイヤビルゴだが、陣営はここまでの過程をどう見ているのだろうか。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「アドマイヤビルゴはデビュー前こそ、成長が遅いイメージがありましたが、厩舎のスタッフに話を聞くと、『ここに来て、体つき、動きともにしっかりしてきた』とのこと。同馬の良化ぶりについては、かなりの手応えを感じているようです。

 普段はテンションが高い部分もあるのですが、レースではまったく問題が見られません。スタッフは『注文がつかず、センスのいい競馬ができている』と、レースのうまさも高く評価しています」

 京都新聞杯では、新型コロナウイルス感染拡大防止のための、騎手の移動制限(※土曜日と日曜日とで異なる競馬場に移動しての騎乗を不可)によって、前2戦で手綱をとった武豊騎手から藤岡康太騎手に乗り替わる。武豊騎手が翌日に行なわれるGI NHKマイルC(東京・芝1600m)での騎乗があるためだ。それについて、先のトラックマンがちょっとしたエピソードを明かす。

「NHKマイルCでは、有力馬のサトノインプレッサに騎乗するわけですから仕方がありませんが、武豊騎手の様子からすると、アドマイヤビルゴにも乗りたい気持ちは、相当強かったのではないでしょうか。前走も、相手のレベルはどうあれ、タイムは優秀でしたから。期待値もかなり上がっていたはずです。

 実際、1週前の追い切りでも、アドマイヤビルゴはいい動きを見せていました。調教で走るノーブルカリナン(牝5歳)を相手に先着。確実によくなっています。ジョッキーが代わっても、注目すべき存在であることは変わりません」 名手が後ろ髪を引かれるほど、たしかな成長を遂げているアドマイヤビルゴ。無傷の3連勝でダービーに挑むことができるのか。”6億円馬”の真骨頂を見届けたい。