ホロライブのアイドルVTuber 星街すいせいが初冠ラジオ「番組を持てるなんて思ったこともなかった」

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「彗星の如く現れたスターの原石! アイドルVTuberの星街すいせいです!」

2019年12月、明るいキャラクターやパワフルな歌声などで一躍注目を集め、名前のとおり彗星のような速さで超人気VTuberへの仲間入りを果たしたホロライブ星街すいせい。約1年前(2019年4月)には4桁だったYouTubeチャンネル「Suisei Channel」の登録者数も、2020年4月時点で24万人を突破。4月5日からは、文化放送のインターネットラジオ「超A&G+」で、人気タレントの証とも言える冠ラジオ「ホロライブ presents 星街すいせいのMUSIC SPACE」もスタートしている。


エキレビ!では、大ブレイク後も変わらぬ勢いでさらなる活躍を続ける星街すいせいにロングインタビュー。大好評の「MUSIC SPACE」に関する話題だけでなく、約2年前、企業に所属しない個人勢としてデビューしたスターの原石は、どのように自分を磨き真のスターになったのか、その歩みも振り返ってもらった。

「私がラジオで喋ってるー!」って不思議な感じ


──番組名に自分の名前が入ったラジオ、いわゆる「冠ラジオ」が始まったことについての感想を教えてください。

星街 自分のラジオ番組を持てるなんて思ったこともなかったので、本当にビックリという気持ちが大きいです。最初にスタッフさんからお話を聞いた時、「私で良いんですか? 良いのだったら、絶対にやらせてください!」って強く言ったのを覚えています(笑)。放送を聴いていても、「私がラジオで喋ってるー!」って不思議な感じです。

──現在、第4回まで放送されていますが、ここまでの収録を振り返っての感想は?

星街 普段の配信は一人でやっているので、すごくマイペースにできるのですが、ラジオの場合は、スタッフさんもいらっしゃるし、どこまでマイペースが許されるのか、まだわからなくて(笑)。これから慣れていきたいなってところがいっぱいありました。

──第2回第3回では、ホロライブの仲間である夏色まつりさんがゲストでした。ずっと一人喋りだった第1回よりもリラックスできたのでは?

星街 まつりちゃんが来てくれて、すごく心強かったです。でも、それと同時に、(メインパーソナリティとして)ゲストの魅力をたくさん引き出さなきゃという緊張もあって。「せっかくゲストに来てくれたんだから!」と、少し気負っちゃったところもありました。


──「MUSIC SPACE」は、星街さんの特技の中でも、特に歌にフィーチャーした番組になっています。星街さんは、歌以外にもイラスト動画作成など、たくさんの特技を持っていますが、それらは、VTuberとしてデビューする前から目標を持って練習したり、学んだりしていたことですか?

星街 歌に関しては完全に趣味で、カラオケに行くのが好きという程度でした。自分では歌を仕事にできるほど上手くはないと思っていたので、VTuberになる時も、歌を強く推していくつもりは全然無くて。リアルのYouTuberさんがやっているような企画動画などを投稿していけたらいいなと思っていました。

イラストや動画に関しても何かを目指していたわけではなく完全に趣味だったのですが、VTuberとしての活動を始める前から、イラスト関係のお仕事をもらえる機会があって。お小遣い稼ぎになったらいいな、みたいな気持ちで描いていました(笑)。動画についても同じ感じです。だから、イラストも動画作りも、趣味からお小遣い稼ぎ程度のお仕事になっていったものが、今、VTuberとしての活動の中で活かせているんです。

──星街さんはデビュー時から「アイドルVTuber」として活動しています。そのきっかけを教えてください。

星街  ステージに憧れるようになった最初のきっかけは、「ニコニコ超会議」なんです。「超会議」のステージに出る人たちって、基本、ニコニコで配信をしている一般の素人さんじゃないですか。私が観た時は、小学生くらいの踊り手の女の子がすごく大きなステージで一人で踊っていたんです。それがすごく楽しそうだなって、強く印象に残っていて。

そこから、アイドルゲームやアイドルアニメにハマるようになっていき、YouTubeで「THE IDOLM@STER」や「ラブライブ!」のライブDVDの販促動画や、いろいろなアイドル系の映像を観るようになりました。それで、ステージに立つって楽しそうという気持ちがさらに湧いてきて、自分もアイドルみたいなことができたらいいなと思い、アイドルVTuberとしての活動を始めました。

何度も「これはもうダメかな」と思ったりした


──星街さんは、2018年3月22日に初投稿した動画「武道館でライブ」という大きな目標を掲げています。それから約1年2か月は、企業に所属しない個人勢として活動していましたが、当時はどのような思い、モチベーションで活動していたのでしょうか?


星街 「武道館でライブ」という目標を掲げた当時は、実際にかなえられるとは全然思っていませんでした(笑)。私がデビューした時期って、最初のVTuberブームに乗るには、ちょっと遅かったんです。もう少し早くデビューしていれば、VTuberであるということで、ある程度は伸びることもできていたと思うんですよ。

──星街さんがデビューする少し前までは「VTuberってなんだ?」という新しい文化への物珍しさが、かなり強かった時期でした。

星街 私がデビューした頃には、もうVTuberが2000人くらいいて。その大勢の中で、なんとかしてバズりたい。どうやったら、バズれるんだろうということをずっと考えていました。そのうち、同じ時期にデビューした子の中からもバズる子が出てきて。たしか、名取さなちゃんもデビュー時期は近いのですが(2018年3月16日にデビュー)、そういう人たちになんとかして追いつかなきゃと思っていました。そのためにも、まずはバズらないとって(笑)。

──まずは何かでバズって、大勢の人に自分の存在を見つけてもらわないと始まらないということですね。

星街 どれだけ頑張っても、スキルがあっても、何かのきっかけで見つけてもらえないと、伸びることはできなかったので。バズった人の研究みたいなこともしたのですが、自分がバズるための方法は全然わからなかったです(笑)。例えば、さなちゃんは、カウントダウンからの「ざーこ」というセリフが最初にバズったきっかけだと思うのですが、同じことを私がやっても二番煎じにしかならないし……。

どうしたらいいんだろうって、すごく悩んで。デビューから3か月、4か月くらい経った時には「このまま続けても大丈夫かな?」みたいな感じにはなっていました。その時は、チャンネル登録者がたぶん3000人くらいだったのですが、今、辞めたら先に繋がるものが何も残らない。辞めるくらいなら今の3000人を大事にしながら、さらに伸ばしていった方が夢にも近づくはずだって、自分を騙し騙し活動を続けていた感じです。最初の1年間くらいはずっと「何をしたらいいんだろ……」みたいな感じで、何度も「これはもうダメかな」と思ったりしました。

──現在の星街さんが、その当時の星街さんに何か声をかけてあげられるとしたら、どんなことを言ってあげたいですか?

星街 当時の自分が一番安心する言葉をかけてあげるとしたら、「今、頑張ってることは、この先にちゃんと繋がっているよ。良いことがあるよ」という感じですね。こんなにたくさんの人に観てもらえる機会が増えて、歌を出せて、ラジオ番組も持ってなんてことは、絶対に想像できていなかったので。「絶対に、やりたいことに繋がるよ」と言ってあげたいなと思います。

豊洲では「ここまで来たか」と思って、ちょっと泣いた


──2019年5月19日に、ホロライブ内に新設された音楽特化レーベルの「イノナカミュージック」に加入し、企業所属となったことで、初のライブ出演も実現しました。同じ年の12月1日にホロライブへと転籍してからの人気や知名度の上昇ぶりはさらに凄まじく。その時期に星街さんを知った人も多いと思います。そういった環境の変化については、どのようなことを感じていましたか?


星街 ホロライブに移ったことでの変化って、実はあまり無くて。もともとイノナカの頃からホロライブの子とも交流は深めていたし、仲も良かったんですよね。ホロライブのメンバーは、基本的にセルフプロデュースで活動しているので、私もみんなのように自分の売り出し方をもっとしっかり考えないとダメだなって思いました。

変化が大きかったのは、配信を観に来てくれる視聴者さんかも。まず、人数が一気に増えました。それに、イノナカの時にはアーティスト路線の活動で好きになってくれた人が多かったのですが、ホロライブのファンは生放送でのキャラクター性に注目してくれる人がたくさんいる感じがあって。視聴者さんの幅は広がった気がします。

──星街さんは、個人勢の頃からゲーム実況も歌もやっていましたし、リスナーに対する接し方も含めて、基本的な配信スタイルはずっと変わらない印象です。

星街 個人勢時代からのリスナーさんたちに「すいちゃん、企業に入ったら変わっちゃったな」とか絶対に思われたくなくて(笑)。「猫、被ってるな」とか「天狗になってるな」とか思われるのも嫌だし。極力変わらないようにしようということはずっと意識していました。

──2020年1月24日にホロライブの全メンバーが出演した「hololive 1st fes.『ノンストップ・ストーリー』」で星街さんの歌声の魅力を知り、ファンになった人も多かったと思います。豊洲PITという大きなステージに立てたことも含めて、感想を教えてください。

星街 実は、自分の好きなアイドルが初めてのライブを豊洲PITで行っていたんですよ。

──布教配信をしたこともある「あんスタ(あんさんぶるスターズ!)」ですか?

星街 はい、「あんスタ」です(笑)。VTuberを始める前、初めてライブに行ったのが「あんスタ」の豊洲PITでの公演だったので、そのステージに自分が立つ。しかも、「あんスタ」も私たちと同じバーチャルライブだったので、「あんスタ」のアイドル達と本当に同じようにステージに立てたと思うと感慨深すぎて……。「ここまで来たか」と思って、ちょっと泣いてました(笑)。


──豊洲ライブの1週間後にはYouTubeチャンネルの登録者が10万人を突破しました。

星街 ライブに出られることが嬉しくて意気込んではいたのですが、そこで特別なことをしようとは思っていなくて。これまでやってきたことの延長線としか考えていなかったし、今の自分にできること、やりたいことをやったという感覚だったんです。でも、ライブ後の反響の大きさから、こういうライブに出て多くの人に知ってもらうことの大事さを実感しました。

──活動開始当初は、歌を中心に活動するつもりはなかったとのことでしたが、歌に対する意識が変化したのは、いつ頃、どのようなきっかけがあったのですか?

星街 私は、イノナカミュージックに入る前、ホロライブのオーディションを落ちているのですが。その時には「配信メインで頑張るので、入れてください」みたいな感じだったんです(笑)。でも、その後、諦めないで行動したら「ホロライブの中にイノナカミュージックという歌メインのレーベルを作るのだけど、どうですか?」と声をかけてもらえて。私も歌はすごく好きだったし、「THE IDOLM@STER」とかのアイドルも音楽活動をメインにやってるじゃないですか。だから、音楽路線を強化できるのだったら、それもいいなと思うようになって、自分の中でも歌を中心にという意識が強くなっていきました。

──歌やライブでなく、星街さんの得意なゲーム「Project Winter」(通称「雪山人狼」)や、テトリス実況の切り抜き動画から、星街さんの存在を知ったファンも多いと思います。配信者として、ゲームも上手になろうという意識は強いのですか?


星街 特にゲーム実況を頑張ろうとかは、あまり意識していなくて。(2019年7月23日に)初めてホロライブのみんなと「雪山」をやった時も、イノナカに入ってから初めての大型コラボだったので、ルールやゲームの進め方をしっかり覚えて、みんなに迷惑をかけないようにしなきゃという気持ちが強くて。個人勢時代の友達たちにお願いして、事前練習に付き合ってもらったりしました。たぶん他のメンバーは2、3日くらいしか練習できてなかったと思うのですが、私は1週間くらいかけて練習していたんですよね(笑)。

──コソ練をしていたのですね(笑)。

星街 はい(笑)。でもそのせいで、狙っていたわけではないのですが、結果的に初心者狩りみたいな形になってしまったんです……。
(丸本大輔)

後編に続く

番組情報


「ホロライブ presents 星街すいせいのMUSIC SPACE」
毎週日曜日17時〜17時30分
文化放送 超!A&G+にて動画配信
ハッシュタグ:#すいせいみゅーじっく
アーカイブ:前半パート「Suisei Channel」
後半パート「文化放送V&R」