「ゴミの持ち込み増加」で清掃工場職員から悲鳴(画像はイメージ)

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新型コロナウイルスの感染拡大で在宅時間が増える中、「ゴミ」を巡る問題が浮上している。

東京都の小池百合子知事はGW中の「断捨離(だんしゃり)」を後押しする動画の制作を掲げ、小泉進次郎環境相はゴミ袋にメッセージを書いて収集員への感謝を伝えようと提案した。

一方で、清掃工場で働く職員からはゴミを直接持ち込む利用者が増えたことに対し怒りの声があがっている。

政治家の「ゴミ捨て」巡る提案

小池知事は4月23日の記者会見で、今年のGWを、都民に在宅を呼びかける「STAY HOME週間」と位置づけると発表した。

在宅中の過ごし方については、都による「STAY HOME週間」のポータルサイトを通じて提案するとしたが、そのコンテンツの一つとして、

「家の中を断捨離しようという方もいらっしゃるかと思いますので、片づけコンサルタントのこんまりさんこと近藤麻理恵さんからもご協力をいただいて、『片づけの極意』などを教えていただく」

と「断捨離」を後押しする動画を制作すると発言した。なお、近藤さん協力の動画は4月30日時点でアップロードされていない。

また、小泉環境相は4月28日の記者会見で、在宅時間の増加により一部地域で家庭ゴミが増え、ゴミの収集・運搬に遅れが生じたり、収集員の感染リスクが高まっていると指摘。現場で奮闘する収集員への感謝を伝えるため、ゴミ袋に感謝や激励のメッセージを書いてSNSで発信して欲しいと呼びかけた。

小泉氏が具体例として掲げたゴミ袋には、環境省職員の子どもが書いたというメッセージ「いつもありがとう♡♡ みおより」と収集車の絵が描かれていた。

清掃工場は「隠れた3密、クラスターの温床」

政治家たちが「ゴミ捨て」に関するポジティブなメッセージを発信する一方で、J-CASTニュースの読者投稿フォームには清掃工場で働く職員を名乗るユーザーから、悲痛な声が寄せられている。小泉環境相も言及した家庭ゴミの増加が、現場にしわ寄せとなっていることをうかがわせるものだ。

都内在住で、とある市の清掃工場で働くという男性は、緊急事態宣言の発令を受けて粗大ゴミの持ち込みが「例年の2倍」になったと話す。粗大ゴミを持ち込むのは主に「家族連れ」「シニア」「サラリーマン」だといい、「行くところがない在宅難民が、家の片付けを暇つぶしとして行っている。その粗大ゴミを、連日渋滞を作りながら持ち込んでいる」と語る。

労働環境も劣悪で、「フェイスガードも無く、ソーシャルディスタンスも取れず、マスクの支給もない中、丸腰で市民対応をさせられています。隠れた3密、クラスターの温床です」と危機感を露わにする。

小池都知事が「断捨離」の動画を制作するとしたことには、

「今でも疲弊している現場に対して、さらに自粛をしないで、ステイホームせずに粗大ゴミを捨てることを助長するような動きは、(労働環境の改善から)全く逆行するものです」

と憤りを隠さない(メールは24日で、内容は当時のもの。以下同)。

また、地方都市の清掃工場で働くという男性は「『暇を持て余しやることないから片付けた』と言って、ゴミを持ち込む人が急増しています」と嘆く。その多くは「緊急性のないもの」で、「分別ルールも守られず窓口での対応も一苦労」と話す。ゴミを持ち込む人の中には「マスクをしない高齢者」も多いといい、

「要領を得ず大声でのやり取りに疲れます。もう少し外出自粛の意味を分かってほしいです。万が一施設で発症すれば、収集停止にもなりかねません」

と警鐘を鳴らした(メールは20日)。

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