「“収入を減らさないこと”で言えば、『試合が出来なくても、こういうことができます』という提案をパートナー企業さんに申し上げて、協賛の金額をなるべく減らさないようにする動き。あるいはJリーグのほうで主体的にやっているシーズンチケットの返金に関して、寄付金扱いにしていただく動き。そういうことが代表される。今(収入を)増やすことは考えられませんので、事細かにいろんなことをやることによって、いかに減らさないかということでやっています」

 そう厳しい現状を明かす立花代表だが、「ただ唯一増えると思っている」ものもあると話す。
 
「それはEC(電子商取引)です。物販については、スタジアムでは購入できませんし、また我々が浦和駅内で営業している『レッドボルテージ(オフィシャルショップ)』でも販売していない。ただしネットで申し込んでいただいて、お届けする商品だけは増やせると思っています。そこもいろんなアイデアを出し合って、今の浦和レッズのファン・サポーターのみならず、いろんなスポーツを応援していただける方に届くようなものを企画して販売しようということはやっています」

 もちろんネット通販の売上だけでは、到底成り立たない。それでも「今できることをしっかりやろうと、これを合言葉にして、いろんな取り組みを現場サイドがしてくれています」と立花代表は、まず苦境を乗り越えるために最大限を尽くす覚悟を示す。
 
「経営面のところでは、いろんなことをやっていますが、逆に現場サイド、特に選手のほうからもいろんな提案が出て、実施しているところです。地域の方や、サッカーだけじゃなくてスポーツを愛するみなさんに対して、浦和レッズができることをそれぞれが考えて実行していかなければいけない。そういうことも我々のミッションだと考えています」

 未曽有の危機に陥るJリーグとクラブはいかに苦難を乗り切るのか、様々なアイデアが求められている。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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