柏のJ1制覇に大きく貢献したレアンドロ・ドミンゲス。新潟戦での活躍も見事だった。写真:サッカーダイジェスト

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 記憶に強く残っている試合がいくつかある。そのひとつが、2011年11月3日に日立柏サッカー場で行なわれた柏対新潟の一戦だ。シーソーゲームでも、タイトルが懸かったゲームでもない。柏が新潟を4−0と圧倒したワンサイドゲームは、むしろ単なる”34分の1“に数えられる試合だったと言えるだろう。

 ではなぜ、その試合のことを鮮明に覚えているのか。後に昇格即J1制覇を成し遂げた柏の強さがギュッと凝縮された90分間であり、そこに大きな衝撃を受けたからだ。

 この日のヒーローインタビューは、前半だけで2ゴールを決めたレアンドロ・ドミンゲスだった。崩しの局面で大きな違いを作り出し、圧倒的な存在感を示したのだから、”ヒーロー“に選ばれるのは当然だろう。

 
 ただ、4−4−2システムの右サイドを担ったこのブラジル人MFが気持ちよくプレーできた背景に、脇役の貢献があった事実を見逃すわけにはいかなかった。誰より素晴らしかったのが、大谷秀和とダブルボランチを組んだ茨田陽生だ。冷静なポジショニングでピンチの芽を摘みつつ、丁寧なパスワークで味方にボールを預ける技術には目を見張った。このボランチが絶妙な舵取りで中盤のバランスを保っていたからこそ、L・ドミンゲスは攻撃に専念できたという見方は決して間違いではないだろう。

 もっとも、王様的なプレーヤーを地味なタレントが支えるというのはサッカーによくある風景だが、ここで強調したいのは絶対的なレギュラーではない茨田が大事な終盤戦でこうして活躍したこと。途中出場の水野晃樹、田中順也が得点に絡んだ点も含めて証明されたのが、柏の総合力の高さだった。特定の11人に依存しなくてもサッカーのクオリティを保つ。文字通りチームとして高い完成度を示したネルシーニョ監督の手腕は大したものだと、素直に思った。

 「チーム力の高さを示した一戦」と試合後に北嶋秀朗もコメントしていたとおり、柏は王者になるに相応しい”一体感“を新潟戦で見せつけていた。

取材・文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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