「地球儀という“装置”が、彼の地へ想像力をかき立てる:FETISH #33」の写真・リンク付きの記事はこちら

HERMÈS
ODYSSÉE

地球儀とは、かくも旅心をくすぐるものなのか──。その球体が醸し出す美しさを見れば、そう思わずにはいられない。

ODYSSÉE(オデッセイ)。すなわち、詩人ホメロスの作として伝承されてきた古代ギリシャの長編叙事詩『オデュッセイア』。「長い冒険」や「知的な探求」といった意味をもつその名が、この地球儀に宿るロマンを物語る。

だが、それは単なるオブジェでないことは、直径44cmの地球に描写された精緻な世界地図をひと目見た瞬間にわかるはずだ。

詳細な世界地図がプリントされた12枚のレザーが、卓越した職人の技術によって継ぎ目が見えないほど精巧に張り合わされ、美しい球体を形づくる。そして、サドルステッチを彷彿とさせる繊細なデザインが、緯度と経度を描く。


 

1837年に馬具工房として創業して以来、エルメスが培ってきたレザーの技術をもって生み出された、渾身の地球儀なのだ。もちろん、球体の周囲を巡らせた真鍮で衛星の軌道を表す、エルメスらしいウィットも見逃せない。

いまやデジタルデヴァイスを使えば、一瞬にして訪れたい場所の位置や風景を表示させることも、あたかもそこに行っていたかのようなことを知ることもできる。だが、旅の醍醐味が目的地での営みよりも、その準備やそこにたどり着くための道程にあるとするならば、地球儀をゆっくりと回しながら次なる旅の目的地を探すのも悪くないだろう。

レザーや真鍮の経年変化を愉しみながら、いつの日か訪れるであろう旅に、想いをはせてほしい。

シリーズ:WIRED FETISH(21)直線も曲線も“スマート”に計測するデジタルなメジャー(22)ミニマルな空間には郷土玩具の“ヌケ感”が必要だ(23)ホームとキャンプの境界を溶かすカセットコンロ(24)サイクリングに“革命”をもたらす軽さと操作性を備えたe-BIKE(25)住まいを「間取り」という概念から解放する可動式コンパクトキッチン(26)2020年代の“必須教養”プログラミングはロボット開発で学べ!(27)マイストローはエシカルな行動の次なるスタンダード(28)ポータブル風力発電機でオフグリッドなライフラインを構築せよ!(29)無限の拡張性を秘めた手のひらに載る“ガジェットシンセサイザー”(30)デジタルカメラにパラダイムシフトを起こす自由度と拡張性(31)機能美というクラフトマンシップが息づくフロアポンプ(32)楽曲の情感と行間、世界観を“視覚化”するリリックスピーカー(33)地球儀という“装置”が、彼の地へ想像力をかき立てる

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