3歳牡馬クラシックの初戦、GI皐月賞(中山・芝2000m)が4月19日に行なわれる。今年は、無敗のGI馬2頭をはじめ、重賞(地方交流重賞も含む)勝ち馬が計10頭と、豪華な顔触れがそろった。

 ただし、「コントレイル(牡3歳)とサリオス(牡3歳)の、無敗のGI馬2頭による『2強』、あるいは現在3連勝中のサトノフラッグ(牡3歳)を加えた『3強』といった様相でしょう」と言うのは、日刊スポーツの太田尚樹記者だ。

 この見方に、スポーツ報知の坂本達洋記者も同意。そして、こう語る。

「GI馬2頭は、ともに抜群のスピードと瞬発力が武器で、ライバルたちをねじ伏せる力を持っています。サトノフラッグもまた、名手オイシン・マーフィー騎手に『ダービーに出るような馬だと思うし、乗れることなら乗りたい』と言わしめるほどの器。しかも、GI馬2頭は距離が課題になりそうですが、サトノフラッグは『距離が延びてよさそう』という評判で、成長度では逆転まである、と踏んでいます。ということで、個人的には『2強』というより『3強』と見ています」

 そうは言っても、古くから”両雄並び立たず”は競馬の鉄則。まして「3強」がそろって上位を独占するようなことは、ほとんどない。さらに、皐月賞は過去5年で7番人気以上が3勝もしており、波乱の傾向にある。「3強」でそのまま決まる、と考えるのは危険だ。太田記者もこんな見解を示す。

「皐月賞における過去5年の1番人気の戦績は、1勝、2着0回、3着1回、着外3回と不振です。加えて、今年は週末が雨予報。たとえば、コントレイル陣営は『良馬場が理想』と公言していますから、馬場が悪化すれば、波乱となる可能性がますます高まると思います」

 では、馬場が悪くなって波乱ムードとなれば、どんな馬が浮上してくるのか。太田記者は、ダートの重賞勝ち馬の名前を挙げた。


馬場悪化で浮上しそうなキメラヴェリテ

「キメラヴェリテ(牡3歳)です。地方交流重賞の北海道2歳優駿(10月31日/門別・ダート1800m)の勝ち馬ですが、前走のオープン特別・若葉S(3月21日/阪神・芝2000m)で初めて芝のレースに挑戦。10番人気ながら、逃げ粘って2着と好走しました。

 同じ厩舎に所属する半兄リアンヴェリテと同じく、逃げてこそ持ち味を発揮する馬で、管理する中竹和也調教師も『途中からだろうが、何だろうが、ハナを切る』と、すでに強気な逃げ宣言を出しています。とくに、同型馬も見当たりませんし、展開面で有利なのは明らかです。

 また、ダート重賞を勝っていることから、中竹調教師も『馬場が悪くなるのはいい』と、道悪になることには歓迎。楽に逃げさせてもらえれば、粘り込みがあっても驚けません」

 もう1頭、太田記者は推奨馬を挙げる。前走でオープン特別のすみれS(3月1日/阪神・芝2200m)を勝って、デビュー3連勝を飾ったレクセランス(牡3歳)だ。

「GI馬2頭と同じく、レクセランスも無傷の3勝馬。にもかかわらず、思ったよりも下馬評が低いな、と感じています。3戦とも、2着との着差がアタマ、クビ、クビと僅差で、派手な勝ち方をしていないからだと思いますが、裏を返せば、それだけ勝負根性に優れている、ということ。デビュー戦ではやや重の馬場で勝っていますし、馬場が多少悪化しても問題ないでしょう。

 今回は、乗り替わりで北村友一騎手が騎乗。追い切りにもまたがって、『思ったより器用な感じ』と好感触を得ていました。コース適性においても、阪神と京都の内回りのレースで勝っていますから、中山コースも克服できると思います」

 一方、坂本記者は、道悪の皐月賞で戴冠を遂げたゴールドシップの産駒を推す。

「ブラックホール(牡3歳)です。やや重の洋芝が舞台となったGIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)で重賞制覇。前走のGII弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)でも重馬場をこなして、後方から4着まで追い上げました。いずれにせよ、力を要する馬場は向くと思うので、道悪を利することができると見込んでいます。

 同馬を管理する相沢郁調教師も、『前走は、勝った馬は強かったけど、2、3着とは差がない』と収穫ありの様子で、皐月賞に向けて手応えを感じていました。この中間は、坂路2本追いと中身の濃い調教を消化。1週前には、坂路で50秒5の自己ベストをマークし、目イチの仕上げで一発ムードが漂います」

 坂本記者ももう1頭、気になる馬がいると言う。GIII共同通信杯(2月16日/東京・芝1800m)を勝ったダーリントンホール(牡3歳)だ。

「ニューアプローチ産駒の欧州血統で、スピードだけでなく、パワーも秘めている印象が強いです。前走の共同通信杯でも、渋った馬場をものともせず、逃げたビターエンダー(牡3歳)と壮絶な叩き合いを演じて、競り勝ちました。非凡な勝負根性は見逃せず、持久力勝負になった場合は、相当な強みになりそうです。

 人気上位勢は、切れ味に秀でたタイプが多いですから、それを踏まえて、他陣営は早めに動いていく競馬を考えているでしょう。そうなると、ヨーイドンの展開にはならず、長く脚を使える馬が有利。ダーリントンホールは、面白い存在だと思いますよ」 コントレイル、サリオス、そしてサトノフラッグの人気が高い分、実力を秘めながら、過小評価されている馬が今回はかなりいる。それらが台頭すれば、高配当をゲットするチャンスは膨らむ。もちろん、ここに挙げた4頭も、その候補であることは間違いない。