コンサルティングが米国生まれということもあり、国内でも、外資のコンサルティングファームが活躍している。そうした中、日本発のコンサルティングファームとして健闘しているのが、NECの子会社でもあるアビームコンサルティングだ。

世界中の企業が市場競争に勝ち残るためにデジタルトランスフォーメーションが迫られており、コンサルティングファームに対する期待値も高まっている。そうした中、同社はどのような戦略をもって顧客に臨むのか。今回、4月1日に代表取締役社長に就任した鴨居達哉氏に話を聞いた。

アビームコンサルティング 代表取締役社長 鴨居達哉氏

○新型コロナ終息後を見据えて

今、われわれの最大の関心事と言えば、新型コロナウイルスにほかならない。鴨居氏も「当社はこれまで安定した成長を遂げてきており、さらに上を目指そうとしている。新型コロナの終息した後の世界を見据えて、戦略を立てていく必要がある。企業は大胆な意識変革が求められている」と語る。

政府は企業に対し、テレワークの活用を要請しているが、同社でもテレワークの活用が進んでいるという。「テレワークが業績にどのような影響を及ぼすかは、これからわかること」と、鴨居氏は述べた。日本では、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、テレワークの本格導入が進んでおり、業績との関連性について分析できている企業は少ないだろう。

鴨居氏は、テレワークの利用が進んだことで、無駄な業務が減った一方、ちょっとしたコミュニケーションが減ったというデメリットも感じていると話す。顔が見える状況であれば気軽に話せたことも、わざわざチャットで話すまでもないと思ってしまうこともある。

さらに、鴨居氏は「最近、ビデオ会議ツールのセキュリティリスクが明らかになっている。これから、もっとリモートのコミュニケーションが進むことが予想されるが、その反面、問題も出てくるだろう」と指摘した。

○変わってきたコンサルティングファームへの期待値

新型コロナウイルスが登場する前から、米中貿易摩擦、イギリスのEU脱退など、世界経済は不安定な状態にあった。そうした中、「企業のコンサルティングファームに対する期待値は変わってきた」と、鴨居氏はいう。

従来は、インダストリーベース、特定のソリューションを軸としたコンサルティングが求められており、これは裏を返すと、コストを重視した考え方だという。

これに対し、変化が激しい現在は課題の構造化と取り組むべきテーマの洗い出しが重要であり、将来を予測できることが求められているというのだ。

「企業にとっての課題や取り組むべきテーマは変わっていくかもしれないもの。だから、アジャイルなやり方で試行錯誤をスピーディーに重ねながら、取り組んでいかなければならない」(鴨居氏)

こうした期待に応えるため、同社はSaaS型サービス「Abeam Cloud」を基盤として、ソリューションを組み合わせていく。「Abeam Cloud」は、同社がこれまでのビジネスで培ってきた知見を反映したテンプレートを、国内外のクラウドベンダーが提供する基盤で利用できるSaaS型サービス。

「業務アプリケーション」、サービスアプリケーション・インフラサービス・セキュリティ&モニタリング・グローバルネットワークで構成される「クラウド基盤」、「運用・保守サービス」を一体型で提供する。

「Abeam Cloudはクラウドだから、顧客の変化に合わせて、柔軟に変えていくことができる」と、鴨居氏は話す。

○「最初から最後までやりとげる」の精神で

このようにして企業のデジタルトランスフォーメーションをサポートしていく中で、同社では「顧客のデジタルトランスフォーメーションを最初から最後までやり遂げること」を重視しているという。

「計画を成し遂げるには、最初から関わることが重要であり、課題を解決するための策を見出すために専門家が必要。専門家は顧客と共通の戦略に従わなければならない。われわれは、デジタルトランスフォーメーションのジャーニーを最初から最後まで伴走できる」(鴨居氏)

鴨居氏は「これまで、日本発のコンサルティングファームとしてグローバル展開をしてきた。だからこそ、日本企業として、日本企業のグローバル化を支援することが可能」とも語る。

これからの課題について聞いてみたところ、鴨居氏は次のように答えた。

「デジタルトランスフォーメーションの先進事例をもっと理解して、知見を得ることが必要だと考えている。その際、ガラパゴスを回避して、日本流の事例を突き詰めていきたい」

新型コロナウイルスの影響で、ビジネスがままならない企業も多いだろう。しかし、こんな時だからこそ、普段はじっくり取り組むことができないことに向き合えるとも言える。今、一からデジタルトランスフォーメーションに取り組む企業にとって、アビームコンサルティングは頼れるサポーターになるかもしれない。