牡馬クラシックの第1弾、GI皐月賞(中山・芝2000m)が4月19日に行われる。

 これに向けて、ここまでに重要なステップレースが東西で開催されてきた。2月には、クラシックへの登竜門としてよく知られる、GIIIきさらぎ賞(2月9日/京都・芝1800m)と、GIII共同通信杯(2月16日/東京・芝1800m)が行なわれ、前者は7番人気のコルテジア(牡3歳/父シンボリクリスエス)が番狂わせを演じて勝利。後者も、3連勝中で断然の支持を集めたマイラプソディ(牡3歳/父ハーツクライ)が4着に敗れ、3番人気のダーリントンホール(牡3歳/父ニューアプローチ)が波乱の一戦を制した。


弥生賞を圧勝したサトノフラッグ

 その後、3月に入って、皐月賞と同じ舞台で行なわれるGII弥生賞(3月8日/中山・芝2000m)では、2番人気のサトノフラッグ(牡3歳/父ディープインパクト)が完勝。GIIスプリングS(3月22日/中山・芝1800m)は、GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)2着のヴェルトライゼンデ(牡3歳/父ドリームジャーニー)を下して、6番人気のガロアクリーク(牡3歳/父キンシャサノキセキ)が快勝した。

 GI朝日杯フューチュリティS(12月15日/阪神・芝1600m)の覇者サリオス(牡3歳/父ハーツクライ)、ホープフルSを勝って2歳王者となったコントレイル(牡3歳/父ディープインパクト)の「2強」が皐月賞へ直行で向かうなか、新興勢力も続々と登場してきた印象だ。

 はたして、このまま「2強」がクラシックでも主役を担うのか、はたまた思わぬ伏兵馬の台頭があるのか、非常に興味深いところだ。そこで、皐月賞を目前に控えた今、現時点における3歳牡馬の『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランク付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 今回も、コントレイルがトップを死守。ポイントも前回と同じで、このまま皐月賞でも戴冠を遂げるのか、注目だ。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「昨秋は、GIII東京スポーツ杯2歳S(1着。11月16日/東京・芝1800m)→ホープフルSと、関東へ2度遠征。その辺りの消耗を考慮すれば、前哨戦を使わずに、ぶっつけでの皐月賞参戦を決断したことは、陣営の英断と言っていいと思います。

 また、ゆとりのあるローテーションで成長を促したことが奏功し、以前より調教でもゆったりと走れており、ハミ受けもかなりスムーズになりました。トモ腰も強化され、ストライドを伸ばしながらも、頭が上がらなくなっている点も、成長の証と言えるでしょう。

 ホープフルS時に比べて、あらゆる面がレベルアップ。2週前の攻め気配、現時点での完成度を踏まえれば、皐月賞はもちろんのこと、GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)も問題ないでしょう。

 ライバルのサリオスに比べて、ペースや流れに左右されることがなく、短所も少ない印象です。心身のバランスが取れた今、二冠の可能性も高いと思っています」

土屋真光氏(フリーライター)
「朝日杯FS組は、3歳になってからの成績が今ひとつ。対して、ホープフルS組は3歳になってからも重賞やオープン特別で好走しており、こちらのほうがレベルの高いレースだったと言えます。そのため、前回はサリオスと同評価にしましたが、コントレイルを上に取りました。

 懸念があるとすれば、ぶっつけでどうか、という点。ただ、仮に皐月賞で取りこぼしたとしても、ダービーまで崩れることは考えられません」

木南友輔氏(日刊スポーツ記者)
「将来的な適距離はわかりませんが、今の時点では距離適性を意識させないほどの、能力の高さを感じます。ぶっつけの皐月賞は、勝ち負けよりも、内容重視。狙いは、ダービーだと思っています」

 2位は、弥生賞を制したサトノフラッグ。圏外から一気にランクアップし、「打倒・コントレイル」の最有力候補にも挙げられる。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「弥生賞では、向正面までは8番手を進んでいましたが、3角から外をまくっていって、4角では2番手まで進出。その勢いのまま、ライバルたちをねじ伏せて、豪快な勝利を飾りました。

 2着ワーケア(牡3歳/父ハーツクライ)は、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)8位タイまで落ちてしまいましたが、前回までは4位に位置していた実力馬。それを相手にしなかったサトノフラッグには、かなりの能力の高さがうかがえました。

 弥生賞は重馬場だったため、タイム自体は平凡でした。しかし、他のレースとの馬場差を考えれば、指数でトップになるのも頷けます。

 未勝利戦(11月16日/東京・芝2000m)で2歳レコードをマークしているように、本来は良馬場でこその馬。しかも、前にも行けて、後ろからでも大丈夫。ウイークポイントが見つかりません。中山コースも2戦2勝と得意としており、4連勝で皐月賞制覇を遂げても、まったく驚きませんし、それだけのことをやってのけられる器だと思っています」

木南氏
「弥生賞では荒れた馬場で快勝。オイシン・マーフィー騎手が大絶賛していた能力は、本物でした。陣営が『気持ちが入っていなかっただけ』と言う新馬戦の敗因も、きっちり証明しましたね。

 皐月賞だけでなく、未勝利戦の勝ちっぷり、さらにはそのフットワークから、広い東京の芝2400m戦でどんな走りを見せるのか、とても楽しみになりました」

 3位は、前回2位のサリオス。新興勢力の台頭によって、ランキングを下げた格好だ。

市丸氏
「朝日杯FSでは、先行策を取った馬がことごとく馬群に沈んでいくなか、唯一突き抜けて圧勝。2〜6着馬が皆、差し・追込み馬だったことを考えれば、かなり評価できます。

 ただし、その朝日杯FS組がその後不振なのは、気にかかる材料です。マイル(1600m)戦や短距離戦で好走している馬はいますが、中距離戦ではさっぱり。

 となると、朝日杯FSからの直行で、中山・芝2000mで勝ち負けを演じることになれば、”怪物”級の評価をしなければいけないでしょう。そこまではどうか……という印象ではありますが、前有利の馬場状態になれば、押さえ以上の評価が必要だと思います」

 4位は、リステッド競走のオープン特別・若葉S(3月21日/阪神・芝2000m)を快勝したアドマイヤビルゴ(牡3歳/父ディープインパクト)が、圏外からランクイン。セレクトセールで5億8000万円(税別)をつけた、話題の高額馬がクラシック戦線を盛り上げるか。

吉田氏
「新馬→若葉Sと勝ちましたが、小柄なディープ産駒ゆえ、皐月賞をパス。標準をダービーに定めて、次走はGII京都新聞杯(5月9日/京都・芝2200m)に向かう予定です。まだ完成の域に達していないこの時期、関東への長距離輸送を最小限にとどめる選択は、関係者の好判断と言っていいでしょう。

 持ち味は、軽さとキレ。馬場は高速馬場か、軽めの芝がやはりベストです。ここ2〜3年はあまり馬場がよくない京都でどんな結果を出すかですが、消耗度の少ないレースをして、東京競馬場が高速馬場になれば、ダービーでの一発の魅力は秘めています」

 5位は、3頭が同ポイントで並んだ。GIII毎日杯(3月28日/阪神・芝1800m)を勝って3連勝を決めたサトノインプレッサ(牡3歳/父ディープインパクト)、前回4位だったワーケア、そして前回5位のヴェルトライゼンデだ。

吉田氏
「サトノインプレッサは、重馬場で連勝。やや重の毎日杯も完勝でした。ここまで負けなしの3連勝で、相手が強化されても、レースを使うごとにパフォーマンスが上がってきていることは、底知れぬ能力を秘めている証拠でしょう。

 しかも、前走の毎日杯では、直線で大きな不利を被りながら、一瞬でアルジャンナ(牡3歳/父ディープインパクト)をねじ伏せました。その末脚には、光るものがあります。

 今はまだ、緩急がつきにくいマイル戦がベターな印象。皐月賞には向かわず、GI NHKマイルC(5月10日/東京・芝1600m)に行くことには賛同できます。そこでは、相当な期待が持てそうです」

木南氏
「皐月賞をスキップして、ダービーに向かうワーケア。ホープフルS3着、弥生賞2着という結果は、いずれも勝負どころで踏み遅れた分によるもので、悲観する必要のない敗戦だと思います。東京向きなのは明らかですから、逆に崩れずに走れている点を評価すべきでしょう。

 あとは、サトノフラッグ(の皐月賞の結果)次第になりそうな、鞍上が気になります。主戦のクリストフ・ルメール騎手がダービーで騎乗できるのか。ダービーでは『テン乗りは勝てない』というジンクスが、昨年のサートゥルナーリアでも続いてしまったので……」

土屋氏
「ヴェルトライゼンデは、ホープフルSでは完璧な立ち回りで2着。しかし、確勝を期待されたスプリングS(2着)では、今ひとつペースが流れず、不本意なレースとなりました。

 血統的には、もう少し距離があったほうがいいでしょう。ノビノビと走れる展開になれば、十分に巻き返しは見込めます」「2強」に迫る存在が現れてきた牡馬クラシック戦線。一冠目を手にするのは、どの馬か。激戦の行方から、目が離せない。