人々が驚くオリジナルドラマを届け続ける脚本家・遊川和彦さんの作品で、注目したものには、2010年に日本テレビで放送された「曲げられない女」もあります。これは、結婚・仕事・友達・社会と闘う、「どうしても自分(の意志)を曲げられない」32歳の女性(菅野美穂)を描いた物語です。キャッチコピーは「わたくし、まっすぐ生きていたいのです。」でした。

主人公は弁護士法人事務所でパラリーガルをしながら、亡き父が果たせなかった弁護士をめざしているが、司法試験に9年連続の不合格。周囲から諦めて結婚を勧められているが、彼女は物事をきちんとしないと気が済まない「曲げられない女」だったのです。

別れた恋人の子の妊娠が発覚し、悩んだ末、司法試験と出産のどちらも諦めない選択をするものの10回目も思いは叶わず。それでも、自分を曲げることなく、11回目の司法試験に合格し、ようやく弁護士になりました。

その彼女の、「曲げられない」ところにこだわりながらも、明るく生きていこうとする姿が、演じる菅野美穂のなんとも言えない魅力とマッチして、素晴らしい作品だと思いました。

高視聴率40%を記録したミタの決まり文句は流行に

次に、遊川さんが届けたドラマが「家政婦のミタ」です。日本テレビで2011年に放送されたもので、もちろん遊川さんのオリジナル脚本で、頼まれたことは何でもやるが、どんなときも無表情でミステリアスな家政婦(松島菜々子)が主人公の物語です。タイトルは「家政婦は見た!」が元になっています。

母親の死により崩壊寸前の父と子ども4人の阿須田家に、三田灯という家政婦が派遣されて来ます。仕事はすべて完璧にこなすのに、いつも無表情で機械的な受け答えしかしない三田に振り回される阿須田家の人々。しかし、その三田の型破りな行動により、バラバラだった家族は絆を取り戻していくのです。

突飛に思える数々の行動の裏には、実は愛情や思いやりが秘められていたことに気づいた子どもたちは、三田に本当の家族になって欲しいと望みます。ところが、三田はその申し出を素直に受け入れることのできない壮絶な過去と大きな心の傷を抱えていたのです。終盤に三田の秘密がようやく明かされ、最終回に視聴率は40%を記録しました。「承知しました」「それは業務命令でしょうか」「それはあなたが決めることです」などのドラマ上の決まり文句が流行りました。

この企画を聞いたときは、私はもう制作の現場を離れていましたが、絶対当たると思いました。「女王の教室」の発展形なのです。「こんな先生がいるか」が「こんな家政婦がいるか」なのです。プロデューサーの大平太君からも「家政婦のミタ」の原型は「女王の教室」だと言われました。

遊川さん、最近は監督業にも進出しているそうですが、これからもオリジナルドラマで人々を驚かせ続けてください。