中国・北京の自宅兼事務所で取材に応じるシュウ・ファンさん(2019年12月17日撮影)。(c)NOEL CELIS / AFP

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【AFP=時事】シュウ・ファン(Zhu Fang)さん(75)の自宅の居間の壁には、期待に胸を膨らませた独身者の写真が何枚も張られている。一部の色あせた写真には、髪を膨らませた古風なヘアスタイルと時代遅れの服を着た人たちが写っている。シュウさんは50年近く、中国・北京で男女の仲を取り持ってきた人気の仲人だ。

 シュウさんが男女の橋渡しをしてきた50年で、中国社会は劇的な変化を遂げた。

 家父長制社会では伝統的に結婚が重要視されてきたが、最近では婚姻率は減少し、2018年の出生率は70年ぶりの低水準に落ち込んだ。

 だが、人々が愛を探していることに変わりはないとシュウさんは主張する。今でもシュウさんには仲人を頼む電話が頻繁にかかってくる。

「意味のある仕事だから続けている」と話すシュウさんだが、実入りがいいわけではなく、子どもたちからの金銭的支援に頼っている。

 シュウさんは毛沢東(Mao Zedong)の「人民に奉仕する」という政治スローガンに触発された。「他人が幸せを見つける手助けをすれば、自分も少し幸せになれると思った」

 シュウさんは入会費として1人200元(約3100円)を受け取っている。会員の大半は成人した自分の子どもに結婚相手を探している高齢の親だ。

 昨年12月のある寒い朝、シュウさんの自宅兼事務所は中高年の親たちでいっぱいになった。親たちは見合い相手のプロフィルをまとめたファイルにかがみこみながら、自分の未来の義理の息子や娘にふさわしい相手を探していた。

 ある女性は、夫と死別した娘のことを心配していた。「北京に持ち家があり、娘にはお金もある」「すべて順調だ――孤独なことを除けば」

■高望みする女性たち

 中国はこの50年の間に猛烈なスピードで経済成長を遂げ、社会は変わった。

 シュウさんが仲人の仕事を始めた時、中国はまだ市場を対外的に開放していなかった。シュウさんの依頼人の大半は、工場で働く男性だった。

 北京の工場で働いていたシュウさんは、数人の同僚から女性を紹介してほしいと頼まれた。数組の縁談がまとまるとシュウさんはとりこになった。「楽しかったので続けていたら、50年だ」

 シュウさん自身も、隣人の紹介で1969年に結婚した。

 中国の変化とともに依頼人も変わった。最近の依頼人は条件にこだわるようになっており、お見合いをすることを恥ずかしく思う人も多いという。

 これまでシュウさんの仲人で1700組以上のカップルが誕生している。だが、全員に相手を見つけることは無理だと話す。「壁に長年、張られたままの写真もある」

 シュウさんへの依頼は女性が圧倒的に多いが、女性は高望みしすぎるとシュウさんは話す。女性たちは高学歴、高収入、高身長という「三高」を望み、自分にふさわしくない相手とは結婚したくないと考えていると指摘する。

「独身女性は、ふさわしい人がいないなら恋人はいなくてもいいと言う」「だが、完璧な人間などいない」とシュウさんは説く。「態度を改めなければ、相手を見つけることは絶対できない」

【翻訳編集】AFPBB News

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