この物語は、実際に使える業務ハックを紹介しつつ、新人の田中君が美人の太田先輩に指導を受けながら立派に成長していく姿を描いたものです。物語と業務改善案の両方を楽しめます。

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(物語) 2020年3月、新型コロナウィルスの猛威を受けて、感染拡大を防ぐため多くの企業で自宅勤務が推奨された。田中君が勤務する高飛車サービスでも、すぐに可能な限り自宅勤務に切り替えるようにと指示が出たのだった。田中君が働く経理部は、真っ先に自宅勤務になった。今日は、美人の太田部長が部署の面々と個人面談をする日だ。

僕がオンラインミーティングアプリを起動し待っていると、太田先輩が接続した旨が表示された。画面に美しい太田先輩の姿が映る。

「田中君、自宅勤務はどう?」

「そうですねー。太田先輩を含め、部署のみんなに会えないので寂しいですね。」

僕が照れながら答えると、太田先輩も「寂しいわね」と言った。それから、たわいない会話が少しあった後、急に太田先輩が厳しい顔になった。

「田中君、ちょっと気になるんだけど、どうも仕事があまり進んでいないようね。」

「えっと・・・、単刀直入ですね。」

僕は急にどもりながら言い訳をするのだった。

「実は、自宅作業というのがはじめてで、どうもペースが掴めないというか、TVのニュースが気になって、ついつい、TVを見てしまうんですよね。自宅にはゲームもあって、いろいろな誘惑も多くて。」

太田先輩はやっぱりという顔でため息をついた後で言った。

「気持ちは分かるけど、この有事の後も自宅作業する機会があると思うから、この機会にしっかりと自宅勤務のための環境を作っておくとよいわね。」

そして、僕は太田先輩から在宅勤務のための数々の業務ハックを伝授してもらうのだった。また、部署内でもいくつかのツールの導入をはじめると言う。

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数日の在宅勤務であれば、それほど考える必要もなかったのかもしれませんが、長期になってくると、仕事の効率低下を防ぐためにいろいろな施策が必要になってきます。これから太田先輩からのアドバイスと部署内で始まった取り組みを紹介します。

○作業効率を重視した部屋作り

田中君が太田先輩に言われて、部屋の中を見せたのですが、最初に整理整頓を心がけるように注意されました。やはり部屋の中が荒れていては良い仕事はできません。作業開始前にスッキリと部屋の中の小物を片付けましょう。

また、当然ですが作業ができる最低限のデスクは必要です。ゴロゴロしながらベッドの上でパソコンを打ったり、膝の上にノートPCを載せても作業自体は可能ですが、やはり長時間の作業には向きません。気楽だからとだらだら、その辺で作業していると身体が痛くなりがちです。

○大きめのモニターが必要?!

また、必須ではありませんが、大きめのモニターがないと作業が捗らないという人もいることでしょう。モニターがないと仕事の効率が落ちるという場合には、経費の援助が出ないか職場に尋ねてみるのも良いでしょう。

筆者は、以前自宅のノートPCに2つモニターをつなげて合計3つのモニターを使って作業していたのですが、右を見たり左を見たりと逆に疲れてしまって今は、大きめのディスプレイを持つノートPCに落ち着いています。とは言え、必要な作業に応じたモニターがあると、作業効率が上がるのは確かです。

○仕事の進捗をこまめに共有する

いろいろな人の話を聞いていると、在宅勤務が向いている人と向かない人がいます。とにかくマイペースに黙々と作業ができる人というのは、在宅勤務に向いています。しかし、みんながみんな黙々とマイペースに作業できるわけではありません。

そこで、今、どんな作業をしていて、どこまで仕事が進んでいるというのを、部署内で共有すると良いかもしれません。定期的に報告タイムを設けて、進捗報告をするというのも一つの方法です。また、オンラインでビデオを付けっぱなしにして、仕事している姿を見せ合うのも方法です。しかし、監視されているようで、面白くないと感じる人もいるでしょう。そこで、オススメなのが以下のチケット制度です。

○チケットで仕事の進捗を管理しよう

この機会にITエンジニアの間で使われている仕事の割当方法を導入してみるのはどうでしょうか。これは、「チケットシステム」と呼ばれているものです。これは、言ってみれば、やるべき仕事を付箋に書いていって、付箋をみんなに配って仕事をしてもらうという感覚に似ています。

有名なプロジェクト管理ツールには、Trello、Redmine、asanaやGitHubなどいろいろなものがありますが、いずれもチケットシステムを持っています。いずれにしても、次のような手順で仕事を進めます。

- (1) やるべき作業を全てチケットとしてシステムに登録していきます。

- (2) 定期的に、ミーティングなどのタイミングでチケットをメンバーに割り振ります。

- (3) 個々に割り振られたチケットの作業を行って、チケットに完了の旨を記録します。

このように、チケット制にすることで、どんな作業をどれだけこなしたかが可視化されます。また、プロジェクトマネージャーも作業の進捗を確認できますし、仕事の予定を立てやすくなります。

○プロジェクト管理システムの紹介

チケットシステムが利用できるオープンソースのプロジェクトには、以下のような管理システムがあります。

Trello --- [URL] https://trello.com/

Trelloを利用しているところ

Trelloはカード型のタスク共有、管理システムです。ドラッグ&ドロップで手軽にタスクを移動させることができます。パソコンだけでなくスマートフォンにも対応しており、複数人数でタスクを共有できます。ホワイトボードに付箋を貼っていくのに近いイメージでタスク管理ができる視覚的なプロジェクト管理ツールです。

asana --- [URL] https://asana.com/ja

asanaのプロジェクトボードを開いてタスクを確認しているところ

タスクをリスト表示に切り替えたところ

asanaはFacebookの共同創業者と元Googleエンジニアが立ち上げたことで話題のタスク管理ツールです。上記画面のように、ホワイトボードに付箋を貼り付けていくような感じでタスクを確認することもできますし、一般的なTODOリストのように一覧表示させることもできます。分かりやすく、手軽に使うことができます。15人以下であれば無料で利用できるので、少人数のプロジェクトから試してみると良いでしょう。

Redmine --- [URL] http://redmine.jp/

RedmineのWebサイト

Redmineはオープンソースのプロジェクト管理システムです。自分でWebサーバーにインストールすれば無料で利用できます。RedmineをクラウドサービスにしたMy Redmineというサービスも提供されています。チケットシステムだけでなく、ガンチャート、カレンダー、ロードマップなどの機能があります。

他にもいろいろなプロジェクト管理システムがありますので、調べてみると良いでしょう。予算やチームの規模によっても、いろいろな選択肢があります。

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(物語) 太田先輩が主催する、定例部署ミーティングが始まった。太田先輩から提案があり、我が部署でも、チケットシステムを持つプロジェクト管理システムが導入されることになった。ITエンジニアの間では既に広く使われていたこの仕組み、最初は戸惑いもあったけれど、使い慣れるとかなり便利と感じる。とは言え、在宅勤務はたくさん誘惑があって大変だ。上手にこの緊急事態を乗り切って、太田先輩から褒められるように頑張ろうと思うのだった。(続く)

自由型プログラマー。くじらはんどにて、プログラミングの楽しさを伝える活動をしている。代表作に、日本語プログラミング言語「なでしこ」 、テキスト音楽「サクラ」など。2001年オンラインソフト大賞入賞、2004年度未踏ユース スーパークリエータ、2010年 OSS貢献者章受賞。技術書も多く執筆している。