「グーグルが公開した位置情報の変化から、新型コロナウイルスが「人の移動」に与えた影響が見えてきた」の写真・リンク付きの記事はこちら

グーグルが、131カ国での人の移動傾向を把握できる匿名化された位置情報を公開している。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のなか、公衆衛生当局の指標として役立つことが期待されている。

PDF形式で提供されているこのレポートでは、小売店と娯楽施設、食料品店と薬局、住宅街などに大別された場所への訪問者数がこの2カ月でどのように変化したかがわかる。3月29日までの大別された場所への訪問者数の3日単位の中央値が、1月3日から2月6日までの訪問者数の中央値と比較した増減率として示されている。

グーグルのレポートから抜粋。カリフォルニア州における1月と3月のカテゴリーごとの人の訪問数の変化を示している。IMAGE BY GOOGLE

食料品の買い出しといった必要不可欠な外出を除き、家から出ることを原則禁止する自宅待機命令が広い地域で出されていることを考えると、この数値は驚くべきことではない。3月17日に自宅待機命令が施行されたサンフランシスコでは、小売店と娯楽施設への訪問者数が今年初めに比べて75パーセント減少し、グーグルが住宅地と分類した場所への訪問者数は21パーセント増加した。

社会距離戦略の評価に役立つ

このレポートは、世界中の公衆衛生当局者が社会距離戦略(ソーシャル・ディスタンシング)の効果の程度を評価し、新しい政策が必要かもしれない場所を特定するうえで役立つと考えられている。例えば、公共交通機関のハブに多くの人が集まりすぎている場合は、バスや電車の運行本数を増やす必要がある兆候かもしれない。

今回のレポートの公表を受け、カリフォルニア州サンタクララ郡の保健局長サラ・コーディは、「緩和対策としての移動制限の効果を把握し、政策決定に有用な情報を得るためにわたしたちがまさに必要としているレポートです」とコメントしている。

グーグルはこの基礎データを、Googleアカウントで「ロケーション履歴」の設定を有効にしているユーザーから収集した。グーグルは同じデータを利用して、Google マップである時間に特定のレストランやその他の場所がどれだけ混雑しているかを表示している。

ロケーション履歴の設定では「特定のGoogleのサーヴィスを使用していないときでも、モバイルデヴァイスをもって訪れた場所が保存されます」と説明されている。グーグルによると標準設定ではオフになっているいうが、一部のアプリはユーザーにロケーション履歴をオンにするように求めてくる。

サンフランシスコの状況に関するグーグルのレポートの一部。IMAGE BY GOOGLE

個人情報の特定は困難

グーグルは個人や特定の場所に関するデータは公開していない。同社の発表によると、レポートの作成に使われたデータの個人情報の特定を困難にする取り組みの一環として、「差分プライヴァシー」と呼ばれる手法によってレポートの作成に使われるデータセットに“ノイズ”を追加したという。

「プライヴァシーのリスクは非常に小さいと思います」と、スタンフォード・ロー・スクールのインターネット社会センターでプライヴァシー担当ディレクターを務めるアルバート・ギダリは言う。「政策決定者に社会距離戦略の効果に関する実用的な情報を提供することを目的に、位置情報のデータをプライヴァシーに配慮したかたちで集計した好例です」

『ニューヨーク・タイムズ』は4月2日、データインテリジェンス企業であるCuebiqが収集したデータを公開し、州や郡ごとに米国人の平均移動距離の変化を示している。フェイスブックは同様のデータを研究者グループ「COVID-19 Mobility Data Network」に公開している。

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