2020年クラシック候補たち
第10回:マルターズディオサ

 GI桜花賞(4月12日/阪神・芝1600m)の重要な前哨戦となるGIIチューリップ賞(3月7日/阪神・芝1600m)には、昨年末のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月8日/阪神・芝1600m)で、1着〜4着までに入った実力馬が集結。最後は、阪神JFの上位3頭が熾烈な争いを見せ、阪神JF2着のマルターズディオサ(牝3歳/父キズナ)が激戦を制した。


前哨戦のチューリップ賞を制したマルターズディオサ

 この結果、桜花賞の有力候補に浮上したマルターズディオサ。デビューしたのは、昨年の8月だった。ここで、のちにGIII新潟2歳S(新潟・芝1600m)を制すウーマンズハートと激突。レースの主導権を握ったのは、先手を奪ったマルターズディオサだったが、この時はライバルの強烈な末脚に屈して、2着に終わった。

 その後、初陣と同じ舞台の未勝利戦(8月31日/新潟・芝1600m)を勝ち上がって、1勝クラスのサフラン賞(9月29日/中山・芝1600m)に臨んだ。未勝利戦でも大きく出遅れたのだが、ここでも再びスタートで後手を踏んだ。

 中山のマイルにおいては、ただでさえ不利な外枠発走のうえ、出遅れのハンデまで背負うことになったマルターズディオサ。それでも、外々を押し上げていって、ゴール前で2着マジックキャッスルをきっちり捉えて、快勝した。

 そうして、阪神JFに挑戦。ここでは、好スタートから好位3番手につけてレースを進めたが、逃げるレシステンシアとの差を縮めるどころか、逆に広げられて、5馬身差の完敗を喫した。

 とはいえ、同世代の有力どころが顔をそろえたレースで2着と奮闘。新馬戦で敗れたウーマンズハート(4着)にも先着し、世代トップクラスの力があることを示した。

 このあと、休養を経て挑んだのが、チューリップ賞。阪神JFの覇者レシステンシアが断然人気のなか、再び逃げるレシステンシアをマークする形でレースを運んだ。

 迎えた直線。阪神JFではレシステンシアにみるみる離されてしまったが、今度は同馬を早々に捉えることができた。しかし代わって、阪神JF3着のクラヴァシュドールと壮絶な叩き合いを展開。互いに譲らぬ凄まじい攻防となったが、最終的にはマルターズディオサがハナ差で先着し勝利した。

 レースをこなすごとに成長を重ねてきたマスターズディオサ。いよいよクラシックへと向かうことになるが、同馬を管理する手塚貴久厩舎(美浦トレセン)の手応えはどれほどのものなのか。関東競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「2、3戦目は、ゲートでの行儀が悪くて出遅れてしまいましたが、その不利をはねのけて勝った点を、陣営は高く評価しています。厩舎スタッフはとりわけ、出遅れながら外から追い上げたサフラン賞の走りを見て、『これならGIでも戦える』と感じたとのこと。コンビを組む田辺裕信騎手も、2戦目の未勝利戦を勝ったあと、『ずっと乗りたい』とスタッフに話していたみたいですよ」

 ここ2戦はスタートも上達。課題をしっかり克服して、大一番となる桜花賞に臨む。先述のトラックマンが、厩舎スタッフの意気込みを伝える。

「ゲートについては、『もう心配ない』とスタッフ。今や『精神的にも落ち着いていて、非常に頼もしい』と話しています。

 チューリップ賞のあとは、そのまま栗東に滞在。長距離輸送の負担なく、桜花賞に向かいます。その過程は、かつて同厩舎に所属して、桜花賞を制したアユサンと同じ。そういう意味では、万全の態勢と言えるでしょう」 桜花賞では、阪神JF、チューリップ賞で勝ち負けを争ったレシステンシア、クラヴァシュドールと「3強」を形成するマルターズディオサ。強豪ライバルとの争いを制して、戴冠を果たすことができるのか、必見である。