どちらに優先権があるかは決まっていない!

 片側3車線の道で、一番左側の車線を走っているクルマと、一番右の車線を走っているクルマが、同時に真ん中の車線に車線変更しようとした場合、どちらに優先権があるのか?

 これはなかなか難しい問題だ。関連する道路交通法を見てみよう。

 道交法第26条2 (進路の変更の禁止)

 第1項「車両は、みだりにその進路を変更してはならない」

 第2項「車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない」

 とある。

 要するに後ろを走るクルマに急ブレーキなどの影響を与える場合は、進路変更してはいけないということで、上記のようなケースの場合、どちらに優先権があるかは法律上明記されていない。

事故の際はどちらが先行していたかによって過失割合が決まる

 また、事故を起こした場合の過失割合を調べてみると、車線変更同士の事故の基本は50:50で、どちらが先行していたかによって過失割合が修正される。

 たとえば、先行車が進路変更、後続車が直進の事故の場合は、先行車が70%、後続車が30%になる。片側三車線で、両サイドから中央の車線に向かって車線変更して事故を起こした場合も、クルマの後部をぶつけられたほうが30〜40%。自車のフロント部分を相手のクルマにぶつけてしまった側が、60〜70%になると考えていい。

 つまり、タイミングがほぼ同じであったとしても、先にウインカーを出して、少しでも車体が先行していた側に、少しだけ優先権があるといえるわけだが、ほぼ同時の場合、どちらかが優先権を主張するのは危険なだけ。

 両車ともいったん車線変更は取りやめて、元の車線で加速、もしくは減速して、前後関係をはっきりとさせてから車線変更し直すというのが最適解といえるだろう。