先週のGI高松宮記念から幕を開けた春のGIシリーズ。同レースは、9番人気のモズスーパーフレアが繰り上がりの優勝を飾って波乱の決着となったが、もしも1着に入線したクリノガウディーの降着がなければ、15番人気馬の勝利となって、さらに大きな波乱となっていた。

 はたして、この流れは今週のGI大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)でも続くのだろうか……。

 GI昇格前も含めて、過去10年の1番人気の戦績は、4勝、2着2回、3着2回、着外2回と、信頼度の高い結果を残している。過去3年、つまり、GIに昇格した2017年以降も1番人気が2勝を挙げている。

 ただし、昨年は9番人気のアルアインが勝利。1番人気が勝ったほかの2年も、ともに人気薄が2着に突っ込んできており、3連単は3年連続で万馬券となっている。

 波乱が起こりやすいポイントとして、デイリー馬三郎の吉田順一記者はこう語る。

「例年、同じ時期にドバイワールドカップデーがあったりして、古馬の一線級がすべてそろうわけではないので、思ったほどレベルが高くならないんです。今年も、昨秋のGI天皇賞・秋(10月27日/東京・芝2000m)、GIジャパンC(11月24日/東京・芝2400m)、GI有馬記念(12月22日/中山・芝2500m)の連対馬は、1頭も出走しません。出走頭数も、わずか12頭にとどまりました。

 また、阪神の内回りの芝2000mは、流れひとつで凡戦になることが多く、その場合は数字以上にタフな流れになります。(9番人気のアルアインが勝った)昨年などは、まさにそんなレースでした」

 そうして、吉田記者は「(今年のレースは)メンバー構成から、前半から速くなることはなさそう」と読んで、今回がGI初出走となるサトノソルタス(牡5歳)を推奨する。


大阪杯でサトノソルタスの大駆けはあるか!?

「サトノソルタスを管理する堀宣行厩舎は、ジナンボー(牡5歳)と2頭出しで、同馬がレースの主導権を握る可能性が高いと見ています。そうなると、スローペースで運んだ前走のGII金鯱賞(3月15日/中京・芝2000m)と同じく、サトノソルタスも容易に前付けが可能と踏んでいます。

 同レースで、サトノソルタスは3番手につけて2着。本来スタートが速いわけではないのですが、この頭数に加えて、前走と同じ藤岡康太騎手が手綱を取るなら、今回も同じような立ち回りができる、という見立てです。

 勝ち馬のサートゥルナーリアには子ども扱いされてしまいましたが、キャリアの浅い馬らしく、一戦ごと確実に成長しています。今回のメンバーなら、実績面では見劣りますが、計り知れない伸びしろが期待できますから、狙い目ですよ」

 吉田記者はもう1頭、「ダノンキングリー(牡4歳)や、瞬発力勝負にはしたくないブラストワンピース(牡5歳)の動き出しが早かった場合……」として、一昨年のダービー馬ワグネリアン(牡5歳)を穴馬候補に挙げる。

「昨年のレースでも3着でしたが、その後のレースでも、掲示板をしっかり確保。馬場や流れに左右されずに戦えているのは、心強い限りです。

 この中間は、坂路、CWだけでなく、Dポリトラックでの追い切りも2本取り入れ、メリハリの効いたバランスのいい調整ができています。そして、最終追い切りでは、坂路で単走の馬なり。これは、仕上がりに自信がある証拠でしょう。有力馬を見る形で運べる利を生かせば、久々の勝利も十分にあり得ます」

 一方、日刊スポーツの松田直樹記者は、大阪杯の歴史を踏まえて「牝馬に注目している」と言う。

「グレード制が導入された1984年以降、牝馬は延べ44頭が出走し、3勝、2着1回、3着3回、着外37回。単勝回収率34%、複勝回収率29%ゆえ、『好成績を残している』とは言い難いです。

 それでも、1998年のエアグルーヴ、2008年のダイワスカーレット、2015年のラキシスと、優勝馬3頭はいずれもGI馬。実力全盛期の名牝は、牡馬一線級を蹴散らしています。

 ほかにも、GI5勝でキャリアを終えたメジロドーベル(1998年2着)や、ジャパンCを制したショウナンパンドラ(2016年3着)らが好走。”男勝り”の競馬ができる実力馬なら、強力な牡馬が集まる中距離路線でも、互角以上に渡り合えると思っています」

 ということで、松田記者は今年出走する牝馬2頭、ラッキーライラック(牝5歳)とクロノジェネシス(牝4歳)を推す。

「ラッキーライラックは、同馬を管理する松永幹夫調教師が、『牡馬みたいですよね』と話すほどの好馬体の持ち主。1週前に栗東トレセンで取材してきたのですが、昨秋からさらに筋肉がボリュームアップ。丸みのある牝馬らしい馬体ではなく、ムキムキの馬体になっていました。

 前走のGII中山記念(3月1日/中山・芝1800m)で2着でしたが、松永調教師は『(状態は)前走よりいい。1回使ったことで、よさがより引き出せる』と、上積みを強調していました。

 実際、叩き良化型の馬で、これまでも中9週以上のレースを走って、次戦が中5週以内だった場合は、2勝、2着1回、3着0回、着外1回。およそ1年ぶりのマイル戦に臨んで、流れに戸惑った昨年のGII阪神牝馬S(8着。阪神・芝1600m)を除けば、すべて連対を果たしています。

 昨年のGIエリザベス女王杯(11月10日/京都・芝2200m)では、強烈な差しを決めて久々の戴冠を遂げましたが、もともと立ち回りのうまさには定評があり、阪神の内回り芝2000mという舞台は、脚質的にも大歓迎でしょう。メンバー唯一のGI2勝馬。大駆けの気配を感じます」

 もう1頭、昨年のGI秋華賞(10月13日/京都・芝2000m)を制覇したクロノジェネシスは、年明け初戦の前走、GII京都記念(2月16日/京都・芝2200m)を快勝。渋った馬場をものともしなかった。

「京都記念は、相手にGI馬が不在で恵まれた感はありますが、古馬になっての初戦、それも牡馬混合戦だったことを考えれば、立派な結果。能力の高さを存分に見せつけたと思います。

 とにかく成長著しく、前走でも馬体重はプラス12kg。そんな肉体面の進化は、重馬場でメンバー最速の上がりをマークしたことにも表われていました。昨春のGIオークス(3着。東京・芝2400m)から、20kg増のぶっつけで臨んだ秋華賞でも勝っているように、馬体重の増加がそのままパワーアップにつながっている印象があります。

 1歳上の半姉ノームコアが、古馬となった4歳時にGIを初制覇。クロノジェネシスも同様に、古馬となってもう一段階成長するならば、ここでGI2勝目を挙げてもおかしくありません」 春の古馬「中距離王者決定戦」。波乱を呼ぶ馬が、ここで名前が挙がった4頭の中にきっといる。