2020年クラシック候補たち
第9回:ミヤマザクラ

 牝馬クラシック第一弾のGI桜花賞(阪神・芝1600m)が4月12日に行なわれる。その大一番に向けて、着実に実績を積み上げてきた有力馬がいる。

 栗東トレセンの藤原英昭厩舎に所属するミヤマザクラ(牝3歳/父ディープインパクト)である。


クラシックでの活躍が期待されるミヤマザクラ

 同馬は、2016年のGIIスプリングS(中山・芝1800m)を勝ったマウントロブソンをはじめ、ポポカテペトル(牡6歳)やボスジラ(牡4歳)などの活躍馬を兄に持つ良血だ。そのため、昨夏のデビュー戦(8月18日/札幌・芝1800m)では1番人気に押されたが、4着に敗れた。

 それでも、続く2歳未勝利(8月31日/札幌・芝2000m)では、強烈な強さを見せた。道中、7〜8番手の内につけて、じっくりと追走。3コーナー過ぎから4コーナー手前にかけて外に持ち出すと、一気にエンジンがかかって直線入口では先頭に立った。

 そこからは、必死に追いすがるライバルたちをみるみると突き放し、終わってみれば、後続に5馬身差をつける圧勝劇を披露。タイムも、2歳レコードとなる2分2秒1をマークして、有望な若駒として名を馳せた。

 次戦は、牡馬混合のGIII京都2歳S(11月23日/京都・芝2000m)に挑戦。ここでも、好位追走から直線入口で先頭に並びかける強気の競馬を見せたが、最後は1番人気マイラプソディの強襲に屈した。

 とはいえ、トップクラスの牡馬相手に2着を確保。力があることは、きちんと証明した。

 そうして年明け初戦、牝馬クラシックとの関連が深いGIIIクイーンC(2月15日/東京・芝1600m)に臨んだ。デビュー戦からずっと牡馬相手に戦ってきた彼女は、ここでも安定したレースぶりを見せて、鮮やかな勝利を飾った。

 初体験となる1600m戦の流れにも難なく対応し、道中は大逃げを打ったインザムービーから離れた2番手を追走。直線半ばでインザムービーを捕らえると、そのまま後方から猛追する馬たちも振り切って、重賞制覇を遂げた。

 2着とはわずかクビ差ながら、着差以上に強い競馬だった。この結果を受けて、クラシックの有力候補へと名乗りを上げた。

 ミヤマザクラを管理する藤原厩舎のスタッフも、クラシックに向けての好感触をつかんでいるという。関西競馬専門紙のトラックマンが、その様子を伝える。

「ミヤマザクラについて、藤原調教師は『全体的に能力が優れており、すべてにおいてレベルが高い』と絶賛。何より『レースセンスがいい』とのことで、差し当たっての不安はなさそうですね。

 別のスタッフも、『初めての1600m戦にうまく対応したように、いいセンスの持ち主』と、ミヤマザクラの競馬のうまさを高く評価。クイーンCでも、『先頭に立ってから気が抜けるところもあったけど、他馬が来たら、また伸びた』と、着差以上に余裕があったことを強調していました」

 初の1600m戦にも戸惑わなかったことは、まさしくミヤマザクラが秘めるセンスの高さ。先述のトラックマンも、その点には目を見張り、今後への期待を膨らませる。

「2歳時のレース選択を見る限り、陣営はおそらく『桜花賞より、距離が延びるGIオークス(東京・芝2400m)でこその馬』と、考えていたのではないでしょうか。ということは、マイル重賞を勝ったことは、陣営にとっては、うれしい誤算だったことでしょう。もしかしたら、ミヤマザクラは、周囲の予想をはるかに超える能力を秘めているかもしれません」 いよいよ桜花賞。ミヤマザクラは、またも想定以上の走りを見せるのか。となれば、見事に戴冠を果たして、満開の花を咲かせてもおかしくない。