前回、脚本家の井上由美子さんとの仕事についてお話ししましたが、続編です。井上さんとは、しばらくご縁がないまま何年かが過ぎ、再び注目したのが2014年にフジテレビで放送された「昼顔〜平日午後3時の恋人たち〜」です。これも井上さんのオリジナルドラマで、上戸彩が扮するパートでスーパー勤めの平凡な主婦が、スーパーの駐車場で起こった高校生の車上荒らしの一件で、斎藤工が扮する高校教師と知り合うことから始まります。

「昼顔」というタイトルは、フランスの俳優カトリーヌ・ドヌーヴ主演の映画で、夫がいない平日昼間に不倫をする主婦のことを言うものです。上戸彩と斎藤工はそれぞれ結婚していますが、互いに惹かれ合っていきます。パート先で知り合った美しい女性(吉瀬美智子)は、裕福な夫や二人の娘と何不自由なく暮らしながら、遊び感覚で不倫を楽しむ人妻で、上戸彩は吉瀬の影響は受けまいと葛藤しつつ、斎藤工と不倫関係に陥るのです。

いろいろな過程を経て、上戸彩は夫と離婚して一人になり、斎藤工は勤務先の高校を退職し、離婚しない意志の妻と遠く離れた場所へ引っ越します。ドラマのラストシーンに大変感動しました。それは、斎藤工は勤めていた高校を去る日、自身が不倫と別れを通じて得たものについて、全校放送を通じて生徒たちに伝え、それをたまたま高校の前を通リかかった上戸彩が聞いてしまうというものでした。

このラストシーンに、私は "やられた"と思いました。すぐにSNSで井上由美子さんに感動しましたと伝えました。そこからまた、お付き合いが始まりました。

「怖いからこそ本当に人は護れる」をヒューマンドラマに

次に井上由美子さんのオリジナルドラマで面白いと思ったのは、2018年にテレビ朝日系で放送された「BG〜身辺警護人〜」です。これは、木村拓哉がボディーガードに扮するものです。

男がかつてプロサッカー選手のボディーガードを務めていたとき、空港で落下事故が起こり、クライアントであるプロサッカー選手より子どもの救助を優先させたため、プロサッカー選手が足を負傷して引退することになりました。その責任を取る形でボディーガードを辞職し、民間警備会社の交通指導員として働いていました。

しかし、社長の指示で、新設された身辺警護課で逡巡しながらもボディーガードの仕事を再開します。彼は慎重策を取るゆえに「臆病」と非難されますが、「臆病さを知らないのはただの無鉄砲で、クライアントをかえって危険にさらす」と反論します。「怖いからこそ本当に人は護れる。丸腰だからこそ、本当に人は守れる」というのが、このドラマのテーマだと私は思いました。

4月から第2弾の「BG〜身辺警護人」が放映されるそうです。どんなヒューマンドラマが描かれるのか、楽しみです。