フランス・パリのポルトドレ宮殿で、ポーズを取るクリスチャン・ルブタン氏(撮影日不明)。(c)Tonje THORESEN / AFP

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【AFP=時事】スーパーハイヒールは「ある種の自由」を表しており、女性を解放する──靴の王様とも呼ばれるフランスの伝説的靴デザイナー、クリスチャン・ルブタン(Christian Louboutin)氏は主張する。

 一部の男女同権主義者は、ルブタン氏の足がぐらぐらするヒールは女性を性的奴隷化するものだとみなしている。だが、ルブタン氏はその真逆だと信じている。

 30年に及ぶ同氏のデザイナーとしてのキャリアを振り返る回顧展に先立ち行われたAFPとのインタビューでルブタン氏は「女性はハイヒールを履くことをやめたいとは思っていない」と語った。

 ルブタン氏は、スニーカーやフラットシューズのデザインも手掛けている。だが、同氏の名を広めたトゲトゲのハイヒールについては「デザインする上で快適さは考えていない」と認める。

「12センチもヒールがある快適な靴などない…だが人々は私にヒールのない靴を求めているわけではない」とルブタン氏は言う。同氏は、1990年代から2000年代にかけてのハイヒール復活に一役買ったデザイナーだ。

 ルブタン氏の靴は四六時中履くようなものではない。だが、スーパーハイヒールは女性が自らのことを表現する手段であり、過度の規範から彼女らを解放すると同氏は強調した。「女性であるということは、自らが望むなら女性的でいることを楽しむ自由があるということだ」

「私の靴を見て『快適そう!』とは言ってもらいたくはない。『なんて美しい!』と言ってもらう方が重要だ」とルブタン氏は語った。同氏のハイヒールを履くとよろよろとしか歩けないが、それは悪いことではないとも言う。

 かかとが細くとがったヒール「スティレットヒール」の考案者だと名乗っていたロジェ・ヴィヴィエ(Roger Vivier)に学んだルブタン氏が一躍有名になったのは1990年代、モナコのカロリーヌ公女(Princess Caroline)が初めて一人でデザインした作品を愛用するようになってからだ。

 マドンナ(Madonna)やティナ・ターナー(Tina Turner)、ジェニファー・ロペス(Jennifer Lopez)らスターが競ってルブタンの靴を履き始めたのだった。

■「曲線の世界」へ

 ルブタン氏のヒールへの興味は、10歳の時に始まった。ポルトドレ宮殿(Palais de la Porte Doree)の寄せ木張りの床を守るために掲げられた、ハイヒールでの入館禁止の看板を見たことがきっかけだった。「その看板のおかげで、ハイヒールのデザインを始めた」と話す。ルブタン氏はその看板で「曲線の世界」へといざなわれ、自身の芸術が形作られたという。

「ハイヒールが禁じられているということが、無意識に働きかけたのだと思う。(中略)謎めいていると感じたのと同時にフェティシズム的な面もあった。(中略)単にハイヒールの絵を描くだけのことが、性的な意味合いを持つことがしばしばあった」

 回顧展「エキシビショニスト(Exhibitionist)」はパリ・ポルトドレ宮殿にある博物館で先月26日から開催されていたが、新型コロナウイルスの影響で一時閉館となっている。会期は7月26日までの予定だが再開は未定。

【翻訳編集】AFPBB News

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