いま一番避けなければならないのは、見切り発車的な再開である。

 その意味で、J1の再開を5月9日に設定したのは賢明だった。J2は5月2日から、J3は4月25日からの再開を目ざすとしているが、これはJ1よりもリーグ戦の試合数が多いことと無関係でないだろう。開幕前の延期となったJ3については、J1やJ2より試合規模が小さいことが早めの実施を後押しする材料になり、サーモメーターの運用ノウハウなどを蓄積していくためにも、J2とJ1に先駆けての再開を目ざすこととなった。

 3月23日に行われたJリーグと日本プロ野球機構による「新型コロナウイルス対策連絡会議」後の会見で、Jリーグの村井満チェアマンは「(すでに発表をしていた)4月3日が難しければ4月18日、その次は5月2日と、2週間単位でシミュレーションをしながら検討を進めていく」と話していた。J1の5月9日は当初の想定と異なるものであり、ゴールデンウィークに予定していた試合がすべて消化できないのは、Jリーグの各クラブにとって大きなダメージである。天候に恵まれることが多く、デーゲームでの開催に打ってつけなゴールデンウィークは、観客動員のアップが見込まれるからだ。

 一方で、東京で感染経路が特定できない患者が増えている現状は見過ごせない。東京や大阪などの大都市圏では、今後さらに感染者が増えていくとも予想されている。

 オーバーシュートと呼ばれる爆発的増加を防ぐためにも、ゴールデンウィークの過ごし方についても自粛が求められる可能性はある。そこでまた延期の決断を迫られれば、その影響は多方面に及ぶ。クラブ側はチケットの払い戻しに追われ、チームはコンディション作りの再調整を余儀なくされる。あらゆる意味でスイッチを入れ直さなければならず、それならば再開までの時間を少しでも先送りしたほうがいい。

 再開の時期を決定するにあたっての課題は、リーグ戦を漏れなく消化できるのかどうかだった。これについては、東京五輪が延期となったことで、はからずも余裕が生まれた。中断期間だった7月上旬からの1カ月強を、開催期間に充てることができる。

 東京五輪が予定どおりに開催されたとしても、シーズン終了を延ばせば全日程を消化することはできた。その場合の課題はシーズンオフが短くなってしまうことだったが、夏の中断がなくなったことでシーズンオフの大幅な縮小は避けられるかもしれない。

 いずれにしても、感染拡大の防止に努めるのはJリーグの社会的な使命だ。今後も国内の状況を見極めながら、再開を目ざしていくべきである。